面の皮が厚い男と、足裏の皮が厚い女
毎週土曜日、自治体が開催する短期の体操教室に通っている弟。コロナ対策のため、体育館の入場時に検温がある。
教室の代表を務める、おそらく70前後であろうおじいちゃん先生(元体操日本代表選手で、80年代は日本代表の強化コーチもしていたという権威あるお方)が、検温担当なのはいささか心配ではあるが、コロナの前から「受付はおじいちゃん先生」と決まっているし、役割的に仕方がないのかな。
何にせよ、おじいちゃん先生が非接触型の体温計をおでこにかざして検温してくれるのだが、夫がこれに嘆いている。いつもエラーになってしまうからだ。かれこれ10回以上参加しているが、見事に毎回なのだ。夫の毛髪は、いつも見ていると気づかないけど、1年前の写真と見比べると確実に進んでいるねぇ、という非常に自然体な感じで後ろ歩きしているので、おでこの総面積はそこそこ広い。なのでエリアを変えて測り直すことも可能なのだが、それでもダメなのだという。どんだけ面の皮が厚いのかね。
しかもおじいちゃん先生は、一週間も経つと、毎度お馴染みのはずの『面の皮厚い男』のことを忘れてしまっているようで、
他の人と同じように体温計をおでこにかざす→エラーが出る→「おかしいなぁ」と言って、エリアを変えて測る→やっぱりエラーが出る→「熱ないですね?」と、夫に口頭で確認する→夫は「はい」と答える→入場許可を得る
という一連の流れを毎度毎度、繰り返しているとのこと。こりゃ面倒だわ。でもしょうがない。おじいちゃん先生は、職務を全うしているだけなのだ。それにしても、何でこんなことになるんだろう。不思議に思っていたら、怪しいニュースを発見。
粗悪品というか、これはもう違法だが、医療機器としての性能が認められない体温計が結構な量、出回っているのかもしれない。夫とこのニュースを見た瞬間、「おじいちゃん先生のもそうに違いない!」と声を揃えた。
面の皮厚い男の不安はとりあえず解消された。でも弟は毎回、平熱で感知されるのはどうしてなんだろうね。
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少し前から、体組成計に乗ると計測エラーが出るようになった。夫もたまに出るというので、「そろそろ電池切れかも」ということで話が結論づいていたが、寒さが増すにつれ、数字は出るがそこでフリーズして、その先の体脂肪やら筋肉量やらの項目にたどり着けない事象が発生するようになった。
私は冷え性なので、末端は基本冷えている。体組成計に乗るときなんて真っ裸なわけなので、冷えているに決まっている。足裏が冷た過ぎて、測定できないのかな。いつもは入浴前に計測するのを入浴後にしてみた。でもダメだった。冷たい板に何度も乗るのは冷え性的にしんどすぎる。ちょっとほったらかしておくことにした。よくわかんないけど、そのうちに復活するかもしれないし。そうして今日、久々に乗ってみたのだが、やっぱりダメだった。
唐突に『面の皮が厚い男』のことを思い出し、我が足の足裏の皮の厚さに思いを馳せた。そっか。原因は、足裏の乾燥かもしれない。乾燥肌の私は、小林製薬のCMみたいに、冬になるとかかとが分厚く硬くなってひび割れる。愛用中の『オルビスディフェンセラ』のおかげで例年より良い状態だが、加齢には勝てないのか、体組成計は見事に弾き返してくれた。
湿気が戻ってくれば柔らかい状態になるだろうけど、これから肌はどんどん乾いて、足裏の皮は分厚く硬くなっていくだろう。当分、正しい計測はできないだろうなぁ。
新潟や群馬では記録的な大雪になっているとのこと。被害も出てきているので、これ以上、酷くならないことを祈っている。越後山脈で雪が降れば、東京に吹き込むのはからっ風。今日は、ため息が出るほど美しい真っ青の快晴だった。東京にも本格的な冬がやってきた。