かん違いなカン違い
30代中頃にあったお話。
別の部署にいたアルバイトの女の子。
確か…22〜24歳位でわりと可愛い女子だった。
◯◯さんですよね!
ある日、突然話しかけられて驚いた。
◯◯さんは、何時もモクモクと仕事していて尊敬します。
◯◯さんは、いい人で悪く言う人を見たことないです。
褒められるのは、嬉しいが…
理由が分からない。
正直、恥ずかしいし困惑していた。
彼女は、その後も何かと話しかけて来る。
その年のバレンタインには、チョコ🍫とハンカチを
頂いた。
他の人達には、義理チョコを配る。
勿論、ホワイトデーにはお返ししたが…
更に、どこから聞いたのか4月の誕生日には
ネクタイを頂く。
何か裏が有るのでは無いか?
疑う私に対して彼女は、何時も屈託の無い笑顔で
話しかけてくる。
こんな事をされてカン違いしない男性は、この世に
存在しないだろう。
だが私は、高校時代の仲間によりバレンタインに
壮大なイタズラを仕掛けられた経験がある。
疑心の方がカン違いを上回り素直には、喜べなかった。
私は、既婚者で彼女は独身。
困った事は、頂き物を妻に何と説明するか?
浮気を疑われるのも嫌で、内緒にしていた。
そんな彼女とのやり取りを、周りの同僚や後輩からは、からかわれ冷やかされていた。
噂では、彼女には特定の恋人は居ないようで
マスマス私に絡んでくる理由が、分からない。
このまま放置していれば悪い噂が、社内に広がる事を恐れた私は、彼女に真意を聞き出そうと考えはじめる。
その年の社内忘年会で、彼女の真意を尋ねようと
彼女と比較的仲の良い後輩男子に依頼。
忘年会後に二人で話しがしたいと伝えてもらう事にした。
暫くするとニヤニヤ顔の後輩男子が戻ってきた。
私 なんて言ってたの?
彼 そんなツモリじゃないです! との事。
どんなツモリ??
どうやら彼女は、私が告白でもするツモリと真剣に
かん違いでカン違いしたようであった。
その後、彼女は急によそよそしくなり話しかけて
来なくなる。
年が明けた1月に、彼女は退社した。
結局、彼女の私に対する行動の理由は、不明のまま
疑問ばかりが、残る結果となった。
危うく、かん違いなカン違いで身を滅ぼすところだった。
世の中そんな上手い話なんて無いと改めて
肝に命じる私だった。