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「古民家でゲストハウス」が全然簡単じゃなかった話 / 苦労したこと3選
先日、ついにぼくの念願だった古民家ゲストハウスがオープンした。
Airbnbで先行して公開したところ、すでに数件、ご予約をいただいている。そしてありがたいことに、日本だけでなく世界各国から予約をいただいて、しかも人によっては3泊、4泊と長期滞在。
岐阜の山奥の宿を選んでいただける背景には、
ぼくも大好きなドラマ「将軍」の影響が大きいのかな、
と勝手に想像している。
そして、海外のお客様によっては、ぼくらでも知らなかったような岐阜県の観光名所を知ってたり、次の目的地に設定してたりする。
これからどんな方と出会って、どんな対話が生まれるのか、楽しみだ。
その様子はこれから発信していくとして。
今回は、この宿のオープンに至るまでの物語。
特に苦労した3つのことを中心にお話ししていきたい。
長かった準備期間
ここまで本当に時間がかかってしまった。
ぼくが東京から移住してきてもう5年ほど経つけど、実は東京にいるときからずっとゲストハウスをやってみたいという思いを持っていた。
古民家でというのは最初から決めていたわけではないけど、会社を辞めるときにも「ゲストハウスをやります」「地方でやります」と言って飛び出してきたくらい、もうずっと前から温めていた夢だった。(宣言したぼくを応援していただいていたみなさん、大変お待たせしました。。)
ただ、軽々しく口にしたものの、いざ移住してみると、とても大変なことが多かった。
意外と苦労しなかったこと)場所探し
まず、意外と苦労しなかったことから話をすると、この古民家を見つけること自体は実は、それほど大変ではなかった。
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これは本当に運が良かったと思う。
移住してきて、最初は別の家に住んでいたものの、1年ほどして、たまたま知り合いの方からこの大きな古民家を紹介していただいた。
前回ご紹介したとおり、この建物は、地元の有志の方々が大切に活用して、改修してきた古民家だ。
その活動が下火になってきて、誰も住んでいない家はすぐにダメになってしまうため、「誰か住みながら管理してくれないか。できれば地域の役に立つことに活用してくれる人がいれば。」というお話をたまたま耳にした。
家の大きさも十分にあり、地域の人々も新しい挑戦にとても好意的で、応援してくれる方ばかり。
ぼくは「ぜひやらせてください」とお願いして、家を借りることができた。
宿を始めることに関しても、とても温かく受け入れてくれて、本当にラッキーだったと感じている。
苦労したこと その1:宿の形態を決める
宿の形を決めることについては、かなり悩んだ。
ぼくは元々旅好きで、バックパッカーの経験もあり、いわゆるゲストハウス形式の宿をやりたいと思っていた。
いろんな場所から旅をしてきた人たちが滞在して、その土地のことを楽しみながら、宿自体も楽しめる。
他のゲストとの交流が生まれたり、ホストである僕らと交流しながら、より地域のことを深く知ることができる。そんな場所を作りたいと思っていた。
でも結果的に、今ぼくがやっているのはいわゆる「民泊」という形態。
一般の民家の一室を貸し出すというスタイルの宿で、ぼくら家族も暮らしながら、そこにゲストの方が来て、僕らと交流しながら滞在してもらうという形だ。
これにはいろいろな工夫が必要だった。
たとえば、内装一つとっても、ぼくらも共有で使う場所なので、完全にお客さんのためだけに全てを用意するわけではない。
ぼくらも暮らしやすい家でありながら、お客さんも滞在しやすい環境を整えていく。これがなかなか大変だった。
何より、ぼくと、ぼくのパートナーでも、家をどういう風にしたいかという価値観やデザインセンスが違う。
そこを折り合いをつけながら、うまく組み合わせたり、よりよいものをお互いに提案しながらやっていくのは、良いことでもありつつ、とても時間のかかる作業だった。
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でも結果的には、ぼくらが実際に住んでいる場所にお客さんも来ていただくことで、より温かい交流ができたり、より本物の里山文化を伝えられる部分も多いのではないかと思っている。
苦労したこと その2:資金と時間の確保
宿を始めるにあたって、お金と時間がかかることは当然予想していた。
そこで世の中の同じようなゲストハウスを運営している人たちがどうしているのか調べてみると、圧倒的に多かったのはやはりクラウドファンディング。
ぼくもクラウドファンディングは真剣に考えた。
地域密着型のクラウドファンディングをやっている方のお話を聞いたりもしたけど、結果的に手が出せなかった。
なぜかというと、「古民家でゲストハウスをやります」というのは、正直ありふれた企画だと感じたからだ。
実際にクラウドファンディングのページを見ても、似たような企画がたくさんある。そういう企画が支援を集められる理由は、独特のユニークなコンセプトがあったり、特別な歴史があったり、それをやらなければならない、理由があるからだと思う。そしてそれを、とても効果的にアピールできているから。
でもぼくの場合、ゲストハウスをやりたい理由といえば、ただ単純に、「宿がやりたいから」というものでしかなかった。
結果的に地域のためになったり、古民家の保存につながったりという目的もあるけど、本当の思いは、宿泊していただくお客さんとぼく自身が交流しながら、この里山の暮らしやあそびを伝えたいというシンプルなものだ。
だから、他の宿と比べたとき、みんなに応援してもらえるような特別なコンセプトを持てる自信が持てなかった。
