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【美術展2024#46】未来のかけら:科学とデザインの実験室@21_21 DESIGN SIGHT
会期:2024年3月29日(金)〜9月8日(日)
21_21 DESIGN SIGHTでは、2024年3月29日より企画展「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」を開催します。展覧会ディレクターには、幅広い工業製品のデザインや、先端技術を具現化するプロトタイプの研究を行うデザインエンジニアの山中俊治を迎えます。
みなさんが思い浮かべる未来は、どのような姿でしょうか。あまりに壮大で漠然としており、はっきりとした輪郭をつかむことは難しいかもしれません。しかし、だからこそクリエイターたちは、未来に対するさまざまな可能性に思いをはせます。美しく、驚きにあふれた、より魅力的な世界を想像し、プロトタイプを通じて確かめるのです。今、私たちが未来のかたちをはっきりと描くことはできなくても、生み出された「未来のかけら」を通じて、その一部にそっと触れることはできるかもしれません。
本展では、山中が大学の研究室でさまざまな人々と協働し生み出してきたプロトタイプやロボット、その原点である山中のスケッチを紹介するとともに、専門領域が異なる7組のデザイナー・クリエイターと科学者・技術者のコラボレーションによる多彩な作品を展示します。最先端技術や研究における先駆的な眼差しとデザインが出合うことで芽生えた、未来のかけらたちを紹介します。
多様な視点が交わり、想像力が紡がれる会場で、科学とデザインが織りなす無数の可能性と、まだ見ぬ未来の世界に向かうデザインの楽しさを体感する機会となれば幸いです。
ディレクターは元東大教授の山中俊治氏。
氏いわく、「東京大学にはどうなっていくのかわからない研究がたくさんあったため、私にとってはまさに宝の山。『すぐには役に立たない』というのは重要なことだ。『未来のかけらをつくること』をテーマとする本展では、研究を続けていくうちに恵まれた多くの仲間によるプロジェクトを紹介している」とのこと。
展示は思いっきりアナログの関節模型から始まる。
パズルのようにバラしたり組み立てたりできる。
可動域に合わせた理にかなった形状は本当にすごい。
まさに生命の神秘。
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構造の動きのアニメーション。
動きの美しさを追求して構造を設計しているわけではないはずだが、合理的な動きを追求すればするほど美しい動きになっているのが逆説的でおもしろい。
中央の装置をいじると内部構造や機構を拡大して見ることができる。
メカ部分も本来見えない場所だから美しくある必要はないはずなのだが、それすらも美しく見えてしまうのはやっぱりおもしろい。
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現実的にすでに稼働中のロボット。
形状も機能も年々進化している。
バージョンアップをするごとに現実の生物の形状や動きに近づいているような気がする。
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通常、服は体のラインに沿わせ幾つかに別れたパーツを縫い合わせて仕立てるが、この服は一枚の布をほとんど縫製せずに仕立てる。
そのために特殊なパターンをつけ、熱で収縮する技術を用いて平面を立体化している。
日本人は昔から折紙に慣れ親しんでいるから割とすんなりと平面から立体を作るという感覚を受け入れられると思うが、そのような概念のない国々の方にはかなり奇抜に映るのでは。
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アスリート用義足。
サラブレッドの後ろ足のような形状。
やはり「早く走る」という目的に対して人型よりも適している形状なのだろうか。
だがそこには実用性だけでなく、いかに美しい形状にするかという美意識がしっかりと感じられる。
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昆虫の羽根模型。
軽く薄く無駄なく開閉できる機能と美しさを兼ね添えた昆虫こそ生命の神秘。
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時代が未来になったからといって人間が飛べるようになるわけでもなければ、魔法が使えるようになるわけでもない。
結局人間は昔も今も、そして未来も人間の限界を超える能力を持つことはできない。
人間は他の生物に劣る部分がたくさんある。
だが人間にはそれを補うべく他の生物には無い想像力と美意識がある。
会場には一見何に使うのかわからないものもたくさん並べられていた。
想像力と美意識を駆使して、近い将来それらの「未来のかけら」から世界を変えるプロダクトが生まれていくのだろう。
子供の頃に見たSF映画などでは未来の様々なものが無機質な形状で描かれていることが多かったように思うが、ここに展示されているものの形状や動きのアイデアソースは、ほとんどが生物の形状や動き、自然界のパターンなどに収束していた。
ヒントは私たちの身の回りにたくさん転がっていて、それに気づくのも気づかないのも当人のアンテナの張り具合なのだと改めて思った。
感度は低いかもしれないが私も常にアンテナを張り、私なりの想像力と美意識を駆使して世界の解像度を高めていきたい。
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