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【美術展2024#90】テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする@東京ステーションギャラリー

会期:2024年10月12日(土)〜2025年1月5日(日)

「Plain, Simple, Useful(無駄なくシンプルで機能的)」なデザインが生活の質を向上させると信じ、個人の生活空間から都市、社会までを広く視野に入れ、デザインによる変革に突き進んだサー・テレンス・コンラン(1931-2020)。本展は、イギリスの生活文化に大きな変化をもたらし、デザインブームの火付け役にもなったコンランの人物像に迫る日本で初めての展覧会です。

戦後まもなくテキスタイルや食器のパターン・デザイナーとして活動を始めたコンランは、1960年代、ホームスタイリングを提案する画期的なショップ「ハビタ」をチェーン化して成功を収め、起業家としての手腕を発揮します。そして、1970年代から展開した「ザ・コンランショップ」におけるセレクトショップの概念は、日本を含む世界のデザイン市場を激変させました。このほか、家具などのプロダクト開発、廃れていたロンドンの倉庫街を一新させた都市の再開発、書籍の出版など、関わった事業は多岐にわたります。いっぽう、1950年代からレストラン事業にも乗り出し、高級レストランからカジュアルなカフェまで50店舗以上を手がけ、モダン・ブリティッシュと称される新しい料理スタイルをイギリスの食文化に定着させました。長年あたためていたデザイン・ミュージアムの設立構想を1989年、世界に先駆け実現させたことも大きな功績のひとつです。

本展は、パターン・デザインした食器やテキスタイルなどの初期プロダクト、家具デザインのためのマケット、ショップやレストランのためのアイテム、発想の源でもあった愛用品、著書、写真、映像など300点以上の作品や資料に加え、彼から影響を受けた人々のインタビューを交えながらさまざまなコンラン像を浮かびあがらせます。

東京ステーションギャラリー


「始発駅」という響きにわくわくする。
特に歴史がありクラシックな雰囲気を纏う駅は大好きだ。
東京ステーションギャラリー(東京駅)に来る度にこのまま新幹線に乗ってどこか遠くに行きたくなる衝動に駆られる。


さて今回のテレンス・コンランだが、今まで「コンランショップの人」というくらいしか意識していなかった。

そもそも近代デザイン史でイギリスデザイン物っていまいちパッと思いつかない。
C・R・マッキントッシュの《HILL HOUSE Chair》くらいか。

我が家のHILL HOUSE Chair by Cassina


英車だとロールスロイスとかベントレーとかミニとか美しいデザインの名車がたくさんあるが、どれもクラシックスタイルのイメージが強い。
今となってはそれらのメーカーも全て外国資本傘下になってしまい、ジャガーやランドローバーに至っては旧植民地インドのTATA社傘下になっているという皮肉。
まさに栄枯盛衰、諸行無常。

そしてインテリア関連はそれこそウィリアム・モリスくらいの時代まで遡らないと(私の中で)イギリスが登場しない。
家具やインテリアだと近場のイタリア、フランス、ドイツ、そして北欧系の印象が強すぎる。

そういうわけでイギリスは音楽やファッションなら色々あるのだけれど(私にとって)近現代デザインの印象は薄い。

まあ行ってみよう。

「いいデザインとは、98パーセントの常識と2パーセントの美学から生まれる」

テレンス・コンラン

「いいデザイン」の定義も「常識」の定義も、時代や地域、価値観や美意識によって全く異なるよなあ。
そもそも常識って前時代の共通認識的価値観だから98%も持ってかれたら新しいものはなかなか生まれないのでは、なんて思った。

だが、それ以前のイギリスのスタンダードであったヴィクトリアスタイルのゴテゴテした装飾を一掃するかのように、1960年代にライフスタイルを提案する店「habitat」をオープン。
近現代のマーケットの礎となるような商品展開や売り場の工夫を次々と行う。
そして1970年代にセレクトショップ「THE CONRAN SHOP」をオープン。
今となってはどちらも当たり前に存在する店舗形態だが当時はさぞ新鮮だったに違いない。
今でいうところの「無印良品」と「BEAMS」を立て続けに開業したみたいな感じだろうか。

1964年のhabitatのカタログにはハリー・ベルトイアのサイイドチェアや、近年Cassinaから再復刻版が出たヴィコ・マジストレッティのチェアなども載っている。


東京ステーションギャラリーは旧東京駅の遺構をうまいこと用いてアイデンティティとしている。

工事用パイプなども什器として用いており、秋に見たSIDE COREが思い起こされる。

煤けたレンガの壁がイギリスのクラシックなイメージを感じさせた。
そのためそこに置かれるコンラン関連のものがより映え、そして歴史の重なりも暗喩しているようにも思えた。

館内は基本的に撮影禁止だったが一部屋のみ撮影可だった。

ロンドン郊外の自邸。

古今東西のオブジェやガラクタがとりとめなく並ぶ。

わかるわ〜


そしてコンラン氏はただのデザイナーではなく、レストランやビル、果ては街づくりなども手広く手がけたりする超やり手の起業家でありビジネスマンだった。
そういえば麻布台ヒルズにも新店舗「The Conran Shop 東京店」が入った。
コンランショップ初のレストランを併設とのこと。
一度くらいは行ってみたいが…高そうだな。


ミュージアムショップではコンランショップ限定カラーのVOLTAモビールが何種類か売っていて、危うくポチりそうになってしまったがまた嫁に怒られると思いギリ堪えた

我が家のVOLTAモビールと李禹煥の木版画



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