欲しいものは学習能力
いやいやいやいや、ちょっと。「電話なんだった?」くらい言えないの?ねぇ。なんなんだよ、全く。そっちの仕事が大変なのもわかるよ。わかるけどさ。
痛切に、文字通り。痛いほど感じております。こんな歳で、こんなことになるなんて。全くもっての「自業自得」。
ご気分を悪くされる方もいらっしゃるかもしれません。もし、読んでくださる方が居れば、の話ですが。
わたし、つい、この間まで妊婦でした。9週目。流産でした。
6年付き合ったモラハラDV男と、やっと別れることができて数ヶ月。自由を手に入れた私は、本当に久しぶりに自分の時間を取り戻していました。 ろくに友達にも会えず、それが異性となると皆無で、だから数年ぶりに再会した彼が (以降、Kさんと記させていただきます。)今では趣味を仕事に変え、自分の会社を持ち、相変わらず楽しそうにしている姿は、もうそれだけでドキドキしました。
Kさんとは知り合って20年ほど。初めは共通の趣味を持つ友人でしかなかったのですが、色々な偶然が重なり、丁度?結婚適齢期真っ只中だった私は、Kさんの言葉で当時、式場まで抑えていた婚約者との別れを決意。Kさんは引き止めたつもりは無かったと思います。ただ本当に偶然が重なって、重なって、、、今思えば、出会った頃から私はKさんが好きだったのだと思います。だから、偶然だろうが、あのタイミングでKさんと再会したことに勝手に意味を持ってしまいました。
体の関係を持つまで、それからそんなに時間はかかりませんでした。車で3時間以上離れたところで生活していた為、頻度は半年に1回程度。でも、どちらか、もしくはどちら共に付き合っている相手がいても、その関係は続いて居ました。Kさんが結婚してからも。 さすがに、Kさんに子供が産まれたとき、もう会えなくなるんだろうな、と思ったのを覚えています。なのに。数年ぶりに会うKさんの笑顔。周りの友人と変わらない私への態度。懐かしい顔ぶれが揃ったお店を出る頃には、さり気なく手を握ってくれたりもして。良くないことなのは分かっているけど、付いていかずには居られませんでした。あ、でもですね、彼は1年前に離婚していて、この夜から再び始まった私たちの関係は、不倫でも、浮気でもないものでした。罪悪感を抱くようなものではなく。付いて行った後に知ったんですけどね。
それからも、相変わらずの遠距離。それでも、何とか予定を合わせて会う機会を作りました。Kさんは何度も「幸せだ」って言ってくれました。ドライブしたり、ご飯を食べたり。ごく普通の「カップル」みたいな時間。
たったひと月。生理が来なくなりました。新型コロナウイルスの影響で、ジワジワと世界が変わり始めていました。Kさんの会社も大打撃。夏くらいまでの仕事、収益の見込みが無くなっていました。「重なる時は重なるもんだな、、、。」電話の向こうのKさんの困った顔は、すぐに想像がつきました。 案の定、Kさんは産むことに反対。理由は元々、子供があまり好きではないということ。経済的、環境的にも無理があるということ。無理して産んでも、誰も幸せにはなれないということでした。急いで会う予定をたて、顔を見て話し合いました。Kさんの意見は変わらず。それを踏まえて、あとはわたしに決めさせて貰いたいと伝えました。Kさんは良く思ってないようでした。でも、だって、わたしは出会った頃からKさんが好きだったから。Kさんのような子供が産まれるなら、わたしはその成長が楽しみで仕方ない。めいいっぱい愛せる。それだけで生きていけるような気がしました。結婚は望んでいませんし、Kさんに「お父さん」として共存してもらおうとも思っていません。Kさんにはそのままで居て欲しかったし、私自身、結婚=幸せではないと思っています。Kさんに迷惑はかけないつもりでした。、、、迷惑って。。。。なんだよって話ですけどね。
迷わなかったわけではないから。きっとお腹の子にも、要らん気持ちが伝わったのかもしれないです。
今でも、気付いたらお腹に手をあててたりします。もう居ないんだーって、ハッて気付く感覚です。そしたらもう、初めから、全部想像だったんじゃないかって思ったりします。まだ居てくれる気がしたり、初めから妊娠すらしてなかったのか?って思ったり。急に泣き出したりします。嘘じゃないなー、全部。現実。
流産したことを伝えた時、Kさんは「お前が無事なら良かった。」とだけ。それからメッキリ、連絡が減りました。わたしも、どうすることが普通だったかわからなくなったし、Kさんが冷たい、怖い気さえしてます。
9週間。たった2ヶ月ちょっとの妊婦期間。妊娠してるとわかった日から迷ったりもしたけど、わたしは幸せでした。喜んでは貰えなかったけど、それでもKさんの子供がお腹にいる。それだけで。幸せでした。
なのになー。こんな結果になって。Kさんとの関係もギクシャクしてしまってます。コロナで会社、大変だろうし、ほんとに、明日の事さえ見えない状態なんだろうと思います。Kさんの会社のために、私に出来ることはありません。難しい経営の話もわかりません。Kさんはとても努力家です。その努力を人に見せません。努力と思ってないかもしれないです。改善策を練って、現状を打破しようとして、なんなら、この状況すら楽しんでいるんじゃないかな。早くコロナが落ち着いて、Kさんの仕事が元通りになればいい。そしたら、また会えないかな。会えないかな。。。
残念。わたしって残念。致命的。学習能力がない。今回のことに限らず、たぶん、きっと、物事を見極める力がない。そうやって思いながら、やっぱり今もKさんが好きだなーと思ってしまいます。15年近く、わたしの中にはKさんが居て、代わりは居なくて、だからこれから先もきっと、ダメだダメだって思いながらKさんを真ん中にして生きていくんだな。他の誰といても。
遺書みたいなもんです。死んだりしませんが。そして、幸せな妊婦期間をありがとう。