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生まれて初めてガチの野良猫を保護した話⑭

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それぞれのスタンス

実はしっぽには、「ぜひこの子の面倒を見たい」と立候補してくれた方がいました。しっぽがいた公園の、向かいの工事現場で働いていた50代の男性。衰弱しているしっぽを見つけ、私たちと同じように気にかけ、ときどきごはんをあげていたそうなのです。

「明日から別の現場になっちゃうから、あの子が気になって」

捕獲しようとしていた私たちに、そう声をかけ、身分証のコピーまでくれました。

「怪しい者じゃありません。猫が自分に懐かなくてもいいんです。ただ、安心できる寝床を用意してあげたいだけ」

男性は一人暮らしで、すでに6匹の猫と暮らしているとのこと。優しい人もいるんだと、胸が熱くなりました。その人に連絡すれば、すぐにでもしっぽを迎えに来てくれるでしょう。でも…。

猫と、どう暮らすか。

これは、人によってまったくスタンスや価値観が違い、正解はありません。十数匹の猫と暮らす人もいれば、1匹とじっくり向き合いたい人もいる。「3匹以上は何匹増えてもいっしょ」と言う人もいます。もう一度書きますが、正解は、人によって違うのです。

私なら「あなたにとってベストなのは何匹?」と聞かれれば「3匹」と答えます。多頭飼いなら猫同士遊んだり、毛づくろいし合ったりできるし、3匹いれば1匹に仮になにかあっても、2匹で支え合える気がするからです。

これは、家の広さや経済力、その人が持つ猫に関する知識、猫に使える時間、今いる猫の性格や体調…そういうものも関係してきます。私の場合は、あまりに猫が多いと排泄物や吐しゃ物が誰のものか見分けられず、体調の変化に気づくのが遅れそうで心配です。それに、猫の要求には、できる限り応えてあげたい。正直言えば、4匹いる今だって、自分のキャパ不足や時間のなさに、いつも悩みながら暮らしているのです。

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飼い主に置いていかれ、外の世界で3年間もサバイバルしてきたしっぽ。推定年齢10歳で、子猫ほどはたくさんの時間がないかもしれないしっぽ。とにかく甘えんぼで、撫でると「もっともっと」と、なかなか離してくれないしっぽ。

なにより、見ていて一番強く感じることは、しっぽは『愛されたがっている』ということ。大げさな、と思うかもしれません。私も、猫に対してそう感じたのは、今回が初めてです。朝、部屋にカーテンを開けに行くと、くうんくうんと、遠慮がちに主張するしっぽ。近づくと、嬉しそうに勢いよく鼻チョンしてくれるしっぽ。そんなしっぽが残りの猫生を過ごす場所は、我が家の5匹目とか、あの男性の7匹目のポジションじゃ、きっとない。

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そう思ったとき、寂しくて、恥ずかしながら泣いてしまいました。でも、感情を優先させるんじゃなく、ただでさえ大きく失われてしまったしっぽの大事な時間を、せめてここからは幸せに過ごせるよう、環境を冷静に見極めるべきだと思いました。きっと今、私は世界で一番しっぽのことをよく知っているから、その私が、責任をもって見つけようと。

幸せな居場所

ということで今私は、しっぽの新しい幸せな居場所を探しています。このnoteも、そのためにここまで書いてきました。読んでいただけたら、しっぽがどんな子か、分かってもらえると思います。

私が希望するのは、こんな里親さんです。

・適切な医療を受けさせてくれる人。

症状はかなり回復しましたが、しっぽは口の中を治療中です。10歳なので、この先病院のお世話になる機会も増えていくと思います。そういうとき、しっかり医療を受けさせてあげてほしいのです。

・猫と暮らしたことがある人。できれば、見送った経験もある人。

人間に一度捨てられたこと、シニア猫であることを考えても、初めての猫としてお迎えするのは、ややハードルが高いかもしれません。猫という生き物を知っていて、しっぽのペースに合わせてあげられる人がいたら最高です。

・超多頭飼いではない人。

必ず一対一で、とは思いません。我が家の猫たちとの関係を見ていても、どうやらしっぽは、他の猫を穏やかに受け入れ、仲良くできる子のようです。ただ、愛情に飢えているので、ものすごくたくさんの猫の中の一匹として迎えるというよりは、少ない頭数の中で、たっぷり愛情を注いであげてほしいと願っています。

しっぽは、賢く、穏やかで、甘えんぼな、本当にいい子です。少し臆病なところはありますが、待っていれば必ず心を開いてくれます。びっくりするくらい毛並みがふわっふわで、抱いていると幸せな気持ちになります。ブラッシングが大好きで、ゴロゴロいいます。そうそう、最近少しの時間なら抱っこもできるようになりました。カメラも怖がらなくなったので、やっとiPhoneじゃなく、一眼レフで写真が撮れるようにもなりました。…すみません。しっぽのことを書きはじめると、いくら書いても書き足りないような、もどかしい気持ちになって、つい言葉が多くなってしまうのです。

私か夫の関係者のみなさん。私か夫の連絡先を知っている方々。連絡先を知っている方を知っている方も。

どうか、しっぽを家族に、と思って下さる方がいたら、連絡を下さい。待ってます。

⑮へつづく

我が家の猫たちとのエピソードはこちらに。

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