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自己研修のあり方とは。 〜『新しい算数研究2023年1月号 第624号』レビュー〜

今回のテーマは、算数の「個別最適な学び」「協働的な学び」を創る算数研究・研修の在り方。
教員たるもの、自己研鑽をしていく義務がありますが、
実際どう学び続ければ良いのか。
今月号は、その指標となるものをいくつか提示してくれていると思います。

思考ってどんなふうに形成されていくの?

佐藤学先生の「発展的思考・態度の形成過程に関する調査からの『指導の個別化』の検討」では、
学習者が発展的思考・態度を形成する過程を明らかにしてくれています。
「思考力」を育てると一言で言っても、何を目指すかぼんやりしてしまうことが多いのではないでしょうか。

佐藤先生は、特に「発展的思考・態度」について以下の4つの形成過程があると述べています。
  経験の段階 理解の段階 試行の段階 自立の段階
詳細は本稿を読んでいただくとして、「思考力」と呼ばれるものを明示化していただけたような気がしました。

協働的な学びを深めるには、個性の違いに焦点を当てる

池田敏和先生の「算数科における『個別最適な学び』と『協働的な学び』を一体的に捉えた個人研究の在り方」では、
現在大きなテーマである「個別最適な学び」と「協働的な学び」を考えていく上で、必要な視点を与えてくれています。
特に、「個人研究を進める上での留意点」では、具体的な実践を構想するにあたって何を論点として主張していくか、以下のように述べられています。

①共通の地盤を何にするのかを明確にしながら、個性化の捉えを明確にすること、そして、その上で個の違いがどのように協働を深めていくのかを考えること
②協働的な学びを深めるためにどのような個性の違いに焦点を当てるのか明確にすること、そして、その個性の違いがどのような意味で互いを認め合う個性化につながっていくのかを明確にすること

協働的な学びを深めるためには、個性の違いに焦点を当てなければならない。
おそらく、教室にさまざまなお子さんがいる中で、
そのお子さんそれぞれに得意としていることがあると思うのです。
それは、成績の良い・悪い、算数・数学の得意・苦手に関わらず。

以前、中学校の講師をやっていた時に、グループ活動の中で、
教科書には載っていない、成績の良い子がいくら教科書を予習しても解けないであろうなという問題を出した時に、
「あれ、ここって、こうなんだっけ?」と気づいたのは、とても数学が苦手な子でした。
そこから、数学が得意な子が「ああ、それなら、こういうふうに考えられるかな」と計算し始め、答えにたどり着きました。
そのような場面に出会ったとき、「学校の教師やっててよかったな〜」と思うのです。
(このときは、偶然このような場面が引き出せましたが、本当は意図して引き出すきっかけを作るべきですよ。念のため。)

学校はいろんなお子さんがいるから、塾や個別指導と違って面白い。
特に、特別支援は、個性の違いをきめ細かに見つけ、よりグループとしての成長を目指せるような、そんな気がするのです。


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