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【美術展2024#83】Ronan Bouroullec: On Creative Session@21_21 DESIGN SIGHT

会期:20241025()1124()

製品プリーツの技術をものづくりの背景に、普遍的で新しい日常着を提案するブランド、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEが、野性溢れる創造の世界を探険するものづくりへの姿勢をもとに、デザイナー/アーティスト、ロナン・ブルレックと協業するプロジェクト「クリエイティブ・セッション」。これは、デザインチームとブルレックが互いにものづくりの本質そして親和性を探りながら、新しいものを生み出そうとするプロセスです。ブランドのデザインチームが同氏の描いた作品の世界に没入し、生き生きとした数々のドローイングから見出だした色と形、そして筆致の流れる動きまでを服づくりに取り込んでいます。
本展はこのクリエイティブ・セッションにおける創作の現場を「ドローイング」と「服づくり」という二つの側面から紹介し、デザインチームとブルレックの交流を明らかにします。ドローイングからは原画やそれを収める映像作品を、服づくりからは技法ごとに分けた試作品や製作工程の映像を展示し、一着の服の発想から形になるまでの発展を追います。それに加え、ブルレックがクリエイティブ・セッションについて語る映像により、デザインチームが同氏の精彩に満ちたドローイングに向き合い、服づくりで表現する過程とその挑戦を見せます。
本展を通して、この一見異なる二つの創作分野の交流でできたつながり、そして重なりが見えてくるでしょう。

21_21 DESIGN SIGHT


21_21 DESIGN SIGHTにて「ゴミうんち展」を出た後、対面のギャラリー3ではISSEY MIYAKEとロナン・ブルレックのセッション展示が行われていたのでフラリと立ち寄ってみた。


ロナン・ブルレックと聞いて真っ先にこれが思い浮かんだ。
我が家でも一時期用いていたVitraのアルギュ。
今は外しているのだがこれを機に再び出してみようかな。

VitraのHP内でのロナン&エルワン・ブルレックのインフォメーション ↓



私にとって三宅一生といえばこの《フライングソーサー》のインパクトが強い。

カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展


だが、そもそも三宅氏はここ21_21 DESIGN SIGHTの創立者なので、今までの企画展やギャラリーでもちょいちょい作品が登場してきた。

ちなみに前回の「未来のかけら展」ではこんな感じの作品が出品されていた。↓

折り紙から着想



そして今回は「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のメンズライン「HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE」とロナン・ブルレックのセッションだ。

結論から言ってしまうと、デザイナーの苦悩や決定までのプロセスがコンパクトなスペースに簡潔にまとめてあり、わかりやすく、そして楽しかった。


ロナン・ブルレックによる紙ナプキンへのドローイング。
アイデアは落書きから生まれるのだ。

映像も


紙へのドローイング。
作品っぽくなってきた。

プリーツにドローイングを落とし込む。
生地に凹凸があるからまたイメージが変わる。

折り紙のような服のパターンにドローイング。
それを実際の服に落とし込む。
紙にドローイングをした時の印象は立体化するとかなり変わる。
服は動きもあるからなおさら難しい。


シルクスクリーンを用いて服にプリント。
色のパターンを探る。

シルクスクリーンの版

服に落とし込む。


こちらは刺繍でドローイングを再現。

明度や彩度の細かい違いを比較する。

これでいってみよう。

絵の具とは違う色の出し方。
細かい色の複雑な重なりでより深みが出る。

部分拡大


こちらはプリーツ生地そのものにはじめから色をのせるパターン。



デザイナーやパタンナーはいかなる時も徹底的にこだわる。
その都度のモチーフを文化や歴史まで深掘りして紐解き、独自の解釈で意味や意義を再構築し自ら新たな文脈を作り出す。
素材の製法、原材料、原産地など、そのこだわりは糸の一本一本にまで及ぶ。
それはファッションの域を超えて時に文化となる。

けれども綺麗事ばかりも言っていられない。
時代の最先端を走り続けなければならないことを宿命付けられている分野。
次から次へと新しいコレクションを生み出さなければならないが、次の瞬間にそれはもう過去のものとなる。
毎シーズン大量に消費されていく服の中でも、デザイナーズ系はその消費サイクルの最たるものではないだろうか。
当然商業的に成功しなければ事業としては続けられないので理念と現実にいかに折り合いをつけていくか、経営陣はさぞ苦悩していることだろう。

SDGsが叫ばれて久しいが、気付けば2030年が見えてきた。
「持続」しながらどのように「発展」させていくか、そのバランスをどの業界も問われているが、そこにデザインが加わることでより美しく世界を変えることができるはず。

もっと想像力を膨らませよう。
もっと美意識を高めよう。
21_21 DESIGN SIGHTの企画はいつもそんな前向きな気持ちにさせてくれる。

前話の「ゴミうんち展」の感想と重なるが、やはりこちらでも同様にそう思ったのだった。



【美術展2024】まとめマガジン 


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