今となっては、この里山文化についてぼくなりに深く考えを巡らせ、それを発信していく中で、その暮らしや遊びをお客さんと一緒に体験したい、里山文化を盛り上げたいという思いが強くなってきた。だからいま思えば、クラウドファンディングに挑戦すれば良かったのかもしれない。
でも、準備している段階ではなかなかその一歩を踏み出せず、結果的に完全な自己資金で、借り入れもせずに、手持ちの現金だけではじめることになった。
一部、客室のフローリングを貼ったり、壁を作ったりする作業は地元の大工さんにお願いしたし、電気工事など、素人ではできない部分は業者の方に依頼した。それだけでもかなりの費用がかかった。
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ほとんどの作業をDIYで行うことにしたものの、ぼくは映像作家という仕事もあり、なかなか作業の時間が取れず、時間がかかってしまった。
すぐに収入が入るわけではないものを、コツコツと進めていくのは、ぼく個人的にはとても苦手で、、モチベーションを保つのも難しかったのだ。
そこはパートナーが手伝ってくれたおかげで、ここまでたどり着くことができたのはまちがいないと思う。
最低限の改修は終わったものの、まだまだやりたい改修はたくさんあるので、これからもコツコツと進めていこうと思っている。
苦労したこと その3:古民家ならではのDIY
そのDIYについても、苦労したことが多かった。
ぼくが住んでいるこの古民家は、築120年か、もしかすると130年くらい経つ建物だ。
地元有志の方々が活用されていた時期に、すでにある程度の改修がされていた。
たとえば、水車を導入して小水力発電を試みたり、太陽光発電を設置したり、薪ストーブを入れたりと、先進的な取り組みがなされている。
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古民家をより使いやすくするために、キッチンや水回りなども改修済み。
だからありがたいことに、お客さんの部屋以外は、実際あまり改修する必要もなかった。
ただ、そうして地元の方々が改修された部分や、業者さんの改築部分には、彼らの目的や、時代のセンスが反映されているところも多い。
だからぼくがゲストハウスをやるにあたっては、ぼくなりの、そして家族の思いもあって、ぼくらの好みに合わせて変えていく必要があった。歴史を持つ古民家の風情や、地元の木を使った昔ながらの建築の美しさは残しつつ、その後に加えられた要素については、手を加えていく部分も多かった。
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たとえば、蛍光灯は雰囲気に合わないので取り替えたり、後から付け加えられた壁は一度外して、漆喰の壁に作り直したり。
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冬も快適に過ごせるように、断熱も必要だった。
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元々の古民家が持つ自然素材の良さを活かしながら、後から加えられた部分は、ぼくらの思いに沿って改修を進めた。
そしてこの改修作業には、「古民家ならではの難しさ」もたくさんあった。
たとえば、古民家の柱は現代の建物と違って、かなり傾いていることが多い。
ドアとドアの間に大きな隙間があったり、床下に隙間があったりして驚くことも。
これは数字で計算して対応できるような世界ではない。
プロの大工さんや宮大工さんは、そういった特徴をうまく活かして作業を進められるのだけど、ぼくらDIY初心者にとっては、とても難しい作業だった。
実際に担当されたベテランの大工さんでさえも、この古民家の傾き加減には苦労されていた。
だから素人なりに、いろいろと調べたり、必要な道具を揃えたりしながら、少しずつ進めてきた。
ある意味そのおかげで、DIYにも詳しくなり、ちょっとした作業なら自分でできるようになった。今後も役立つスキルを身につけることができたと思う。
これからが本当の始まり
こうして、大きな課題を乗り越えて、ようやくオープンにこぎつけることができた。
きっとオープンしてからも、いろいろな発見や苦労が出てくるだろうけど。
ぜひ訪れた際には、この古民家がもつ長い歴史の跡、たとえば自然素材の感触、色、匂い、そしてここをつかってきた人たちの存在みたいなものを、感じてもらえたらうれしい。
そしてぼくらも、みなさんに快適に、楽しく過ごしていただけるように空間をしつらえる。
里山での暮らしやあそび、自然との関わり方、地域の文化など、ぼくらが日々体験している「物語」を、お客さんとも一緒に紡いでいけたらと思う。
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<プロフィール>
東京で映像プロダクションに勤めた後、2020年に東京から岐阜へ移住。
個人のテーマとしてこれからの「人間らしい生き方」をベースに、里山文化や自然、共感するプロジェクトなど身の回りの「物語」を探究。
映像と宿を通して、誰かの人生を豊かにする体験(旅)を届けています。
<映像制作のご依頼>
広告、PR、記録映像など。企業や自治体の「物語」を一緒に見つけ、届けるお手伝いをしています。シネマティックな映像美で、丁寧に紡ぐドキュメンタリー表現が得意。ポートフォリオ、お問い合わせはこちら。
<里山の暮らし・あそびを体験できるお宿>
古民家ゲストハウス 源右衛門 -Gennemon- の詳細・ご予約はこちら。
<その他>
Instagram や X では日々のイメージの記録を。
stand.fm で音声配信もはじめました。
noteでは引き続き、日々の活動を文章と写真で綴っていきます。
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