カリフォルニアのワインばっかり飲む会に参加してみた。
日本国内で「カリフォルニアワインといえばこの方」との呼び声も高い、アンディ松原さんのカリフォルニアワイン会に参加してきました。
アンディさんは1999年からカリフォルニアワインに特化したブログを続けられている、カリフォルニアワインマニア界の重鎮。本職はワイン関係ではないのにも関わらず、各種のプロ向け試飲会へのご参加や、アカデミーデュヴァンでの講師活動、そして、2023年にはナパヴァレーワイン・ベストエデュケーターにも選出されています。単純に尊敬がすぎる。
そんなアンディさんから「在庫整理のため、コラヴァンで1杯だけ飲んだワインをみなさんに提供します。ワイン代は2000円でよいので、ご都合いかがでしょうか?」とのお声掛けをいただき、流れるように仕事の休みを申請したますたや。そんなの絶対に美味しいワインが飲めるオブザイヤーに決まってるじゃん!
というわけで、勇んで参加を表明した今回の会。まずはご参加されていたみなさんをご紹介いたします。
・・・あっはっはっは!プロしかいねぇな(冷や汗)
ワインを飲んだときの感想がだいたい「美味い」か「やばい」しかないますたや的には、場違い感が半端ない。でもほらあれですよ、場違いなやつがひとりくらい紛れ込んでたほうが、なんかいいワイン会になりそうじゃないですか、なんとなく!
という感じで、場違い担当として、ありがたく末席参加させていただいたのでした。
ちなみに今回うかがったお店は、錦糸町にある「Lumiere S(リュミエール・エス)」さん。こちらを貸し切りで使わせていただきました。
なおこちらのお店は”アニソンカラオケバー”ということで、店内はいかにも「ザ・カラオケスナック!」な風情。
そして、なんとこちらの店主Yukaさんが、元レイヤー様かつ踊れて料理のできる凄腕ソムリエ、っていうんですからのっけから情報が多いのよ。
というわけで、はじまる前から情報過多のワイン会。果たしてわたしは最後までついていけるのか…?!(心配)
カリフォルニアワインについて知っておく
さて、ここから飲んだワインについて触れていくわけですが、その前にとても大切なお話が、校長先生からみなさんにあります。いいですかー。よく聞いてくださいねー。
先生、カリフォルニアワインのことが、まったくわかりません。
「えーー!」っていう声が聞こえますね。いいですか、どのくらいわからないかというと、会の途中で「えっとー、アンディさんはァ、ナパのワインのどんなとこが好きですかあ?」って無邪気に聞いたら、「ナパのワインまだ(1本しか)出てきてないよ」って参加者全員から突っ込まれたくらいです。うそ、アタシが今まで飲んでたのはなんだったの…?!
というわけで、帰ってから復習しました。そして、わかったことがあります。カリフォルニアワインって、それぞれの地域(AVA)にわかれてるんだね…!(基礎中の基礎…!)
でもこれが、調べれば調べるほど複雑でわかりづらいんですよ。ヨーロッパとも微妙に違ってるし、地域がまたがりあったりしてるし、頭が混乱してきます。
そこで、今回の記事では思い切ってえいやっとぶった切って、飲んだワインに必要なとこだけに情報をぎゅぎゅっと絞ることにしました。きっとこれ以上は、アンディ先生の授業に詳しいです!
いや~、みんなこんなの頭に入れながら飲んでるの…?すごない…?ワイン飲むひと全員神様なんかな…?
というわけで早速カリフォルニアのワインについてですが、ここには「6つの地域(広域)」があるんだってよ。知ってた?(忘れてた)
これらを、(わたしの感想つきで)まとめてみました。それがこちらの地図です。
さて、こちらの地図、いったんさくっと忘れてください。なぜなら今回飲んだのは「ノース・コースト」と「セントラル・コースト」のふたつだから…!
