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大宮人。:創作

「そのおっさんって、真っ白い顔しとったやろ?」

後輩のヒサシが、変なおっさんを見たという話をしていた。俺も、西院駅の近くで、おそらく同じおっさんを見たんで、その答え合わせをしていた。

「そう!それです!そんで、そいつ、眉毛ありませんでしたよね!?」

ヒサシの口元から、ご飯粒がポロリと落ちた。
昼過ぎに練習が終わった時は、俺は、チームメイトと定食屋で飯を食べる。そこは、ご飯と味噌汁のおかわりが自由やから、しょっちゅう来る店。ちょっと前までは、お店の人が、ご飯をよそってくれとったけど、俺達があまりにも頻繁におかわりをするもんやから、セルフサービスになった。

「それで、あれ、なんて言うんやろ。昔の貴族、麻呂言うんかな。そんな感じの、楕円形の眉毛をデコに描いとったやろ!?」

ヒサシが、頷いた。正確には、殿上眉というらしい。文字通り、殿上に上がるような高貴な人間がしていた風習で、平安時代前後から明治以前まで行われていたそうや。諸説あるけれど、おしろいを保つために、眉毛を剃って、表情をつくらへんことが、高貴とされとったらしい。おでこに楕円形の眉を書くのは、そこが、一番、顔の筋肉の干渉を受けない所なんやとか。

性格やろな。ヒサシは何でもスマホで調べよる。そんな事を言うとった。知らんけど。

「なぁ、そいつって、タキシード着とったやつちゃうんか?俺も、昨日、伏見稲荷で見たぞ」

もう一人、一緒に飯を食っていた。こいつは、俺と同回生のマサル。今まで、なぜマサルは黙っていたのか?それは、伏見稲荷に誰と行ったのかを聞かれるのが嫌やったんやろ。

「お前、あれやろ。どうせ、神戸から、彼女が来とんやろ?なんやねん。伏見稲荷って。お前の彼女って、ババァか?」

実際、マサルの彼女は年上で、社会人らしい。ただ、誰も会ったことがない。

「マサルさん。彼女さんの名前って何でしたっけ?」

ヒサシが、下品な笑顔でマサルに聞いた。マサルは、何というか、かなり鈍感な奴やから、何も気にしていなさそうやった。

「はぁ?おフネちゃんや。前も言わんかったっけ?」

俺と、ヒサシは目を合わして、爆笑した。

「それ、サザエさんに出てくる、ババァやんけ!いくつやったっけ?お前の彼女!?」

「34や。お前ら、馬鹿にすんなや。今時の34歳なんて若いやろ!」

大学生の俺からしたら、10歳以上も歳が離れとったら、十分ババァや。麻呂みたいな変なおっさんの話よりも、なぜ、大学生のマサルが34歳の社会人と付き合っているのかという事が不思議になってきた。

