第5話 メデタマネー
「メデルマネー?!なんかカッコいい名前!」
「本当じゃなぁ!イカしたネーミングじゃよ!」
「あ、ありがとうございます。この通貨のアイデアはメデルさんの手紙がキッカケでした。メデルさんの真似をして考えたお金ということで、『メデル真似』からの『メデルマネー』!なんてどうですか?」
「ぶあっはっはっはっ!!!」
マーブル博士はひとり笑いのツボに入った。
「何よその理由、カッコいいと思って損したわ!でもメデタが考えたんだから『メデタマネー』でも良いんじゃないの?」
「それも面白いね!でもメデルさんの手紙を読んで思いついたのは確かなんだけど、本当の意味は他にあるんだよ。」
「本当の意味?」
「そう。僕たちデター。いや、ゴキブリを忌み嫌っている人間が、いつか僕たちを通貨として価値を見出して、それが当たり前に使われる様になった時、きっと僕たちを殺したりする事は無くなってるだろう。僕達の事を大切に守り『愛でる』様になるだろう。そして植物のドングリも通貨として価値を見出す様になれば道端に落ちているドングリを大切に広い集めて、土に植え、そして『芽出る』事で成長して緑が増え、CO2削減になって、さらに地盤が固められ地球環境を整えることができる。これは僕たちデターが遺伝子レベルで言い伝えられてきたあの言葉そのものなんです。『我らは人類と地球を救う者なり』この『メデルマネー』こそが僕らに代々受け継がれて来た言葉の『答え』だったんです!」メデタは2人に真剣な表情で話した。
「メデタくん!これは凄い事になるぞ!わしはこの歳になってこんなに興奮したのは初めてじゃよ!」
「本当に凄い事だわ!メデタとメデル兄さん、メデオ父さん、そしてそれが私と博士が取り組んで来た研究成果へと全てが繋がって重なって、今叶えられようとしてる!」
「必ずこの通貨をカタチにして、この荒んだ世界を僕たちの手で変えましょう!」
「よーっし!わしも気合いが入って来たぞ!メデタ君、わしは何をしたらいいかの?」
「博士の気合い頼もしい限りです!博士はまず、培養液の昆虫達を元の姿に戻して、帰るべき場所に返して頂きたいです。さっきのムカデ君も一緒に。彼には悪い事をしましたが、急所は外してあります。人間の労働力の為に人化するのは僕らデターだけで充分ですから。」
「分かった!任せなさい!全身全霊を尽くし彼らを元の世界に戻すからの!安心せい!」
「博士、感謝します!宜しくお願いします」
「メデタ、私は何をすれば良いかな?」
「アイは、森に入ってドングリを出来るだけ沢山集めて来て欲しいんだ。」
「分かったわ!任せて!」
「ありがとう。僕は、仲間たちにこの事を報告して来るよ。これは僕にしか出来ない役割だから。」
「ええ、そうね。きっと上手くいくわ!」
「うん!それじゃ!行きましょうか!」
メデタはデター仲間の所へ、アイはドングリ採集へ、マーブル博士は検体の昆虫達を解放するためにそれぞれの場所へと向かった。