特に今回の会では、ノース・コーストに位置する「ナパ」と「ソノマ」の違いに焦点があたりました。ふたつがいちばん違うのは「海からの距離」です。
より西側、つまり海側にあるソノマは、海風の影響でそもそも寒いんだそう。それは、カリフォルニアに隣接する海が冷たい「寒流」だから。海から離れて内陸に向かっていくほど、気候はあたたかくなっていくんですって。
このことによってブドウの熟度が変わり、ソノマのワインには酸が、ナパのワインには果実味が出て来やすいのだ、と、わたしの頭では認識しました。合ってます?
「ヨーロッパの常識と違うのは、どうやって太陽の光を得るかではなく、冷たいものの影響をどうコントロールするか、という点です」と話すアンディさん。はっはー、なるほどなー!?(声だけはでかい)
実際、現地に行かれたMAMIさんがおっしゃるには「ソノマは8月でも夜になると寒いくらい。霧もすごく出る。ナパに戻れば戻るほど気温があがるのがわかる」んですって。ほえ~夏でも寒い!いやあ、世界は広いな…!
コラヴァンワインについて
ところで今回のワイン会には、もうひとつテーマがありました。それは、「数年前にコラヴァンでちょびっとだけ飲んだワインを飲む」こと。
今回のワイン10本のうち6本は、アンディさんがコラヴァンを使って1杯だけ飲み、そのまま置いていたワインたち。しかもそのほとんどは、なんと3年前にコラヴァン済みというからドキドキです。
アンディさんも状態が不安なのでどうしようかと迷っていたところ、知人から「1杯だけなら行けるんじゃない?」とアドバイスをされ、今回のワイン会の決行となったそう。
というわけでもう最初から結論ですが、全然いけました。
びっくりするくらい全然いけたので、ここにまとめて結論を書いておきます。わたしレベルの舌では、言われなかったらわからなかったくらい。というか、言われてもわからない。つまり、わからない。
念のためコラヴァンワインにはコラヴァンワインと書いておきますが、多くの方は特に気にせず先に進んでください。オタクのみなさんにおかれましては、各自、味わいの脳内補正をよろしくお願いします。なに笑ってるんですかあなたのことですよ!
1本め:セラー熟成スパークリングワイン
さあ、というわけで、さっそくいきましょう!
最初の1本は、「メンドシーノ」からスパークリングワインの登場です。
ロデレール・エステート/カルテット・アンダーソン・ヴァレー ブリュット
こちらは、シャンパーニュの老舗メゾン「ルイ・ロデレール」がカリフォルニアで造る、瓶内二次発酵のスパークリングワインです。つまり、国が違うだけでほぼシャンパーニュってことですね(暴論)
酸がとても綺麗で、全体的にふくよかな雰囲気。果実の香りもしっかりあって、なんというか、美味いです。乾杯のワインに、美味い泡。これほどの幸福は他にない。
ふわっとした熟成感を感じて「ひょっとして、熟成が長いんですか?」と聞いてみたところ「セラーの管理の問題なのか、2、3年しか経ってないけど、確かに熟成感が出てますね」とのことでした。セラー内熟成(瓶熟)、うまいぞこれは…!
ちなみにdiplomaを受けているもんさんが「D4の試験で飲んだときには、こんなに美味しいと思わなかった」と話しておられました。やはりセラ熟がいいシゴトしてたのかも。
それにしても、「そうそう。こないだ試験ではずしてたので、持ってきましたよ~」と陽気に話すアンディさんも、「いやぁ瓶熟成とオリ熟の違いが明確にわかりましたよ」と話すもんさんも、雲の上の会話すぎて、ひょっとしてここには天上人しかいない説ある…?(ある)
2本め:福袋で飲んだことあるワイン、再飲
お次もソノマから「デュモルのシャルドネ」ですが、これ実は、2017ヴィンテージを飲んだことがありました。まぁ福袋で当てたんですけど(庶民)
そのときは、フレッシュさがあって美味しいけど、値段に比してやや個性が控えめかなぁ…と、思った覚えがありました。ところが、ですよ。
デュモル/ハイランド・ディバイド シャルドネ ロシアンリバーヴァレー 2016 [コラヴァン]
これが、美味いんだわ…
ちょうどいい塩梅の樽の香りと、大変綺麗な酸味。後半にかすかに苦みが残り、余韻が長く尾を引いていきます。とろりとした金色の液体が、ゆるりと揺れる様も目に心地いい。なんだこれ。あなた美味しいじゃない…!
