【ツクフェス復刻】はぐれ妖精グリメロ
※今回の記事は2023年5月に別のブログでワタシクが投稿したものです。
作者 ヒシグリメロ 2020/11/05投稿作品
妖精のグリメロが妖精の里を出て冒険に出掛けるというお話です。
ゴールデンウィークの休日でまとまった時間ができたので堪能させていただきました!
【セーブを忘れるな!!】
ゲーム開始時に注意事項がいくつか提示されるのですが、作者さんから直々に「セーブを忘れるな!!」と厳命されます。
これがもう非常に重要でしてですね、
と言うのも戦闘での魔法攻撃の威力が高く、こちら側が喰らうと場合によってはパーティが壊滅に陥る、あるいは全滅してしまうくらいの脅威があるんだぁ!
僕も火のせいれいに2回ほどバーベキューされまして、「セ、セーブ!セーブ!とりあえずセーブセーブ!」と事あるごとにセーブするようになりましたw
後述しますが、このあたりの戦闘バランスに関しては個人的にはかなり作り込んでいるのではないかなと思います。
【油断できない戦闘】
いわゆる王道的なRPGなのでモンスターと戦闘しつつ話を進めていくことになるのですが、
気を抜くと全滅しかねないレベルの気の抜けなさがありました。
ちょうどこういうRPGを遊びたかったところだったので、俺としてはものすごく需要と供給が一致して経済学で言うところの均衡になりましたねw
で、別にベラボーな戦闘バランスになっているわけでは全くなくて、イイ感じの難易度なんすよねぇ〜!
例えば主人公グリメロがレベルアップしても能力値がほとんど上がらなかったり、
モンスター倒した報酬も正直雀の涙レベルの感じなわけです。
仲間も何人か登場するのですが、サラントーラ以外の仲間は流動的であるためじっくり育成するという感じでもない。
というわけで味方も敵も強さのインフレが起きにくい調整になっておるわけです!
俺はここが「けっこういいなぁ!これ!」と思ったところで、
仲間の魔法使いサラントーラの使える魔法も最初から覚えてる魔法をそのままラストまで使えるという戦闘バランスなんですよね。
ドラクエで言ったらベギラマを最初に覚えていて、それがバラモス城でも十分通用するのをイメージしたらいいだろう。
だから「あーこの魔法弱くてもう使えないわ」ってのがないんだナ〜!
俺はけっこうこれ重要なことだと思っていて、どんどん敵も味方も強さがインフレしていくのもそれはそれでいいのかもしれないんですが、
ある程度調整された強さの中で少ないリソースを配分してダンジョン攻略目指したりしていくってのがRPGの醍醐味だと思うんですよね。
( ˘ω˘ ).。oO(石油資源乏しき日本国民的考え方なのだろうか?)
毎戦闘終わったらまずは回復、そしてセーブ!
町に立ち寄ったらまずは宿屋、そして薬草の補充!みたいなね。
あー、ガキの頃に遊んだRPGってこうだったよね、っていうのがとても心地よかったですね。
さらに言えば敵も一部のレアモンスターやボスを除けばとんでもなく強いのが出てきたりすることはないので、
プレイヤー側がフィールドをあちこち歩き回ったり、船で探索しまくってもそこまで危険がないというのもこれまたよかったね。
もちろんそのレアモンスターたちにボロ雑巾にされたことが何度かありました( ^ω^ )v
とは言えこの適度な緊張感を小脇に抱えながらフィールドのあちこちを隈なく探索できる楽しさがありました。
おそらくはSFC以前のRPGを意識したのでないかなという気がしました。
インプたちから魔法喰らって「ぬわーっ!!」って叫ぶのも、クラーケンに襲われてボロボロになって「ぎょえーっ!!」って呻くのもRPGの醍醐味だと思うわけでさぁ、土方さん。
【市場介入型RPG】
モンスター倒しても報酬が少ないと書きましたが、きちんと救済措置は用意されています。
ストーリーの必須イベントをクリアしたらお金もらえたり、あるいはサイドエピソードクリアしたらお金もらえたり。
このあたりのお金が美味しい金額でウハウハですw
と思いきや、逆にここのイベント進めるために数千ゴールドのお金を使わないといけなかったりというのもあるんですな、これが。
で、こういうゴールドの流通量を作者側が調整するのを俺は「市場介入型RPG」と呼んでいるのですが、これが非常に上手く今作は作用しています。
戦闘バランスもそうなんですが、このあたりの調整を手抜いてしまうとお金ザクザク貯まるか、常に金欠状態に陥るかのどちらかになりうると思いますね。
前者はお金のありがたみが薄くなり難易度が大きく下がることになりうるし、
後者は単純に難易度の高さが辛くなって途中でゲームを投げてしまうおそれまで出てきます。
まだ後者よりは前者の方が作る側としてはマシなので俺なんかは前者側の調整で「これでいいんだよ!なんか文句あっか!?」と開き直るクチですが、
『はぐれ妖精グリメロ』では相当適切なバランスになっていると思います。
テストプレーを重ねた結果じゃないかな?
戦闘バランスだけでなく、為替相場のコントロールまで非常に上手くできていると思いました!
