暗がりの中で
題 暗がりの中で
暗がり・・・・
「ギャアアアアア!!!」
私は突然の停電に悲鳴をあげた。
て、停電、停電・・・・。
どうしよう・・・・。
夜、8時、父親も母親もまだ家に帰宅してない。
部屋を移動しようとすると、下に置いてあったテニスラケットにつまずいてそのままダンッと転ぶ。
いたぁ・・・。
私は半泣きでぶつけたおでこをさする。
まだ暗いままで、全然辺りが確認できない。
とにかくドアまで行かなきゃ・・・。
私はそろそろとドアまで行くと、廊下へ出た。
うっ、暗いよ〜。
あまりの暗さに終わりがないような飲み込まれるような闇に感じる。
行くのやだな・・・。
若干の暗所恐怖症がある私はそんな想いに囚われる。
なんて言っててもしょうがない。
私は、こわごわ真っ暗な廊下を進んで、階段をこわごわ降りた。
慌てると踏み外しそうでそろそろ出来うる限りゆっくり、恐怖心と戦いながら降りた。
一階に降りて、ブレーカーを上げるために浴室の脱衣場を目指す。
しかし暗いなぁ。
台所からピチャ、ピチャって、水の跳ねる音がして、しかも、時計のカチカチの音も聞こえて来て、私の恐怖心を増長させる。
やっと脱衣場にたどり着いた時は、実際よりももっともっと時間が経過した気がした。
無事ブレーカーを上げると、一斉に電気が点灯する。
はぁぁぁぁ。
よかったぁぁぁぁ。
私は心から安堵のため息をついた。
明るいってこんなに幸せで安心することなんだな。
今までの暗さ一杯の中にいた時の恐怖心が払拭されて、気持ちも明るくなる。
降りてきた時とは心が別人のように足取りも軽く、私は2階の自室に戻っていったのだった。
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