アンディさんによると、「デュモルにしては樽感が出てるほうだと思う」とのこと。ひょっとするとコラヴァン抜栓の影響がかすかにでも感じられたのはこのワインかもしれませんし、違うかもしれません。なんにしても、その樽感がまたイイ仕事してるんですよ。いや美味しかった、よかったな~これ…!
ちなみに美香さんはカリフォルニアのワインが1番お好きとのことですが、「カリフォルニアワインが好きっていうと、なんだか”まだブルゴーニュのよさがわかってないんだね”みたいな感じになっちゃうの~!」と朗らかに笑っておられました。そういうとこあるよオタクたち、自重して…!
そんな美香さんが「今度から1番好きなワイン、これって言おう!」と決めておられましたので、オタクのみなさん、心して聞くように。カリフォルニアワインが好きなオタクがいたっていいじゃない。ワンピースが好きなオタクがいたっていいじゃない…ッ!(人生いろいろありました)
3本め:ワイナリーあるある、「ケンカ別れによる絶版ワイン」
お次は、セントラルコーストに飛びます。サンタクルーズ・マウンテン。絶対サンタクロース、って覚えたでしょ。わたしはそうだった。
ニーリー シャルドネ ホーリーズ・キュヴェ 2010
こちらのワイン、ワイナリー所有者と畑の所有者がもめた結果、なくなってしまったワイナリーなんですって。あー、あるよね~、そういうこと…!
なんでも、畑を貸し付けていたワイナリーのほうが有名になってしまい、そこから上手くいかなくなったそうで、人生の諸行無常を感じます。
味わいとしては硬質な感じで、後半に優しいうまみが残ります。わたしの鼻レベルでは樽香がかぎ取れず、「これ、樽あります…?」と聞いたところ、「樽はあるけど、熟成感が勝ってるから分かりづらいと思います」ともんさん。なんでも教えてくれるな今日のみなさん…!
それにしても、13年の熟成を経てもまだピンと張っている感じがありました。カリフォルニアのそれなりに熟成したワイン、今回わたし、たぶん初めて飲んでます。嬉しい。
4本め:「結局うちのワインが1番なんだよ」
続いては「今度はいわゆる、カリフォルニアっぽいワインに行きましょう」とのことで、こちらのワインのお出ましです。お次も、ソノマから。
ロンバウアー・ヴィンヤード/シャルドネ カーネロス 2021 [コラヴァン]
ひとくち飲んだ感想は「わ、甘いまである…!」でした。
グラスからのぼるココナツような甘い香り。ふくよかでとろっとしたフルーツ感。かといってクリームというほどにはしつこくなく、たしむんさんいわく「酸がしっかりあるし、塩っぽい感じがする」とのことでした。わかる~(便乗)
本国アメリカでは、大人気なワインなんですって。これが好きなアメリカのひと、みんな友達になれそうだな…!
アンディさんによると「ブラインドで飲んだら、結局うちのワインが1番になるんだよ!HAHAHA!」と生産者は話すんだそう。(※笑ってるところはわたしの演出です)
いや~もう大好き。それ聞いただけで心掴まれちゃう。わたし、正々堂々と自分のよさをアピールできるひとのこと、プロダクトのこと、そしてワインのことが大好きなんですよ。
だってわたしは自分のことが好きだし、自分のことが好きなあなたのことも好きだから、みんな正々堂々と、自分を愛していこうぜ!(という気持ちになれる気持ちいいワインでした!)