【ストーリー】
さて、ストーリーの方ですが、こちらも前述したようなレトロゲームを彷彿とさせる雰囲気で、
話自体はサクサク進んでいくのですが、次どこ行けばいいのか明確に提示されないところがあります。
少し話が脱線しますが、俺一番好きなRPGはドラクエ6なんすよ。
理由は色々あるんですが、好きな理由の一つに中盤あたりから明確に次の目的地が示されなくなり、自分の思うように世界のあちこちを周っていくことになるんですが、俺はあのあたり大好きなんですよね。
フラフラ歩いてたら小屋があったり、ギリギリ船で上陸できるポイント進んだら重要な施設があったりみたいな探索と発見を楽しめたのがドラクエ6だったわけです。
話を戻して『はぐれ妖精グリメロ』も同じくで、自分の好きにあちこち移動できるのが楽しかったなぁ〜!
ただ、わずかなヒントを頼りに冒険することになるのでそのヒントを正確に読み取れなかったりするとしばらく何も進まなくなるというのも当然あります。
でもドラクエ6で下のレイドック城やアモールの教会にやっと入れた時はやっぱ興奮したもんなぁ〜。
『はぐれ妖精グリメロ』で言えばパルナスの城に入ることがなかなかできなくて、
「おのれ、ヒシグリメロ!!
どれ、おまえのはらわたを食いちぎってくれよう!!」と思ったこともありましたが、
入れた時は「ヒシグリメロよ!そなたこそまことのゆうしゃじゃ!!」になりましたw
あと大きな大陸を徒歩で歩き回って、途中途中のキャンプで休憩しながら遂に大都市パルナスに到着した時はものすごく達成感あったなぁ〜!
ルーラ的な魔法(あったのかな?)がなかったのも、不便でよかったのかもしれません。
途中からは天馬で移動してましたが、それを手に入れるまでは回復や宿屋を頭の中に入れながら移動していたのですが、これはこれでけっこう楽しいんだよね!
不便だ!不便だ!不便だ!
でも不便の方が便利よりだいぶいい!!
と歌ったバンドを思い出します。
【グリメロと仲間たち】
主人公グリメロは緑髪の男の子エルフのグラフィックなんですが、このグラフィックで主人公なのはけっこう珍しいかもしれませんね。
別にそれだけで判断するつもりはないですが、あまり使われていないキャラグラが主人公だとちょっと目を引くものはあります。
グリメロが人間の弓使いのフミカと出会い、そして彼女から外の世界の話を聞いてその後冒険に出かけるというのがストーリーの大枠です。
さらに言えばフミカと再会するのが目下の目的になるんですね。
序盤こそ「フミカはどこだ〜?」という話なんですが、中盤あたりからはどうも何かがズレてるぞというのが明らかになってきます。
さらに進めるとグリメロや妖精の存在自体にも色々とクエスチョンマークが付くようになり……という感じで真相に近づいていきます。
ネタバレをすると、グリメロは時間を司る精霊に仕える妖精であり、現世において流れる時間が人間と比べて早すぎるということが判明します。
そしてそのまま時が流れると魔物化してしまい、最後は魔王にまでなりうる可能性すらあると。
一方で周りの影響を受けることで魔物になることを回避でき、人間になることができるという特性があり、グリメロは果たして……!?
というのが終盤の見せ場になります。
環境や周りの影響を受けて自分がどう変わるのかが決まるというのはいいですね!
よく言われる人間の性格は遺伝によって決まるのか、環境によって決まるのかという話がありますが、
これに関して俺は専門的な知識などないですが、やっぱ遺伝だけで全てが決まるなんてことはどうも俺は信じられない。
どういう人に出会うか、そこからどんな影響を受けるのかは非常に重要だと思っているのでグリメロがこの冒険を通してどんな影響を受けたのかはプレイヤー側が一番よくわかっているというのがいいですね!
やはりフミカという女の子があの日、森に迷い込んできたのが大きかったのだろうと思います。
"フミカ"の魔法が癒しの魔法というのもラストまで見た後だと泣けるなぁ…(´;ω;`)
仲間キャラクターで言えばレンコン、いやレンコ?
いやいやレイラ?
が実に頼もしく、存在感あるキャラクターでした!
ストーリー的な面でも戦闘面でも名実ともに頼りになり、魅力的な仲間でしたね。
レンコいなかったらいろいろ世界的にはマズイ方向に行ってたであろうと思われます。
↑グルタ族への対処を決める会議でパルナスを破滅に導いてしまったペロンペロンが言うんだから間違いない…!!
小ネタなんかも豊富で、セーブをしなかったことを悔いた冒険者の墓があったりw
村おこしに必死な村長やピラミッドである女性を助けたら後々いいことがあったりね。
このあたりのインセンティブをいい感じに付与してくれるバランスの良さがすごく快適に遊べた要因なのだろうと思います。
あとマップ関連で言えばこちらもレトロなRPGのマップを意識したシンプルなマップにしているのだと思われますが、
パルナスという世界最大の都市にある城では別途内部マップが用意されていて、期間限定でしか入れない区域があってそこでしか得れない情報があったりして、
シンプルとは言えディテール凝るべき箇所は凝ってあってこのあたりもメリハリが効いてワクワクしましたね〜!
何度も繰り返しになりますが、バランス感の良さが適切な難易度を作り出していてイイRPG楽しんだなぁ〜!!ととても良い休日になりました!