「おフネちゃんの事は、どおでもええんや。そのタキシード着た、顔が真っ白のおっさん、伏見稲荷の鳥居と鳥居の間で寝とったんや」

マサルが、無理矢理、話を戻してきた。触れられたくない話題を出してまで、白い顔の男の話をしたかったみたいや。

「はぁ?普通、そんなとこで寝れるか?まぁええわ。それでどうしてん?」

「どうもこうもせえへん。ただ、『広沢の池はどこですか?』って聞かれたから、『それは、もっと北の方です』って言うたったんや」

なぜか、マサルはドヤ顔で言ってきた。2年間、一緒にいるが、こいつの事は、よぉわからへん。

「なんすか!?その、中学の英語の教科書みたいな会話」

俺は、マサルよりも、ヒサシといる方が疲れへん。ヒサシはマトモな人間やと思う。

「ってか、広沢の池って太秦の北の方やろ?そのおっさん、伏見稲荷からドンドン近づいて来てるやんけ。マサル!お前、ホンマに見たんやろな!?」

「あぁ?なに疑っとぉねん。見てへんかったら、こんな話するわけないやろ!」

今度は、キレてる。ホンマよぉわからん奴や。

「ってか、ケンさんと、マサルさん、この後空いてます?ちょっと行ってみません?広沢の池。もしかしたら、そのおっさん、ホンマにいるかもしれませんし」

ヒサシは、マサルの方を確かめてから、俺の方を見て、そう言った。それは、俺も思った。どぉでもええことやけど、バイトもないし、えぇ暇つぶしになりそうやと思った。

「誰か、車持ってへんかな?あっこまでチャリで行くんダルいわ」

俺も、わざとらしく、マサルの方を見た。マサルは、何度目のおかわりか、わからへんけど、味噌汁で、ご飯を腹ん中に流し込んでいた。ようは、俺の話を聞いてへんって事。

「なぁ!マサル!明日まで、おフネちゃんおるんやろ!?車で来とるんちゃうんか?」

世間は3連休。会ったことはないんやけど、前にマサルが、『彼女は、車で来る』と言っていた事を思い出した。流石に、マサルは名前を呼ばれて気がついた。

「はぁ?なんで、お前らと一緒に、広沢の池に行かなあかんねん。俺は、おフネちゃんと行くわ」

結局、行くことは行くんかい!と思った。ホンマ、マサルはよぉわからん奴や。

「ええやんか。俺とヒサシも乗せてってぇや。なぁ。ここの飯代、おごったるし」

バイトの給料が残っとんのと、昨日、スロットで臨時収入があったから、俺の財布は緩かった。まぁ、そこまでする必要などなかったと、後から考えて、気がつくパターンや。

「ホンマか!ほな、ええで!」

なんや、簡単な奴やな。逆に、めっちゃ腹立つわ。マサルの満面の笑みを見たら、ホンマにそう思った。

「ケンさん!ゴチです。ありがとうございます!」

なんやねん。ヒサシもどさくさに紛れて、おごってもらう気満々やんけ。
結局、マサルが食べ終わるのを待ってから、俺は、3人分の会計をした。



「これ、なんちゅう車ですか?」

正直、俺は、度肝を抜かれた。『どうせ、軽自動車か、コンパクトカーやろ』と思っとった。それが、クソでかい、アメリカの車やった。アメ車やとわかったのは、エンブレムだけは知っとったから。

「エスカレード。キャデラックの、エスカレードや!6.2LのV8エンジンやで!」

なんで、助手席のマサルがイキっとんねん。V8エンジンなんて言われても、どぉ凄いんかわからへんわ。

「君が、ケン君やね。で、ヒサシ君。2人とも、体、大きいね。今日はよろしくお願いします。私は、フネ。なんや、おもろそうな事に誘ってくれて、ありがとうね」

左ハンドルから、涼しげに、おフネさんは言ってきた。どうせ、マサルの彼女のことやから、きったないオバはんを想像しとったのが間違いやった。女優の仲間由紀恵にそっくりの、キレイな人。なんで、マサルと付き合ってんのか、わからへん。

「いえ。こちらこそ、車だしてもらって、ありがとうございます」

あかん。なんか、緊張してきた。車の中が、変な空気になりそうや。

「僕、エスカレードに乗るの初めてです!映画とかでしか見た事なかったです。実際、日本であんまり走ってないですよね!」

うわ。ヒサシ、めっちゃ空気読むん上手いなぁ。そういう会話が正解やな。俺は、そんな事を思いながら、天神川をみた。普段は、御池通りの方まで行くこともないから、景色が新鮮やった。

「ヒサシ君、車好きなんやなぁ。せやけど、この車、京都で運転するには、あんまり向いてへんわ。あんま、狭いとこは走られへん」

やっぱ、大人やなぁと俺は思った。余裕がある。そう思うと、より一層、本当に、マサルみたいな奴と付き合ってんのやろか?と疑ってしまう。

「あっ、おフネちゃん。広沢の池の近くにパーキングないわ。大覚寺門前の交差点過ぎたとこまで行かな、車、停められへん」

マサルが、スマホを見て、おフネさんに話していた。なんか、よぉわからへんけど、マサルがマトモに見えてきた。ホンマに、麻呂のおっさんの事など、どぉでもよくなってきた。

