![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79769689/rectangle_large_type_2_b9ae13bcebe07b3c466b7c4cb996196a.jpeg?width=1200)
世紀のベリーバッドマリアージュ、爆誕〈アメリカ/シャルドネ〉
ワインと料理のマリアージュ――
その甘美な響きに、言いしれぬ憧れを抱かれる方も多いでしょう。
もちろんわたしも、そんな憧れを抱きながら生きる庶民のひとり。
ワイン単独、料理単独でも美味しいはずのふたりが、舌のうえで出会うことによってさらなる高みへと昇華される「マリアージュ」。
その美しいハーモニーを思うだけで、思わずうっとりしてしまいます。
とはいえ、日々の日常生活のなかでマリアージュを目指すのは至難のわざ。特に、仕事帰りのわたしは基本的にぽんこつであるため(※)、なんとか「最悪の事態」を避ける、それが日々の晩ご飯の至上命題となっております。
▶ (※)ぽんこつのわたしが日々困っているので、みなさんに助けていただいた記事。
「最悪の事態」――
それはマリアージュの反対側に、存在する闇の世界。ワイン単体、料理単体だと美味しいはずのふたりが、舌のうえで出会うことによって最悪のハーモニーを奏ではじめる、悲恋の物語。
これぞまさに、ベリーバッドなマリアージュ。我々は、舌のうえの平和を守るため、そして「どうしてふたりは出会ってしまったの…」と悲しみに暮れないために、この「ベリーバッドなマリアージュ」だけはなんとしてでも阻止しなければならないのです。
・・・・って、言いましてもね。
実はそんなこと、めったに起こらないんですよ。
完璧なマリアージュが数年に1度あるかないかの奇跡だと考えたら、逆張りの世界線である完璧なベリーバッドマリアージュも、数年に1度あるかないかの逆奇跡。
わかったような顔をして「うん、このペアリングはちょっと魚のくさみが目立つね」などと言ってみたところで、べつに本気で不味いと思ってるわけじゃないんです。たまには言ってみたいだけなんですよ、そういうことを。
結局、「ほどほど合ってる」っていうのが平穏なマリアージュ生活の秘訣。
ベリーグッドじゃないかもしれないけどベリーバッドでもない、そんな日々が続くことを、ひとは幸せと呼ぶんですよ、などと言っていた矢先。
やってきたんですよ。ついに。
その、ベリーバッドな奇跡のマリアージュが。
ヘス・シャーテイル・ランチス シャルドネ 2019[¥3300]
![](https://assets.st-note.com/img/1654057379806-y5gYqJjP3a.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1654057401440-zdAd9Dq72h.jpg?width=1200)
<ワインdata>
国:アメリカ 種類:白ワイン 品種:シャルドネ ヴィンテージ:2019 生産者:ザ・ヘス・コレクション インポーター:株式会社 都光
<バランス>
酸味★★☆☆☆ 糖度:★★☆☆☆ 香り:★★★★☆
今回のベリーバッドなマリアージュの片方の立役者は、カリフォルニアワイン「ヘス」の、シャルドネでございます。
実はこちらのヘス、もともと3300円が定価なのですが、ここのところあちこちの店舗で割引販売されているみたいです。
▶ こんな風に。
どうやらヘスのこのシリーズはレストラン向けに作られたものらしく、コロナ禍による影響で飲食店需要が減少したため、今だけの特別放出をおこなっているとのこと。
近所の業務スーパーで見つけたときに、こりゃ「買い」だな!ということで、手に入れた1本です。
![](https://assets.st-note.com/img/1654060687775-tqwQk7E2qu.jpg?width=1200)
ヘス単体の味としては、いわゆる「ザ・樽ドネ」!