5本め:ニューワールドの価値は、オフヴィンテージにあり
お次はセントラルコーストのもっとも南、サンタバーバラのピノノワールです。
こちらのワイン、2011年ヴィンテージなのですが、実は2011年ってカリフォルニアにとっては「オフヴィンテージ」と呼ばれる年なんですって。とても寒い年でブドウの熟度があがらず、ワインメーカーたちは苦労された年なんだそうです。
じゃあ「美味しくないワインができたのか」というと、必ずしもそうではないところがワインのおもしろさ。果実味が抑えめになった分、酸が際立ち、エレガントなワインに仕上がったものもあるってんだからいいよねえ、こういうバラエティがほんと、ワインってやつァ…!
「ブルゴーニュ好きな方は、ニューワールドのオフヴィンテージを狙う方法もあるかも」とは、今回の全会一致の意見となりました。
トランスセンデンス/ピノノワール ラ・エンカンターダ ヴィンヤード 2011
チェリーのような赤い果実のチャーミングさを感じる美味しいワイン。酸がのびやかで、後半にはちょっとうま味も感じます。日本のピノの梅感や出汁感ともまた違うのですが、世の中のピノを4分割したらおんなじ範囲に入るじゃないかな。どういう分割方法かわかんないけど。
ドライフルーツの香りも出てきてはいますが、まだまだ30代くらいのキラキラ感がある!などとメモに書いていましたが、30代でもキラキラしてていいですよね…?(もうすぐ36歳)
ニューワールドのオフヴィンテージ。なるほど覚えました!
6本め:結局ピノ・ノワールがいちばん美味いんじゃないか説
こちらのグラスを持ち上げた瞬間、思わず顔をあげたらたしむんさんと目が合いました。言いたいこと、わかります。うへへ、美味そう。
リヴァース・マリー/ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2011
こちらのワインメーカーのトーマス・リヴァース・ブラウンは、アンディさんいわく「むっちゃ天才のひと」。パーカーポイント100点を3つも4つも取って一躍有名になったのち、3、40社ほどのワイナリーをコンサルしているんですって。ひゃ〜スーパーマンじゃん…!
にごりのある見た目と、グラスから立ち上る華やかな香り。グラスに鼻を突っ込みながら、「華やかですね」「うーんいいですね」「ああ、こりゃいい香りだ」などと散々言い合うワイン好きたち。まあまずは飲もうや。(あるある)
というわけでようやく飲んでみると、これがジューシーで美味いんですよねぇ…!後半のじゅわぁっとしたうま味も繊細。MAMIさんは「和食とか、山椒に行きたい」と話し、Yutaさんは「和系のおにぎりもいいですね」と話しておられました。
やっぱりピノ・ノワールって美味い。なるほどわかったぞ、ピノ・ノワールは、美味くてエラいんだ!
さて、ここで冒頭の「えっとー、アンディさんはァ、ナパのワインのどんなとこが好きですかあ?」発言に戻ります。
全員に突っ込まれつつ教えていただいたところでは、とにもかくにも「ソノマは複雑」なのだということ。地形も、気候も、品種も多種多様で、複雑性が高く、もっと入り込まないとわからない。
ーーといったことを、キラキラした目で語ってくださるアンディさん。いや~オタク大好き。最高。そしてアンディさんがわからないんじゃあ、ナパとソノマの違いもわからないアタシにゃわかるわけないんですよ…!
「だって、パーカー100点を4品種も出してる地域が、ほかにありますか?!」
いや、ちょっとごめんなさいわかりません…!
