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私をスキーに連れてって


ある2月の土曜日 
時刻は23:00

僕は、長野県に向かうレンタカーのハンドルを握り高速道路をスキー場に向けて走る。
職場の6人で2台に分かれスキー場へと向かう。

当時、務めていた名古屋支店の先輩達が、道産子の
僕にスキー⛷️を教えろと! 2月のある日、長野県のスキー場に日帰りでの旅となる。

参加者は、先輩男子4名と先輩女子1名と僕。

早めに付いて、車内で仮眠を取り朝一番からスキー⛷️を楽しむ。そんなスケジュールだった。

前の年に[ 私をスキーに連れてって ]が上映された影響もあり、スキーが若者の間で人気になりつつあった。

僕がいた名古屋市でも、週末になると車の屋根にキャリアを付けて、スキー板を積んだ若者の車を市内でチラホラ見かけた。

途中、サービスエリアで何度か休暇しスキー場には、朝の4時に到着。
驚いたのは山の途中まで全く雪が無くて小雨🌂が
降り出した事だった。

僕が住んでいた街のスキー場では、考えられない事
ほんとにスキー出来るの?
しかし、山頂のスキー場に近づくにつれ、辺りの景色は真っ白な雪❄に、包まれ出した。

僕が運転する車内には、後部座席を独り占めしている先輩男子1名 助手席に先輩女子。

人見知りで小心者の僕は、二人の会話に加われず
ラジオをBGMに、運転のみに集中していた。

スキーが子供の頃から当たり前の僕には
身近なもので、気合を入れてまで行うイベントでは無かった。

しかし、雪の無い地方に住む人達には、大イベント
高速に乗り数時間掛けてまで、スキー場へと向う。ウエアやスキー板🎿ブーツにストック
[ カコッコ付けの先輩 ]の10万円以上の出費に驚いた。

先輩女子は、たまたま東京支店から出張で訪れていて、以前からスキーに興味が有り参加。

スキー場が開くのは9時からで時間がある為
車内で、仮眠する事になった。
エンジンをかけたままヒーターをいれて仮眠する

先輩男子
◯◯、時間になったら起こしてよ!

助手席の先輩女子
席💺倒していい?

先輩男子
OK  OK 倒しな。
席を倒して仮眠する、先輩女子

僕は、車内に漂う彼女の甘い香りにドキドキして
なかなか寝付けなかった。

日が昇りあたりが明るくなると、自然と目が覚めた
時刻は、朝の7時。タバコ🚬を吸うために、車を降りる。

車内に戻ると後部座席の先輩男子は、グーグーと
快眠中。
助手席の先輩女子は、起きていて持参したテープを聴いていた。

ユーミンの[ サーフ&スノー ]
[ スキー天国 ]が流れていた。
まさに、ピッタリな選曲だ!

◯◯君 おはよー😃と先輩女子
ぉおはよーございます😅の僕。
楽しみだな〜あたし初めてだから宜しくね!☺️
ハイ 宜しくお願いします😅の僕

後部座席の先輩男子と助手席の先輩女子は、スキー初体験。他の先輩男子3名は、少し出来るらしい。

後部座席の先輩男子もモゾモゾと起き出して
時間になり、一同スキー場へと向う。
[ カッコ付けの先輩 ]以外は、受け付けでウエアとスキー道具をレンタル。スキー板とストックの長さの選び方を解説をし、初心者の先輩男子と先輩女子以外の3人は、リフトのチケット🎫を購入で準備完了

辺りは、カラフルなスキーウエアに身を包んだ
若いカップルや男女で賑わっていた。

スキー板を肩に担ぎながら、後部座席の先輩男子と
先輩女子を比較的平らな場合へと案内しスキーを
装着。

先輩男子が、平らな場所なのに何故か後ろに滑り出し…転ぶ😅

た 助けろと先輩男子。
キャ〜と転ぶ先輩女子。
二人を起こして立たせる。先がおもいやられる😮‍💨

又もや、スルスルと後ろに滑り出す先輩男子。
ドテ…転ぶ先輩男子
◯◯助けろ〜
キッヤ ドテ…先輩女子。
二人を立たせる。
初めての人が、こんなにできないとは…😅

他の3人は、リフトに乗り山頂を目指す。

僕は、初心者相手に大苦戦。
キッヤ〜 ドテ…
◯◯助けろ〜の繰り返し。
僕は、二人に力の入れ具合やストックの使い方を
丁寧に我慢強く教えた。

辺りが混雑してきたので、いつまでもここに居ると
他の人達に迷惑になると思い、少し離れた平らな場所に移動。

歩き方とスキー板のエッヂの使い方を教えると
二人は、どうにか立てるようになる。
スキーを八の字に開くボーゲンから指導再開。
元々、二人は運動神経が良いようで、少しづつ上達していく。

止まる時は、ハの字のスキー板を外側に押し出すイメージで更に広げるとユックリ止まる。
滑る、止まるの練習を繰り返す。

ソンナコンナで、お昼になりスキー場のレストラン
で昼食を取ることにした。
他の先輩達と合流し6名でお昼ご飯🍜
レストラン🍴は、カラフルなスキーウェアの
若者で混雑していた。
値段の割にあまり美味しくないカレー🍛を食べて
午後からのスキー授業に備える。

僕は、カレー🍛を食べながら辺りを見回すと…

ピンク色のニット帽に白いゴーグル
淡いピンクのスキーウェアで長い髪を束ねた女性
可愛いな〜と彼女を目で追おう。トイレに向う彼女
やがて出て来た彼女は、ニット帽とゴーグルを取りコチラに向かって来た。

