ワイン界のひな壇芸人枠、ブラインドテイスティングでうっかり高得点をたたき出すの巻(反省会)
何を隠そう、わたしは自他ともに認める、ワイン界のひな壇芸人だ。
ひな壇芸人、つまりガヤ担当である。
高ワインをポンポンあける財力はなく、さりとて安ワインを探求し続ける胆力もない。知識担当なんてもってのほか。ビジュアル担当には到底およばず、料理もお菓子作りも、映えそなことはだいたいできない。
そんなわたしに、唯一できること。
それは大声で叫ぶことだ。
「やば!このワイン美味すぎ問題!」
「ウケるwwww世界一出会ったかもwwww」
「ひゃ~~~~たった今、過去イチ更新しましたッ!」
タイムラインのうるささに関しては、諸先輩方の追随を許さないますたや。
つちかってきたオタク感性から繰り出されるクソデカ主語と、謎のハイテンション。わたしをお見知りおきのみなさんは、きっと一度は思ったことがあるだろう。
「ますたやうるせぇな」
本望である。
ところでわたしは、一体なんの話をしているのか。ここで、結論から述べるとしよう。
ブラインドテイスティング、ちょっと当てちゃったんですよね。
毎週月曜日と火曜日に、恵比寿ワインマーケットパーティでおこなわれている「ブラインドテイスティング」。
今年の2月に彗星のごとくはじまり、試行錯誤を重ねつつ第17回を迎えたこのイベント。
歴戦の猛者たちの集うこの会で、なんかますたや、4位になっちゃったんですよね…
どうしてこのような事態が生じたのか。
一体どういう奇跡が起きたのか。
そして、ひな壇芸人としての矜持はどうしたのか。
我々はその謎を解くため、アマゾンの奥地に向かーーいたいところですがお金もないのでとりま記事にまとめました。
まさか、ますたやちゃんってば……ブラインドテイスティング界の風雲児になっちゃう?!(ならない)
さて、わたしにとってのブラインドテイスティングとは、「美味しいワインがいろいろ飲めるイベント」だ。
もちろんやるからには当てたいが、当てた試しがないので期待はしていない。
どのくらい期待していなかったかというと、店長沼田さんに「100点だと思います!」と豪語しながら解答用紙をお渡ししたくらいである。本当に高得点取るやつァ、そんなこと言わねぇんですよ。
しかも、なんと自分の解答用紙を写真におさめそびれるという期待の薄さ。これに関しては、ひな壇ブロガーとしても失格である。ただワインを美味しく飲んで酔っ払って帰っただけ説ある(ある)
さて冒頭からお伝えしている通り、そんなブラインドテイスティングでうっかり4位に食い込んでしまったますたや。なぜそのようなことが起こってしまったのか、ひとつひとつ検証していきたい。
(1)スペイン/アルバリーニョ/2021/13%
アロマティック品種だ!
というのが、最初のわたしの感想である。わたしが知ってるアロマティック品種といえば、ヴィオニエ、ゲヴェルツトラミネール、トロンテス。もしかすると、リースリング。このたった4種類だ。
香りだけではわたし程度の人間には判断ができない。さっそく飲んでると、かすかな残糖みを感じたような気がするし、そうじゃないかもしれない。でも、リースリングのような酸味は感じないし、ぺトロールもなさそうなので、リースリングちゃんはいったん却下。そうだよね?!オーディエンスのみんなー!(耳を傾ける)
なによりも特徴的だったのが、後半に残る苦味だった。
苦味、といえば、そんなものヴィオニエ一択なんですよ!
というわけで、ヴィオニエを選びました。4分の1です。途中オーディエンス使って3分の1。ヴィオニエだから、フランスである。あと、ヴィンテージ?えーっと、古酒っぽくないから、なんか2020くらい!(このあと、ヴィンテージはだいたいこんな感じで答えてるので省略します)
ちなみにアルコールは、最近自宅で飲んだIGPコリンヌ・ローダニエンヌ(品種:ヴィオニエ)が14.5%という高値をたたき出していたので、それにならって高めに出しました。
よくよくさかのぼってみるとIGPコリンヌ・ローダニエンヌ、第15回のブラインドテイスティングで出てた。2回は出ないだろさすがに……
というわけで、答えはスペインのアルバリーニョでした。へ~!そんな品種あったね…!(アロマティック品種が5種類に増えました)
ここに加点があったのかどうかは微妙なラインだが、1杯目はアロマティック品種ってところだけかすりました。このくらいがたぶん、わたしの本来の実力です。(もう出し切った)
(2)日本/マスカット・ベーリーA/2020/12.5%
続いて(2)だが、これは香った瞬間に「えへへ♡」となった。あなた知ってる子…!
