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【美術展2024#92】ニュースを伝える情報デザイン~インフォグラフィックスと新聞整理の世界~@日本新聞博物館

会期:2024年9月7日(土)~12月22日(日)

新聞社や通信社の記者は、ニュースを多くの人に伝えるため、分かりやすい文章で記事を書こうと努めています。そうして書かれた記事をもっと多くの人に、もっと分かりやすく伝えるためには、「情報デザイン」が欠かせません。大きな新聞紙面を生かし、グラフや図表、写真とテキストを組み合わせた迫力あるインフォグラフィックスは、その優れたデザインが評価されています。
新聞紙面には、たくさんの情報を素早く読み解くための工夫が凝らされています。記事の書体(フォント)も、読みやすさを求めて進化しています。
デジタル版では、より多くの情報を伝えるため、動画や音声とテキストを組み合わせたり、ユーザーが操作できるグラフィックスを作成したりしています。

本展では、社会生活に欠かせないニュースを届け、社会の共通理解を作っていくために、新聞社・通信社が取り組んでいる「情報デザイン」をご紹介します。

日本新聞博物館


近くに用事があったのでふらりと立ち寄ってみた。

「情報デザイン」の展示なのだが、入り口の垂れ幕は情報がごちゃごちゃして視認性が悪い気もするのはご愛嬌か。


1章 インフォグラフィックスの世界

中の垂れ幕はすっきりして見やすい。

企画展示室は会場風景としての写真は可だが個々のパネルの写真は不可だった。

写真やグラフを用いて視覚的に表すインフォグラフィックス。
文字だけの記事より圧倒的に直感的に情報が入ってくる。
動画全盛の時代だが、そんな中であえて静止画として存在する必要性や拡張性はまだあるはず。


2章 フォントの世界

新聞社ごとに使っているフォントが違い、さらに文字の大きさごとにもそれぞれ形を変えていたのは興味深かった。

そして昔はこんなのを並べて誌面を作っていたのだなあ。

気が遠くなる


3章 新聞整理の世界

新聞紙面のレイアウト
新聞紙面のレイアウトは「流れるように組む」ことが基本とされてきた。
右上のアタマ(トップ)記事から始まり、紙面全体に自然と目線が流れていくような組み方だ。「流す」レイアウトは、たとえ印刷部門に引き渡す最終時刻(降版時間)直前でも、急なニュースに対応し、組み替えやすいというメリットがあった。
しかし現在では、「流す」レイアウトに対して読みにくさを感じるという読者に対応し、なるべく記事の形が四角くなるようにした「ブロック組み」が増えている。今回の展示に当たって新聞社に行ったアンケートでも「若者は新聞独特の流し方に読みにくさを感じているようなので基本的にブロック組みにした」との回答があった。可能な限り記事と写真をひとかたまりに配置することで、スクラップもしやすくなった。

キャプションより

時代によってレイアウトが変わる。
確かに私もブロックの形を決めてテトリスのように合わせる「ブロック組み」の誌面の方が読みやすい、というかデザイン的に好きだ。
「流す」レイアウトのメリットである「急なニュースに対応しやすい」というのはあくまで新聞社側のメリットであって、消費者側のメリットではなかったということか。


4章 これからの情報デザイン

YouTube、Instagram、X…、次々と世界を変えるような新たなメディアが生まれてきたインターネットの世界では、今後も新たな表現が次々と誕生することだろう。
それに伴って情報伝達のための新たなデザイン表現も加速度的に広がっていくはず
オールドメディアである紙の新聞としてのシェアはもう復権することはないと思うが、逆に紙にしかできない表現を模索してなんとか生き残りの活路を見出してほしい、なんて思うのはやっぱり紙媒体が減少していくことへの一抹の寂しさを感じてしまう昭和生まれのおじさんだからか。


こちらは常設展。

日本の新聞の歴史
時代の変遷を辿る


大きな機械が展示されている。

マリノニ型輪転機

マリノニ型輪転機
日本の新聞社に初めて導入された輪転機は、1890(明治23)年に朝日新聞社が導入したフランス・マリノニ社製の輸転機でした。明治30年代末になると、同社の輪転機を参考にした国産の「マリノニ型輸転機」から普及し始めます。それまでの印刷機が4ページの新聞を1時間に1,500部しか印刷できなかったのに対し、4ページの新聞を1時間に最高24,000部印刷することが可能になりました。
当館所蔵のマリノニ型輪転機は、東京機械製作所が1922(大正11)年から1936(昭和11)年までに製造した62台のうちの1台です。

キャプションより


情報伝達の歴史を辿る。

現代は情報の海


同じトピックに対して視点の違いで全く違った内容になるのは面白い。

どう捉えるか。
どこから見るか。
何を切り取るか。


情報が溢れる現代。
何が真実で何がフェイクなのかを見極めるために、自らの目で見て、自らの頭で考えることが今まで以上に必要だ。
新聞も問われるが我々も問われている。


2024年の新聞広告賞。


今でも私の記憶に強く残っている新聞広告賞が2013年のこれだ。 ↓

まさに世界の縮図

10年以上前の広告だが簡潔な文と絵から受ける強烈なインパクトは全く色褪せない。
むしろ戦火が絶えない今こそ世界中に問いかけたい


クラシックな佇まい


吹き抜けには巨大輪転機がそびえ立つ。

ラスボスの風格


外に出て港沿いを歩く。

紅葉が綺麗だった。



【美術展2024】まとめマガジン ↓


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