第12話 ピギージョン
研究所2階へと到着した3人。
「社長こちらの研究室になります。」
第7研究室と書かれた部屋をルイスはコンコンとノックした。
「はい!どうぞぉ~。アイちゃんかね?」
マーブル博士が振り向くと驚いた顔をしている。
「おぉ‼︎どうしたんじゃ~⁈こりゃたまげたわい!珍客中の珍客じゃの~ジョンよぉ‼︎
世界のジョンがこんな辺ぴな所に何の用事じゃぁ?」
「マーブル兄さんご無沙汰しています。
ちょっと近くまで来ていたもので。久しぶりに会いに来ました。」
『ピギー・ジョン』その男は養豚家として名を馳せた資産家であり、そして何を隠そうマーブル博士の実の弟である。
ジョンは、その他にもショッピングセンター、飲食店、ホテル、銀行など多岐に渡り事業を拡大しており、世界経済を『牛耳る』ならぬ『豚耳る』富裕層の1人である。
「ジョンよ、そちらの用心棒2人も一緒とは大層な用事のようじゃが、何か問題でもあったのか?」
「兄さん、もしかしてニュースは見てないんですか?」
「ニュース?そんなもんは何年も見とらんよ。毎日毎日この通り研究と実験漬けなものでな。」
「ですよね。では手短にお話します。
ルイスくん、宜しくお願いします。」
「はい、かしこまりました。
マーブル博士、ではわたくしルイスが社長に代わりお話しさせて頂きます。」
「ああ、手短に頼むよ。」
ルイスは1年前に起きた『イベリコ豚の神隠し事件』について簡単に説明した。
「ふむふむ、なるほどな。1年前か。
そう言えば確かに地震があったのぉ。
そのせいで何個かフラスコなどが落ちて割れてしまって台無しになったのぉ。」
「ちなみに兄さんに聞きたいんですが
この辺でイベリコ豚を見かけませんでしたか?」
「ん?イベリコ豚?イベリコ豚と言えば。
(あーーーーっ‼︎‼︎アイちゃんが連れてきたあの豚の事じゃーーっ‼︎‼︎)」
「えっ⁉︎兄さん何か知っているんですか?」
「あーぁ、知っとるには知っとるんじゃが。もうあの豚はイベリコ豚というかもうすでにドングリ豚というか。」
「えっ?知ってるんですか?」
「そ、そうそう!そうなんじゃ、今アイちゃんが飼育しとるんじゃったわ!じゃからわしはイベリコ豚の事は知らんよ?」
マーブル博士は変な汗を頭全体にかいている。
「兄さんは相変わらずウソか下手ですね。
まぁとにかくそのドングリ豚とやらを見せてもらいましょうか。プロである私の目で見れば一目瞭然ですからね。」
「お、おぉ。構わんよ?では案内しよう。」
マーブル博士はジョン達をアイのいる豚小屋へと向かった。