「うわっ!おった!あのおっさんやろ!ホンマに歩いて来よったんやな!」

マサルが、そう言ったので、俺も左の方を見た。福王子の交差点を、西に500mぐらい走った所を、白塗りの顔の、タキシードを着た男が歩いとった。長い距離を歩いとる割りには、なんとなく、パリッとした印象やった。
すると、おフネさんは、後続車の邪魔にならない所で、ハザードをつけて、車を停めた。

「どぉしたん?おフネちゃん?あの、おっさん、車に乗せる?」

マサルも、意外そうにおフネさんに聞いていたぐらいやから、俺もびっくりした。

「そうやね。昨日、見かけた時から、気になっとったんや。あの人、大宮人やで。なんか、困ってるんやったら助けてあげた方がええやろ?」

大宮人?聞きなれない言葉やな。それよりも、広沢の池に行きたいと、俺は好奇心で言うたけど、あんなおっさんを、車に乗せるんはちょっと、怖いと思った。

「大宮人ってなんですか?」

ヒロトが、ええタイミングでおフネさんに聞いてくれた。やっぱ、ヒロトは空気読める奴やな。

「『おおみやびと』っていうんは、昔で言うとこの、宮中に仕える役人や、公家の事やね。昨日は気にせんかったんやけど、知り合いに聞いたんよ。そうしたら、今もおるんやて。信じられへんかも知れへんけど、大宮人って見える人にしか見えへんねん」

んな、アホな!ここにいる、全員が見えているやんけ。やっぱ、マサルと付き合うだけあって、おフネさんは、おかしな人やんけ。危うく、俺は、口に出して言うとこやった。

「嘘やん!そんなことないやろ!まぁええわ。俺、ちょい、声かけてくるわ!」

何が、「まぁええわ」やねん。ホンマ、マサルはよぉわからん。そう言ったかと思うと、すぐに、右のドアを開けて、麻呂のおっさんの所に走っていきよった。

「おフネさんは、一体、何をしてはる人なんですか?」

俺は、ストレートに聞いてみた。この人、普通の人やないな。

「わたし?まぁ、普通のOLやないね。あるんよ。よぉわからん世界ってのは」

なんや、値打ちこいとんな。ただ、これから面倒な事になる予感はその時にした。嘘やない。



「小さっ!」朝見た時もそう思ったけど、3列目に座ってるおっさんを見て、改めて思った。このおっさん、140㎝ぐらいや。タキシード着ている姿は、七五三のお祝いの子供みたいや。ほんで、白い顔も、よぉ見たら、皴だらけや。そんで、チャップリンみたいな山高帽被っとんねん。なんやねん、こいつは。

「広沢の池、ホンマ、もうすぐですわ。3分もかかりませんわ」

おフネさんが、バックミラーを見ながらおっさんに声をかけた。その言葉だけ聞いたら、普通のオバはんや。

「エライすんませんな。昨日も、助けてもろて、往生しますわ」

おっさんの、「往生しますわ」の使い方に、違和感があったが、それを言ったら、おっさんの存在自体が、違和感や。ほんで、昨日は、広沢の池の場所教えただけちゃうんか?

「そんな事ないですわ。大げさですわ。昨日、車でお送りする方がよかったですね。すんません」

「いやいや。昨日、やったら、早よすぎたんですわ」

運転席と、3列目の会話は、俺と、ヒサシを通り越して、行われている。
ヒサシが咳をした。そんで、マサルは相変わらず、駐車場の場所をおフネさんに話している。

「せやけど、えらい、賑やかですな。お二人は、学生さんですかな?」

おっさんは、急に俺らに話を振ってきた。心なしか、ヒサシの顔が青くなっている気がした。

「ええ、そうです。僕ら、大学でラグビーしとるんですわ」

俺は、普通に答えたつもりやったが、ヒサシが右足で、俺の足を踏んでくる。なんや?こいつ。なんか、言いたいけど言えへんことでもあるんか?
そう思った時、広沢の池が見えた。よく見ると、池の水が抜かれていた。