7本め:メルローは、粘土パックの香り
さて、いよいよここからますたやお待ちかね(というか、ずっと飲んでると思ってた)ナパ・ヴァレーワインゾーンに入っていきます。あたしは今、ラスボスかと思ったら中ボスだったと分かったときくらいびっくりしてますけど。
トゥーミー /メルロ ナパ・バレー 2014[コラヴァン]
こちらのワインは、このあと出てくるシルヴァーオークの別ブランド。ペトリュスの醸造家を招いて90年代末からはじまったこのブランドは、「畑があまってるからメルローでも造るか」ってそんなニンジン切りすぎたから味噌汁に混ぜとくかみたいな気軽さで始まったかどうかは定かではありませんが、とにかくメルローから始まったんだそうです。
なんとブドウのクローンも、ペトリュスに使われているものと同じと言うこと。ってことはこれほぼペトリュスってことですね(2時間ぶり2回目の暴論)
香りはメルローらしからぬ透明感。甘美な果実味と、染み入るような旨み。軽やかながらも余韻は長く、酸とタンニンがきっちり出て来ます。わたしは、なんだか陰性のサンジョベーゼみたいなバランスだなぁと思いながら飲んでました。
「メルローって、粘土パックの香りがするのよ、ね!」
ブラインドでメルローをどう特定するかという話になった際、MAMIさんが力強くますたやに視線を送ってくださいました。が、すみませんわたし粘土パックの民じゃないんです…!みなさん、メルローは粘土パックの香りだそうです!
パワーワード生まれすぎるなこの会…
8本め:ボルドーのマネじゃない。カリフォルニア・オリジナル・カベルネ
続いての「シルヴァー・オーク」ですが、こちらはアンディさんが最初にハマったナパカベのひとつとのこと。20年前に飲んだ際、「これはボルドーのマネじゃなく、カリフォルニアのオリジナルの味、ものすごく美味しい!」と感じたんだそうですよ、ってもうそういう話大好き。ひととワインの出会い、永遠に聞いてたい。
シルヴァー・オークはカベルネ・ソーヴィニョンにこだわり、ただひとつの品種を造り続けるワインメーカー。畑もナパとソノマ(アレキサンダー・バレー)のふたつのみで、もはや樽から造ってるっていうんだからそのこだわりは筋金入り。
熟成がほかと比べてやや長いことも特徴で、現行ヴィンテージは2017、2018あたりなんだそう。これ、すぐ飲んじゃうわたしのような消費者的には花丸案件なんですが、なかなかどうしてできないんですよねぇ。お金と、面積と。うらやましいです(ワインメーカー的羨望)
シルヴァー オーク ナパ ヴァレー カベルネ ソーヴィニョン 2013[コラヴァン]
第一印象は、とにかく柔らかい!果実味が優しく、酸味も穏やかです。いわゆる青みのようなものはまったく感じません。ふわ~、カベルネってこんな味にもなるんだ…!
このあたりからメモの内容に自信がないのでYutaさんの言葉を借りると「ココナッツの香りがしますね」とのことでした。したんだと思います!
そろそろ本格的に酔っ払いゾーンに入ってきました。ワイン、あと2本(+1本)あるけど…!
ナパ・ヴァレーの真ん中に立ったら
さてワインも終盤に差し掛かり、このあたりからナパ・ヴァレートークにも熱がこもってきます。
「ナパ・ヴァレーの真ん中に立ってみるとわかるんですが」、と、「ちょっとそこの階段のぼったら見えるんですが」くらいの感じでアンディさんは話されるんですが、そんな事態人生でしょっちゅうは起きないんですよ…!
