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コーヒー農家さんとの宴・美味・感動~ベトナム旅行記(9)
ベトナムの食事は、楽しくて美味しい。
今回は、そんな話を書こうと思う。
前回のnoteの続きで、Future Coffee Farm(以下、FCFと書く)のToiさんの協力農家さんの6軒のロブスタ農家さんがご準備してくださった懇親会、食事会はとても盛り上がった。
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ベトナムの人は、本当に明るい人が多い。そんな印象をさらに強くした宴会だった。こんなに腹を抱えて笑ったのは久しぶりというくらい笑った。笑いすぎて腹筋が痛くなってしまったくらいだ。
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彼の笑顔見るだけで、今でも思い出し笑いをしてしまう。
日本人が世界から褒められる文化として「おもてなし」ということがよくフォーカスされるけれど、ベトナム人の「おもてなし」も、日本人の僕から見てもかなりレベルが高い。彼らが日本に来てくれるというような逆の立場になったときに、僕なんかは、彼らのように彼らを「おもてなし」できるかどうか、正直に言って自信がない。そう思わされるくらい、彼らの気遣い、気配りは細やかだ。
そして、食事会の食事は「これでもか!」というくらいの量の料理を用意してもらえる。そういうこともあって、僕は毎回ベトナム旅から帰国すると、体重が増えて帰国することになるのだ。
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見るからにして、食べきれない量だなという想像はつくのだけれど、日本人の感覚からすると「残すと申し訳ない」という思いが先に立つから、自分のお椀やお皿に盛っていただいたものはしっかりと"残さず"いただこうとする。そしてしっかりと平らげる。すると、すかさず近くにいるベトナムの人が、さらに盛ってくれる。美味しいので、難なくそれを平らげる。すると、さらにほかの誰かが盛ってくれるなんてことも起きてくる。「もういいです」なんて遠慮しようもんなら、「何でだ、食え食え。遠慮するな。」なんていうふうに満面の笑顔でお皿におかわりを盛ってくれる。この繰り返しなのだ。「ふ〜さすがにもう食えん」と箸をおくと、農家さんのお母さんが、とっても柔らかな優しい笑顔で「おかわり、つぎますよ」と手を差し出してくださるので、もはや条件反射のようにお椀を差し出してしまう。
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ベトナムの人の食事の場面でのおもてなしは「たっぷりと用意して、お腹いっぱいになってもらうこと」なのだそうだ。なので、食事が終わった後に、お皿が「空っぽ」になってしまうのは、逆に客人に対して失礼なことだと考えるらしい。「足らなかったんじゃないか?」とか「少なく作ってしまって申し訳ない。」という考え方になるそうだ。だから、もうお腹いっぱいというときには、お皿やお椀に少し残して箸を置く。それが「もう満足です」というサインになるらしい。
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初めてベトナムを訪れた4年前は、そんなこと知らないものだから、毎回の食事がまるでフードファイトの様相を呈していた。とはいえ、供される食事は、どれもとってもおいしいものだから、こっちもバクバクと頂いてしまうことになる。
そして、ちゃんと太るのだ。
でも、こんな機会はないのだから、太るとかそんなちっちゃいことは気にせず、パクパク食べるべきだ。
今回は、レストランの食事以外に、農家さんのご家庭の食事をいただく機会が多かった。それがまた絶品だった。ここまで載せている写真はどれも地元の方達が作ってくださったものだ。
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この料理まで行きつかなかったのだと思う。
ベトナムでは、鶏肉を頂くことが多いのだけれど、その鶏はスーパーで売られているようなゲージに詰め込まれてストレスフルな状態で無理やり太らされた鶏肉とはまったくちがって、平飼いで伸び伸びと育った鶏たちだ。だから、しっかりと筋肉がついていて、身体が引き締まっている。そして、当然のことながら旨みが凄い。
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閲覧注意となるのかもしれないけれど
命をいただくというのは
こういうことである。
だから「いただきます」という言葉は大切
ベトナムでは、タレにベトナムの特有の味わいの醤油や、ヌクマムと呼ばれる魚醤を用いる。正直なところ、僕はそれらが少し苦手だ。少し甘みがついていたり、独特のクセがある。ヌクマムの方は発酵臭がするので、ちょっと僕は敬遠している。でも、ベトナムの鶏肉は、塩と胡椒だけで食べるのが一番おいしいと思うので、問題なし。素材の味わいをしっかり楽しめる。
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ベトナムで食事をしていると、たしかに量を食べるので太ってしまうという問題点はあるのだけれど、その点以外はとてもヘルシーだ。フォーには、大量の野菜を入れて食べるし、フォーの麺は米粉でグルテンフリーだ。スープは薄味だけれど、かと言って物足りなさはない。野菜や麺や野菜の素材の味をしっかり楽しめる。
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日本に帰ってくると、成田空港で何かしら食事をしてから自宅への帰途につくのだけれど、そのときに味噌汁を飲むと「味が濃すぎる。しょっぱすぎる。」と感じる。以前、台湾人の友達に「日本人は味噌汁とかラーメンとかすごくしょっぱいものが好きだけれど、腎臓は大丈夫なのか」と真剣に質問されたことがある。たしかに他国の食事に慣れて帰国すると、日本食の塩味というのはいささか「濃い」と感じるところがあるものまた事実だ。でも、時間が経つにつれて、その味にも慣れてきてしまうのだから、僕の腎臓もしっかりケアしてあげなくてはと思う。諸外国を旅することの効用は、やっぱりこういうふうに自分自身の「当たり前」を客観的に再考できるところにあるのではないか?と思う。
どんな国でも、食事というのは潤滑油である。
おいしいものがあるだけで人は楽しく幸福な気持ちになれる。
どんなに悩みがあっても、その瞬間はそれを忘れさせてくれる効果もある。
まずは「いっぱい食べろ」と笑顔でたくさんの食事を勧めてくださった農家さんたちからは、おいしいもの以上のことを頂いた気がしている。
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めちゃくちゃ太い