「ほう。ラグビーとな。往生しますな」

またや。気色悪っ。「往生します」って、使い方、間違っとんで。

「この池は、月見の名所ですわ。なぁ、大顔さんとこの、おフネさん」

おっさんが、気色悪い事を言っている間、マサルは、おフネさんに、駐車場の案内をしているのか?何かを囁いている。

「へぇ。そうですわ。でも、今は、鯉の水揚げが終わったとこやさかい、月は空にしか見えまへん。まぁ、うちにとったら、水がない方がええんですわ。なにしろ、ここは、物の怪のせいにして、私が沈められた池やさかい」

なんや?おフネさんの話し方がおかしい。そんで、俺は、ヒサシの方を見た。ヒサシは、声に出せへんのか、首を揺らして、『車から出たほうがいい』と伝えているようだった。

「ケン、ヒサシ、駐車場がいっぱいやわ。ちょっと先まで行くで」

マサルが、振り向いて言ってきた。なんやこいつ。なんか、おかしいわ。どこかで、俺は、なるべく早く、車を降りるべきやと思った。

「今日は、お前らが、おらな、あかんねや。明日は、練習はオフや。ちょっと、つき合ってぇや」

マサルが調子に乗っている。ホンマ、腹の立つ奴や。そう言っている間に、車は、清滝道を北に進む。
このまま、「清滝トンネルをくぐったら、終わりや」俺は、何となく、そう思った。

「あんたら、何者や?車を停めてくれや。俺と、ヒサシは関係ないやろ!」

俺は、耐えきれなくなった。ヒサシは、舌打ちをしよった。もしかしたら、俺は空気を読めへんかったんか?そんなもん、関係ないわ。はよ、逃げな、どえらいことになるんやろうな。

「ケンさん、もう、今しかない。ドア、開けや!トンネル過ぎたら終わりや!」

ヒサシは、俺と同じ事を思っていたようや。ホンマは、なんの根拠もないねんけど、あのトンネルは、不気味やねん。ええ噂聞かへんしな。トンネルに入る手前の信号が赤やったから、俺らはドアを開けて、走って逃げだした。青やったら、終わっとったな。
ただ、逃げ出した言うても、一本道やから、エスカレードが追いかけてきたら逃げる事などできへん。

「往生しまっせ」

俺は、背中の真後ろで、あのおっさんの声を聞いた。だから、なんやねん。マサルも一体、何者やねん。あいつが一番気色悪いわ。
俺は、絶対に振り向いたらアカンと思った。ヒサシも、同じや。俺らは、後ろを見ずに、並んで走っとる。

意外にも、車が追いかけてくる気配がない。途中で、「今井駐車場 化野念仏寺前」と書いた駐車場まで来た。そこで、俺らは足を止めた。

「お前、途中で、何に気がついたんや?」

道から隠れるように、俺達は、駐車場の建物の影に身を隠した。それで、俺は、一番、気になっている事をヒサシに聞いたんや。まだ、息が上がっとったけど。

「俺には、何も見えんかったんです。ケンさん、車で誰と話しとったんですか?」

俺は、思いっきり叫んだわ。こいつ、何を言うとんねん。

「お前、朝、白い顔のおっさんを見たって言うたやないか。それが、さっきは見えてへんってどぉいう事やねん!」

もう、全然、わからへん。おフネさんが、「大宮人って見える人にしか見えへんねん」って言うとったけど、今さっき、ヒサシには何も見えてなくて、俺らが話しているんも、ヒサシには、聞こえへんかったということか?