!?
スキーマジックなのか、よく見ると…
失礼だが、そこまでは可愛く無かった…

午後からの授業再開。
少し傾斜のある広場にて、ボーゲンの練習開始。
相変わらず二人とも転んでいたが、少しだけ滑れる様になって来た。
妙に自信を持つ二人…
リフトに乗ろうと言い出した。

イヤイヤ マテマテ まだ無理でしょー!と
心の中で叫ぶ僕に、二人はリフトに乗ると宣言!
先輩の意見には、逆らえずに渋々承諾…

リフトへの乗り方と降り方をその場でレクチャー
待機線までスキー板を履いたまま横歩きで進み
リフトを待つ。タイミング良く乗込み、着いたら
自然に立ち上がり滑り出す。
一連の流れをイメージトレーニングする。

先輩男子は、係員にサポートしてもらいナントカ1人で乗車。
僕は、先輩女子をアシストしながら二人で乗車。
リフトは、ユックリとコースに向けて動き出す。

2月の長野は、道産子の僕にすると春を思わせる
柔らかな暖かい風が心地よい。
時折、彼女の香水が僕の鼻👃をくすぐる。
先輩女子と少しの間だけ、恋人気分で会話する。

やがて、リフトは終着点に近づく。
先輩女子には、降りる時の注意点を伝える。
先に降りた先輩男子が、既に転んでいた。

◯◯助けろ〜と叫ぶ先輩男子。
とりあえず無視…

先輩女子の手を取り二人仲良く降りる。
転んだ先輩男子を助け出し3人で滑り出す。

コースは初心者向けで、傾斜は緩く二人はボーゲンで降りていく。二人を先に行かせて僕は後から
シュッシュッと小気味よくターンを決めて
転んだ二人の元に辿り着く。

◯◯流石にうまいな〜
◯◯君、カッコいい〜!
褒められて照れる僕😅
僕は特に上手い方ではない。
そんな事は、知らない先輩二人には黙っていたけど…

楽しくなってテンション爆上がりの二人の先輩。
その後も何度かリフトに乗り、二人と僕はスキーを楽しんでいた。

二人で滑ろうーよ!
照れながら先輩女子と並んで滑る僕。

転んだ先輩男子
◯◯助けろ〜と
今度は、意図的に無視!

先輩女子とリフトで移動中に、[ カッコ付けの先輩 ]が、降りてくる姿が見えた。手を振る彼女に
[ カッコ付けの先輩 ]は、必死な顔で手を振り返すが…
ボーゲンって…
身なりの割に下手な過ぎて カッコワル 失礼…

僕の滑る姿が見たいと、二人は下の広場で待つ。
僕は1人リフトに乗込みすべりだす。
シュッ シュッと少し湿り気のある重たい雪の中
小刻み良くターンを決めて二人の待つ広場へ。
最後に、2人に向けて雪を浴びせる様にザーっと
停止。
拍手👏の二人。
何故か、周りの人まで拍手👏
照れ笑いの僕テヘヘ。

帰りは、高速🛣️の渋滞を考えて早目にスキー場を後に名古屋へと向う。

いやー楽しかったな〜と 先輩男子
◯◯君上手ダネ! 先輩女子
初めてのスキーに二人は満足し、会話が弾む車内
僕も無事に二人に教える事が出来て、一安心。

先輩男子
疲れたし寝るわ!着いたら起こして。
直ぐにグーグーと寝始める先輩男子。

先輩男子のグーグーとユーミンの[ サーフ&スノー ]をBGMに名古屋に向うレンタカー

先輩女子は、起きていてスキー⛷️が楽しかったと。
先輩男子の寝息をよそに、二人で盛り上がる。
テンションが上がっていた僕は、普段は女子との会話に無口なくせにテンポ良く会話を楽しむ。
時々、僕の冗談😜に笑う先輩女子。

途中に2回程、サービスエリアでトイレ休暇。
先輩女子はトイレに向うが、先輩男子は変わらず
グーグー…と寝ていた。
僕もトイレで用を済ませるため車を降りる。
トイレで先輩女子と鉢合わせ。

◯◯君 ちょっと🤏待って、と彼女はバックの中をゴソゴソとあさる。
今日は、ありがとね!
お礼にスキー場で買ったキーホルダーあげるね。

スマイル🙂マークのカワイイキーホルダーを
手渡され照れながらも受けとる。
ありがとうございます😊

先輩女子より先にレンタカーに戻る。
車内に戻ると、ムックリと起き上がる先輩男子。

おいおい、◯◯なんか彼女といい感じだぞ〜
並んでスキー⛷️してるとこなんて、カップルみたいだぞ〜🤭

からかう😜先輩男子。
どうやら先輩男子は、寝たフリをしてて二人の会話を聞いていたらしい。

やがて、懐かしい名古屋の街の灯りが見えてきた。
高速を降りて、国道から彼女の泊まるホテルに向う

今日は、ホント楽しかったよ!
笑顔で手を振る彼女を見送りレンタカーを返すため駅へと向う。

その間も、先輩男子は何かと僕をからかう😜。

付き合っちゃえよー
◯◯が、あんなに女子と話すのか〜。
彼女も、まんざらでもないようだぞ〜。

寝たフリしてまで、盗み聞きする先輩男子に
抱いていた尊敬の念が、少し薄れる僕だった。

人見知りで小心者の僕だったが、思い出すと以外と青春してるじゃないか〜。と悦に入る。

いつものごとく、貰ったキーホルダーはいつの間にか紛失した。
中2の時の初デートで貰ったボールペン🖊️も紛失
大切な物程、よく無くなる。

今も、会社の鍵が行方不明…