バニラ風の樽香とパイナップルのような果物の風味、酸は弱くて全体に厚みがあり、まるでアルコール入りフルーツジュースを飲んでいるような感じです。「黄色い液体」にふさわしい、芳醇さを感じます。
とはいえ、もはや「クリーム味」(※インポーター情報)のブレッドアンドバターなんかと比べると、もう少し上品でまとまりのある味わいになっていました。
▶ ブレッドアンドバターは、クリーム味のワイン(いい意味で)
今回は酸をなるべく立たせようと思って、グラスに注ぐたび冷蔵庫にしまっていたのですが、たぶんわたし的にはこれが正解。
案外全体のバランスも悪くなく、むしろ「これは、3000円出しても飲んでいいな」と思えるくらいには美味しかったです。
結構、最後までするする飲んじゃいました。樽ドネ好きにはおすすめです。今、安いし。
▶ わたしも樽ドネ、だいぶ克服しました。
さてもう一方のベリーバッドマリアージュの立役者、それがこちらでした。
エキナカのお店で買ってきた、海老すり身の包み蒸し。
![](https://assets.st-note.com/img/1654061244649-HeVprHwJ5q.jpg?width=1200)
こちらもお店の威信を守るため全力でお伝えすると、この海老自体はちゃんと美味しかったんですよ!
ぷりぷりのすり身とひらひら薄皮のマリアージュは大成功してましたし、赤いしっぽの豪華さもあいまって、料理としてはたいへん満足度の高い完成度となっておりました。ひとくち中華セット、美味しく楽しいおかずです、謝謝!
ところが。
それまでの食事の流れにのっとって、ふつうに海老を美味しく食べ、ふつうにワインを口内へ流し込んだ――その瞬間。
全わたしに衝撃が走りました。
えっ・・・・・不味い!(爆笑)
あまりに不味くて、爆笑しました。
え、こんな不味くなることってある?!(爆笑)
なんというのでしょうか。閉じていたはずの海老の臭みが全開になり、いま海の底からあがってきました!といわんばかりの、ぴっちぴちの海洋臭。
後味にはなぜか鉄っぽさが残り、うわっ・・・わたしの口臭、臭すぎ・・・?と、くちもとを塞ぎたくなる衝動に駆られるのです。
普段はわたしよりもさらにマリアージュのストライクゾーンが広い夫氏も、わたしから遅れること5分後、爆笑しはじめました。そ、そうよね?!(握手)
それ単体ではきちんと美味しく、ほかの中華おかずたちとも仲良くしてくれていた優秀なヘス。
そして単体での満足度が高く、わたしの中華心を満たしてくれたぷりぷり海老。
このふたりが舌のうえで出会ってしまった瞬間、なぜか悲恋が始まってしまったのでした。なんでよ。
お茶の間(ますたや)はもうびっくりですよ。まあ、びっくりっていうか、爆笑っていうか…
惜しむらくはこの海老のすり身、ひとつずつしかなかったんですよねぇ。
だから再現性がなく、今なにが起こったのかを、追求するすべがありませんでした。不味いと思ったときにはもうそこにいなかった。
いやあ、びっくりした。笑った。
こんな不味かったの、数の子以来かそれ以上だった。
ベリーバッドマリアージュって、こんな突然にやってくるんだなぁ…
そんな風に物思いにふけった、いつもの夜。
こうして我が家から海老が去り、ヘスが去り、そうしていつもどおりの平穏が、おとずれたのでした――
![](https://assets.st-note.com/img/1654063291326-uRiKnPjJar.jpg?width=1200)
そもそも中華にはビールよな… などという外野(わたしのなかの)の声を押しとどめながら、わたしは今宵もグッドマリアージュを探す旅に出たいと思います🌙
そもそも論とかいいんですよ、あたしはワインが飲みたいんですよ、ワインが!
ベリーバッドなマリアージュも、たまに出会うと楽しいものです。
ベリーバッドが存在するからこそ、ベリーグッドの価値が高まるのです!
ということで、ぜひみなさんのバッドマリアージュも、コメント欄で教えてください😋
そして、記事を読んで「残念だったね!」と思ってくださった方、あるあるだね!と思ってくださった方は、「❤」ボタンを押してスキ!してもらえると嬉しいです♪
ここまでお読みいただいてありがとうございました🍷それではまた、次の #3000円ワイン か、 #ワ活 でお会いしましょう!3000円ワインをこよなく愛する民、ますたやでした(^O^)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。2022年、コムラードオブチーズ認定。夫はワイン検定講師もつとめています。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!
▶ 詳しいプロフィールはこちら!TwitterやInstagramもフォローお気軽にどうぞ♪
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いいなと思ったら応援しよう!
![WineBarやどり葉 店主|ますたや](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/95540218/profile_7b31c69e91f7e15cb72a14ee333bcc6a.png?width=600&crop=1:1,smart)