「あれ、適当に言うただけです。そしたら、ケンさんが、のっかってきたから、空気読んだんです。てっきり、ふざけているんやと思ってました。おかしいなとは思とったんですけど、『まぁええわ』ぐらいにしか思ってなかったんです。それが、さっき、車止まった時も、ケンさんが話している時も、俺には何も見えてなかったし、ケンさんの声とか、他の人の声以外、何も聞こえんかったんです」

気持ち悪っ。嘘やろ?んで、空気読み過ぎにも程度があるやろ!逆に空気読めてへんやん!
もう、あいつらの正体など、どぉでもええわ。こっから、どうやって帰ろ。嵐山に行く方が近いか。もう一度、走るしかないな。

そう思った時、駐車場に、車が入ってきた。それも、4台も。全部、黒のエスカレードや。すっかり暗くなってしもたから、誰が運転してんのかは見えへんかった。

「一つ積んでは父のため 二つ積んでは母のため……」

もう、なんやねん。なんの話や!ええ加減にせい!念仏みたいなんが聞こえてきたんや。
俺は、ヒサシの方をみた。ヒサシは、ただ、ごっつ震えとった。

「お前、なんも見えてへんのか?なんも、聞こえてへんのか?」

「いや、ケンさんこそ、あれ、見えてへんのですか!」

何をいうてんねや?エスカレードが止まって、気味の悪い念仏みたいなんが、聞こえとるやんけ。

「あかん。こっちもや!ケンさん、早よ!早よ逃げましょ!こいつら、何人おるんかわかりませんけど、突っ走るしかできません!」

今度は、俺が見えてへんみたいや。もう、いちいち、驚くんもしんどいわ。

「清滝道を下ります!見えてへんのやったら、都合がええですわ。何百人も、白い顔のおっさんが念仏唱えて、坂を登ってきよるんですわ!」

鬱陶しい!マサル!アイツもグルやったんやろうな!今度会ったら、アイツ、半殺しにせなあかんわ。

「ヒサシ!とにかく、嵐山の方に行くで!ここ、下ったら、観光地や!誰か本物の人間がおる筈や!」

もう、どうにでもなれ。俺が見えてへんのは、人間やない。それやったら、誰も俺らを捕まえられへん。一応、ラグビーやっとるんや。素人のタックルでは倒れへんわ!



化野(あだしの)は、古くから、埋葬地として知られているらしい。
んで、その辺の、無縁仏の石塔、石仏を集めたモンを、親よりも早く亡くなった幼児が、父母のために石を積み上げた、河原を思わせる事から、西院(さい)の河原と呼ぶようになったらしい。実際、化野念仏寺には、そういう、石を積み重ねたもんが置いてあるらしいわ。
まぁ、あの辺で、変な事が起こるっていう話は、聞いたことはないけど、「さもありなん」ってやつやな。

あと、広沢の池。
確かに、昔は月見の名所やったそうや。んで、『大顔』言うんは、昔の天皇の親王の妾の名前や。
あの、源氏物語の夕顔のモデルやそうや。俺は、読んだ事ないけどな。なんでも、その親王いう奴が大顔を伴って、こっそり広沢の池に来た時に、大顔は変死したらしい。

そんなん、どぉでもええねん。

なんで、俺とヒサシが、あんな、訳わからへん事に巻き込まれたのか、全然、思い当たる節がない。

あるとしたら、俺と、ヒサシの苗字は同じや。「村上」って言うんや。んで、『大顔』を妾にしとった、親王の親父は、「村上天皇」言う人らしい。

その辺は、ヒサシがスマホで調べとった。知らんけど。

で、マサルや!あいつ、結局、あの日から、姿を見せてへん。
何よりも、気色悪いんは、俺とヒサシ以外に、マサルの事、誰も知らへんねや。ラグビー部の奴らもそうやし、学生部にも問い合わせてんけど、そんな、学生がおったいう記録がないんや。俺なんか、2年も一緒やってんけどな。

魔が去ると書いて、マサルか。

そう思っとこ。
あいつの事は、ホンマ、よぉわからへん。
飯、おごらんかったらよかったわ。


おわり




一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!