見出し画像

第10話 謎の男達

その頃研究所に一台の車がやって来た。
森林の中にある古びた研究所には似つかわしく無い黒の高級リムジンだ。

その車中には白髪オールバックで口髭を蓄え葉巻をくわえたスーツ姿の紳士風の男性が足を組んで座っている。

黒い高級リムジンは施設入り口の前に横付けで停まった。

するとサングラスに七三分けのボディガードらしき男性2人が車から出てきた。
1人はすらっと細マッチョ系で、もう1人はガッチリ太マッチョ系。
細マッチョのボディガードが後部座席のドアを開けると中から白髪口髭の男性が出てきた。
足が悪いのか杖を持っている。細マッチョが手を添えてエスコートする。その間、太マッチョが辺りをキョロキョロと見回し警戒している。

「ルイスくん、エスコートありがとう。
ネルソンくん、警戒ご苦労様。」
白髪口髭の男性は目尻にシワを寄せて笑顔の優しそうな顔をしている。

「社長、足元にお気をつけて下さい。」
細マッチョのルイスはポーカーフェイスで背は高いが声は低いダンディーな男だ。

「社長!異常ございません!それでは所内へ参りましょう。」
対して、太マッチョのネルソンはあご髭で分厚い唇で豚っ鼻でポーキーフェイスなその顔に似合わず声のキーが高い男だ。

ネルソンはビシっと敬礼をした後、先頭に立って所内へと入って行った。

社長と呼ばれている白髪口髭の男性はカツン、カツンと杖音を立てながら太マッチョのネルソンの後に付いて行く。
そしてその後ろから細マッチョのルイスが付いて行く。ネルソンとルイスが前後で挟む形で社長と呼ばれる白髪口髭男性の全方位の護衛に付いている。

「ところでルイスくん、マーブル兄さんは今どこにいるのかね?」
白髪口髭社長がそう言うとルイスは右腕に付けた時計を見るとその側面をピッと押した。
すると目の前にフォログラム映像が映し出された。それは各研究室の監視映像のようだ。
「ええ、マーブル博士は現在2階の第7研究室におられます。」
「そうですか、ありがとう。
ネルソンくん案内をよろしく頼むよ。」

「はっ!かしこまりました!」
ネルソンは歩くのをやめビシっと敬礼をして返事をしたために後ろから付いて来ていた社長がネルソンの大きな背中にドンッとぶつかってしまった。
「アイタタ・・・。」
社長は顔面を強打し顔を押さえている。
「わっ!社長!大変申し訳ございません!大丈夫ですか?!」
後ろから急いでルイスが駆け寄る。
「おい!ネルソン!移動の際に返事をする時はいちいち敬礼はしなくていいと何度言ったら分かるんだ!まったく。自衛隊時代のクセとはいえ酷すぎるぞ!社長お怪我はございませんか?」

「ああ、大丈夫だ、心配ない。誰にだって一度や二度の失敗はあるものだよ。」
社長は笑顔でおでこをさすりながら言った。

3人は気を取り直し1階中央にあるエレベーターを使い2階へと向かった。

いいなと思ったら応援しよう!