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わたしは夫が好きすぎる

わたしは今、「わたしは夫が好きすぎる」という本を書いている。
単に夫が好きとか、こういうところが格好いい、なんてことではない。
夫シンシンが好きすぎるあまりわたしは不機嫌を持て余しており、その不機嫌を解消するために、シンシンにちょっとしたふくしゅうを行っている。
ここでは本の内容というよりも、サイドストーリーのようなものを書いていけたら良いなと思っている。

わたしはシンシンが大好きだ。
しかし、本編を読むとわかる通り、わたしはシンシンのここが好きとか、気に入っているとかいうところがない。
むしろいつも迷っているのである。
いま目の前にいるシンシンの、一体どこが好きでどこが愛しいんだろうと思いながら、一緒に暮らしている。

シンシンは普段、激務でヘロヘロしているけど、仕事をしているときは結構シャンとして頑張っている。
憧れてくる女子社員もいるようだ。
しかしわたしの傍にいるときのシンシンは大体「ゆるんでいる」状態であり、袖先が擦りきれてバサバサになったスウェットやクタクタの
Tシャツを着て、目に入った日焼け止めに涙しながら鼻毛を出しているようなひとである。

そんなシンシンのどこがそんなに好きなのだろう。
その答えは、きっとこれから長く共に暮らすなかで洗練されて、砂金のように美しく輝いて見えてくるのではないか。

だって、普段、鼻毛を出して首を直角に負った体勢で眠っているシンシンが愛しい、なんて思うだろうか。
わたしがその光景をみて先に思うのは、「しんでる?!」である。
シンシンは体温が低いので、しんで少したったくらいかも、と思うことがたまにある。
でもこの人がいなくなったら、とこの世に未練の種を植えてしまったわたしは、生涯この夫を愛し、寄り添っていくのだろう。
どこが好きか、なぜ好きなのかなんてわからないが、わたしにはこのひとが必要で、シンシンもまたわたしが必要なのだろうと思う。

それでは、仕事に行ってきます。

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