「ナパヴァレーの真ん中に立つと、東と西の山をパッとみたときの雰囲気が全然違うんですね。東を見るとはげ山があり、西にはうっそうとした森がある。東のほうは乾燥地帯で、日照りが強いのでタンニンが強く、凝縮感が高まりやすいんです」
「また、フォグラインと呼ばれる霧の高度限界があって、それを超えると霧もかからないんです。常に陽が当たるから、夜も気温が下がりにくい。これを”逆転層”(※本来は高度があがるほど気温が下がるが、それとは逆の現象が起きること)というんですが、東側は土の乾燥もあいまって、ブドウの凝縮感が高まるんです」
ちょっと調べてみると、東側の代表選手はあの「スタッグスリープ」ということで、なんか良さそうな気がしてくるから不思議です。「あの」スタッグスリープとか言って、もちろん飲んだことはないんだけどさ…
それにしても、いやなるほどなぁ!ナパヴァレー、めちゃくちゃおもしろい。産地として追及しがいがあるのが、ここまで来てようやくかすかにわかってきました。
海からの距離、山から吹き下ろす風の影響、谷から山頂までの高度、日当たり、土の肥沃さ…それらすべての掛け合わせと、それらのパターンをときに覆しさえする造り手の技術と個性。なるほどなるほど、ナパ、おもしろいぞこれは…!
ますたや「ところで、その地図の右って、東ですかァ?」
アレンさん「だいたいの地図は全部そうだよ!」
ますたやはナパの前に人間からやり直したほうがいい。
9本め:濃厚なカベルネが得意じゃないひとにも。
さて、ここから写真がありません。なんなら撮ってないことに気づいたのも今です。というわけで、もともとそんなに信用の置けないますたやの話、ここからさらに話半分か、4分の1くらいの気持ちで聞いてください。これが世に言う酔っ払いです。
ニュートン/カヴェルネ・ソーヴィニヨン マウント・ヴィーダー2014 [コラヴァン]
たぶん絶対に美味しかったはずですが、わたしのメモには「ちょっとミント」という文言だけが残っていました。たぶん…ちょっとミントだったんでしょうね…
ニュートンのワイナリーは「スプリング・マウンテン」に位置しており、これがナパヴァレーの「西側の山の、北より」に位置しています。さきほどの話では西側は「肥沃」とのことでしたが、このワイナリーのあるあたりは、土が痩せているんだそうです。むずいな。
結果的に果実味が出てきにくく、ボルドー的な雰囲気が出て来やすいんだそうで、「濃厚なカベルネが得意じゃない人でも美味しく飲めるカベルネ」なんだってさ。そりゃあさぞ美味しかったんでしょうねぇ!覚えてないけど!
ところで、このワインボトルが重かった。たまにありますよね、やたら重いボトル。もんさんが「サステイナブルじゃないね(笑)」と口火を切ると、重いボトル話でやいのやいの盛り上がり、最終的に「鈍器にするならシャンパーニュ」というところで話が落ち着くあたり、いいワイン会だった証拠。よいこは真似しないでください!
10本め:最後のワインの感想は?
さあ、写真を撮ってないばかりか使いまわしです。ワイン会の記憶は飛ばないんだけどただぽんこつになる。それがますたやのジャスティス。
デュモル/カベルネ ソーヴィニヨン モンテシッロ ヴィンヤード 2014[コラヴァン]
最後はソノマに戻ります。ムーンマウンテンディストリクトの、買いブドウを使ったカベルネ・ソーヴィニヨンです。
もはや香りや味のメモは残っておりませんが、アンディさんが「個人的に、ムーンマウンテンディストリクトはものすごいポテンシャルを持ってると思います」と話しておられたことは印象的でした。ですってよ、みなさん!
はい、というわけでみなさん、10本のカリフォルニアワインを飲みきりました。ここで、みちあきさんの感想をお借りします。
「全部美味しくてよかった」
右に同じすぎる……ッ!!!
というわけで、15時にはじまり、終わったのが21時前という長丁場のワイン会。え、6時間も飲んでたの?
そんな長さなんてちっとも感じないくらい、美味しくて楽しくてキャラの濃いワイン会だったのでした。
いやはや楽しかった。貴重でハッピーな時間をみなさんありがとうございました!ぜひまた乾杯してください!
▶そんなアンディさんと出会った思い出の作品集「わたしとワインエッセイアンソロジー」もよろしくお願いします。在庫、たくさんあります!(買って!)
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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワイン好きが高じて、2023年3月から都内のワイナリーで働きはじめました。
2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得/2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得し、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中。
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