マーケットパーティさんによると、これは半数の方が当てられたということ。みんなすごいな。なので別にわたしがすごいんじゃないです。2分の1に入りました。
ただ、ちょびっと運がよかったのが、わたしが昨年「樽熟MBA」にはまってそれなりに飲む機会があったんですよね。樽熟MBA、わたしからもオススメですみなさん。気になる方は、ぜひワインマーケットパーティさんへ!
・・・・っていうか、あんた日本ワイン造ってるんだから、これは自信もって当てないといけないだろう、ますたや!と、あとから思ってひえっ…としました。あ、当てられてよかった…(ほっ)
これでなんとか仕事人としての体裁も保ったことになります。師匠~~~~ッ!あたし、ベーリーA、当てましたよ~~~~~~!!(大きく手を振る)
(3)フランス/グルナッシュ/2020/15%
問題の(3)だ。おそらくわたし、ここで点を取ってます。
まずはWMPの沼田店長の言葉を見てみよう。
まずはわたしがこのワインを飲んで最初に感じた、率直な感想を時系列に沿って述べてみよう。
『え?なにこれ。知らないハーブっぽい香りがする。知らない子だ』
『あれ?この味飲んだことある。知ってる子じゃん。誰おま?』
『ほんでちょっと甘いな。でも、もしかしたらアルコール度が結構高いのかも。ってことは、あったかい地域?』
このあたりでわたしが思いついた品種は、「フランス/グルナッシュ」「オーストラリア/シラーズ」「スペイン/テンプラニーリョ」「イタリア品種のなにか」だ。というか、わたしの頭にはそのくらいしか浮かばない。
イタリア品種のなにかは、具体的な品種名が出てこないので却下。出てきてたら書いてた。
シラーズは、最近たまたまよく飲んでたオーストラリアのシラーズとキャラが違うので却下。もうちょっとフルーツ丸かじりみたいなやつがオーストラリアだ。そうに違いない。ついでにフランス/シラーだともうちょっと酸っぱい気がするので、それもいったん除外。
ってなると残ったのは、テンプラニーリョとグルナッシュである。
ここでますたやのシンキングタイムだ。
たとえば「スペイン/グルナッシュ」「フランス/テンプラニーリョ」と、国と品種をずらすこともできる。そうしておけば、どっちかが当たれば、部分点がもらえる。
これ、ワインエキスパートの試験対策ではよくやられる戦法だ。あれはとにかく、「そう遠くない」回答をすることが大事な試験。自信がないときは、ずらして書く方が点が取りやすいのだ。100点を狙って品種や国を当てるより、確実な部分点を稼ぐほうが合格する。わたしはそう習った。
しかし、である。ここは戦場。
しかも、この答えって、沼田店長が採点するんでしょ…?(こっちが本音)
『フランスのテンプラニーリョはないっしょ』
『いやいや、スペインのグルナッシュって(笑)』
なーんて思われちゃったら、は、は、恥ずかしい~~~~~~…っ!!!
というわけで、ますたや、まさかの賭けに出ました。
なんかわたしの好きな品種のような気がするから、フランスのグルナッシュ、きみに、決めたーーー………………ッ!
というわけで、結果は見てのとおりだ。
ますたや、ただ賭けに勝ちました。
ちなみに、わたしよりも若干ブラインドテイスティングに慣れてる夫に報告したところ、「グルナッシュは、ブラインド慣れしてるひとほど書けない」と言われました。へ、へぇ…そうなんだ…?
そもそもグルナッシュは、ブレンドされることが多い品種。だからまさか出るとは思わないと。グルナッシュって書くには、相当の覚悟をしないと書けないと。へ、へぇ…そうなんだ…?(無覚悟)
というわけで、そういった雑音を一切排除できたことによって(※知識不足をいい風に言ってます)賭けに勝ってしまったますたや。二度おなじことはできない。絶対だ。200回に1回出てくる特殊攻撃でうっかり勝っちゃうタイプの使いにくい特殊キャラですよこんなもん………!
――――これが、ますたや4位の全貌である。本当の意味でのマグレでもないが、別にかっこよく当ててもいない。中途半端ですみません。あとわたし、品種知らなすぎる。今のところイタリア品種なんか出てきたら全滅だ。全部サンジョベーゼって書いちゃう。
でも嬉しかったので、こっから20年先くらいまで自慢します。やったーー!見たか、人類ーーー!たとえ次が20点でも言い続けるよ…!!
ますたやも入賞しちゃうほど、全人類に開かれたワインマーケットパーティさんのブラインドテイスティングチャレンジ。
間違いなく美味しいワインが飲めますので、月曜日と火曜日はもろびとこぞりてWMPへGO!
▶ 毎週のようにチャレンジ中のヒマさんを差し置いてすみません!先に行ってます!(すぐ戻ってきます)
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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワイン好きが高じて、2023年3月から都内のワイナリーで働きはじめました。
2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得/2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得し、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中。
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