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[3000円ワイン]わからん。3000円ワインは、わからん。(楽しい)〈フランス(ブルゴーニュ)/ソーヴィニヨン・ブラン〉

今月末、年越しベトナムで仕入れてきたワインを使って、「南国ワイン会」を開きます。

この会で、ベトナムから連れ帰ったソーヴィニヨン・ブランをお出しする予定なのですが、これが現地で飲んだ時に「結構、ちゃんと美味しくて」びっくりしたワインなんですよね。

なので、当日は「ブラインド」でお飲みいただこう!という企画を立てています。ベトナムワインって、どうやったって色物扱いになっちゃうので、ベトナム「のわりには」美味しいよねとか、ベトナム「なのに」頑張ってるよね、とか、そういう南国バイアス、どうしてもかかっちゃいますもんね。

かくいうわたしも、ベトナム「なのに」美味い、なんて思っちゃってるひとり。さらに、判官びいき的な愛おしさもあいまって、本当に美味しいのかどうか自信がなくなってきました。(主催あるまじき)

とうわけで、どんなソーヴィニヨン・ブランならば、”対バンワイン”にふさわしいのか、そして、相手に不足がないのかと、ただいま我が家は絶賛ソーヴィニヨン・ブラン祭り中。現在、我が家の食卓には、数本のソーヴィニヨン・ブランが並ぶ事態となっております。

こうなってくると、俄然燃えはじめる、ワインパリピますたや家。

「いっそソーヴィニヨン・ブランを飲み比べてみようじゃないか!」

そういう念がふつふつと沸き上がり、これまでに飲んだことのない産地のソーヴィニヨン・ブランを飲んでみるという、自宅ミニイベントが爆誕しました。

さあ、はじめて飲む地域のソーヴィニヨン・ブランの、お味やいかに…?!

あれ・・・・本題、なんだっけ。

ドメーヌ・ピエール=ルイ&ジャン=フランソワ・ベルサン サンブリ 2018[¥3000(税抜き)]

<ワインdata>
国:フランス(ブルゴーニュ) 種類:白 品種:ソーヴィニヨン・ブラン ヴィンテージ:2018 生産者:ドメーヌ・ピエール=ルイ&ジャン=フランソワ・ベルサン インポーター:オルヴォー

<バランス>
酸味★★★☆☆ 糖度:★★☆☆☆ 香り:★★★★☆

「サンブリ」は、ブルゴーニュ北部のシャブリとおなじ「ヨンヌ県」に位置しています。有名な「シャブリ」と比べると、対外的にはちょっと知名度の低い地域。この地域では、ソーヴィニヨン・ブランを100%使ったワインが造られています。

フランスのソーヴィニヨン・ブランといったら、なにせ有名なのはロワール地方の「サンセール」や「プイィフュメ」。ボルドーではセミヨンと混ぜられて、美味しいデイリーワインができあがります。

フランスでソーヴィニヨン・ブランを飲むなら?って聞かれて、あえて「サンブリ」とは答えない。答えないですよねぇ。わたしもそんな地域があることなんて、今の今まですっかり忘れてました。

それを、発見しちゃったんですよねぇ…近所のワインショップで…

というわけで「あ、そうだ、これもソーヴィニヨン・ブランじゃん!」となり、光のはやさで捕獲したわたしたち。平日ですが、そんなソーヴィニヨン・ブランの波に乗って、早速、開けてみることにしました。

外観は、やや黄金色がかった濃いめの色をしています。アルコール度数も13%と、白ワインにしてはやや酒質は強そう。

香り…を取る前に、あらためてソーヴィニヨン・ブランってなんぞや、というところなんですが、ソーヴィニヨン・ブランはいわゆる「アロマティック品種」のひとつ。香り豊かなワインが造られやすい品種です。

ワインのお値段はそう高いわけでもなく、ある程度お安くても特徴的な草原のようなアロマが出やすいところが愛おしいところ。独特の塩レモンっぽい風味や酸の高さを感じることもあり、わたしも大好きな品種のひとつです。

一方で、サンセールのような柔らかく美しいワインもできあがっちゃうんだから、そんなポテンシャルの高さもいいよな~、ソーヴィニヨン・ブラン。推せる。

さて、そういうわけでソーヴィニヨン・ブランにはつい「草原系」のアロマを期待しちゃうんですが、こちらのワインからはどうも、不思議な香りがするんです。

草っぽさじゃないんですよ。むしろどちらかというと、「おしろい」とか「白いお花」の香り。セメントを練り始めたときに、ふわっと舞い上がる粉の香り。なんだそれ。特に温度が低いときは果実味がうしろに隠れていて、とにかく白いお粉をはたいたような芳しさがありました。なんだそれ…!

飲み口は硬質で、いわゆる「ミネラル系」の雰囲気。シャブリの口当たりと、確かに似通った風情を感じなくもないです。

それにしても、香りですよ。鼻の奥から抜けてくる香りには、ほんのり青さを感じはするのですが。えっと、どういうこと?あなた、草じゃなかったの?なんなの、草原に花が咲いちゃったの??

おもしろいことにいくつか試飲をする中で、最初のひとくちめを飲んで「おいしい!」と思ったのは、このワインではありませんでした。むしろ、1000円台のソーヴィニヨン・ブランのほうが、ソーヴィニヨン・ブラン「らしくて」美味しいとさえ思ったのです。

ところが、時間が経ち、温度があがり、1000円台の子たちが少しずつへたっていくタームに入ってくると、このワインのポテンシャルが、どんどん見えてくるわけです。

右肩あがりに味のバランスが整って、このワインの「美味しさ」がわかってきます。ちょっと蜂蜜みたいな、うっとり系の香りも出てきます。最初面食らった「お花の香り」、これが後半は完全に「控えめな華やかさ」になっていったんですよ。そしてその控えめな華やかさを支える、のびやかな酸がまた、心地いい。

最終的には「やっぱり君は、3000円台のワインだったわ」と、納得の仕上がりとなっておりました。いや~ワイン、ほんとわからんな~~、わからんすぎて、ほんと楽しいな~~~!

ちなみにこちらの輸入元は「オルヴォ―」さんとのこと。ガチガチの自然派も取り扱うインポーターさんなので、このワインがサンブリのいわゆる「スタンダード」なのかどうかはちょっと、測りかねたところはありました。

このお花ちゃんスタイルは、ほかのサンブリでも感じられるのだろうか…

そう疑問を抱いた我々は、アマゾンの奥地に旅立……つことはありませんが、ワインの沼にずぶずぶと沈んでゆくこととなるのでした。

は~、ワイン、ほんと果てしねぇな~…!果てしなくて、愛おしいなほんともう…!

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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)、夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得、2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中の、ワイン大好き夫婦です!

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