![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29391378/rectangle_large_type_2_47d6315bcdf6865d9a85a425517770ba.jpeg?width=1200)
「車のための道路から、人のための道路へ」道路ビジョン2040|国土交通省道路局
先日、国土交通省から、2040年の道路政策ビジョンが発表されました。
テクノロジーの進化によって急速に社会経済が変化する中、2040年を目指して「どのような道路をつくっていくか(=どのような国家像を目指すか)」を考えたプロジェクトです。NEWPEACE thinktankでは、本プロジェクトの中で一部をご一緒させていただだきました。
従来、道路は「井戸端会議」に代表させるように人々の交流やコミュニケーションを生む場でした。それが、過去20年の道路政策では「移動の効率性(渋滞)」や「安全性(交通事故)」では劇的な改善が見られるものの、道路を使ってコミュニティが形成されることはほぼありません。
私たちは「家族団らん、休養、趣味・スポーツ、友人・知人との付き合い」などに生活の充実感を見出すようになってきている近年、道路は再び「交流の場」としての意義を考えることが重要です。今回の道路政策ビジョンでは、こうした方向を示しています。(報告書「2040年、道路の景色が変わる〜人々の幸せにつながる道路〜」より筆者要約)
(出典:2040、道路の景色が変わる ~人々の幸せにつながる道路~)
この道路政策ビジョン。内容も素晴らしいのですが、政治オタクのぼくから見て、とても意義深い、まさに「日本の未来を考えていく根幹となる政策ビジョン」だと感じています
そこで、政治オタク的にテンションの上がったポイントを3点、紹介します。
ポイント1.道路は国家そのもの
日本は、道路とともに経済成長してきた国です。田中角栄の「日本列島改造論」に代表されるように、日本中を高速道路・新幹線で結ぶことで、地方の工業化を促進し、人の移動を活性化させ、経済の生産性を高めることを目指してきました。
実際に、藤井聡教授(京都大学・都市社会工学)らの研究では、道路や新幹線の整備がGDPの成長に寄与していることが明らかにされています。
(出典:日刊建設工業新聞 2017年8月18日 https://www.decn.co.jp/?p=93432)
NEWPEACE thinktankでは様々な政策領域に取り組んでいますが、こうした視点から今回の「道路政策ビジョン」は、まさに未来の日本を作っていくビジョンです。
ポイント2.車のための道路から人のための道路へ
今回発表された道路政策ビジョンは「2040年、道路の景色が変わる〜人々の幸せにつながる道路〜」とネーミングされています。
一見、当たり前に見えるこのネーミングですが、「人々」が主語で書かれていることは、とても大きなポイントです。
ふだん、ぼくらが「道路」をイメージするとき、おそらくほとんど人は車道を中心に考えるのではないでしょうか? 例えば、駅前の大通り。2,3ほどの車道が真ん中で、その脇に歩道がある。または高速道路。「歩道」を中心に考える人はほとんどいないと思います。
ぼく自身もそうですが、「道路」と聞くと、「車のためのもの」とイメージしがちです。
(道路法で定める「道路」。パッと見るだけで「車が中心」と想起される。出典:国土交通省 道路の種類)
それが今回、「人々」が道路の主語になっています。これは言葉の小さな変化にみえて、政策の大きな変化です。
(出典:2040、道路の景色が変わる ~人々の幸せにつながる道路~)
3.道路局内部からの提言で、強い想いが込められている
今回の道路政策ビジョンがつくられるに至ったきっかけの1つに、「ある道路局中堅職員の方の提言」があります。
過去の政策をリスペクトしながらも、冷静に現在の課題を整理しています。
(出典:道路局中堅職員による政策提言)
さらに、この道路政策ビジョンの策定にあたっては「人々にとっての幸せとは?」という根本的な視点から考え始めています。
(出典:道路局中堅職員による政策提言)
道路政策、道路を使う利用者、そして日本国民への愛・・・!
こんな強烈な想いが込められているからこそ、今回の道路政策ビジョンが素晴らしいものに仕上がっているのだと思います!
日本が世界をリードしていく未来
道路政策ビジョンでは、カナダ・トロントがGoogleの姉妹起業とコラボして、大規模なスマートシティを計画していたことが有名です。ですが、コロナを受けて頓挫してしまっています。
米グーグル、「デジタル都市」計画を中止 新型ウイルスが影響
(BBC 2020年5月8日)
そうした中で、今回の道路政策ビジョンが発表されたことは、日本国内にとどまらず、世界の道路政策ビジョンとして、日本が世界をリードしていくことになるかもしれません!そういった観点からも、とても意義のあるビジョンでした。