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透明なガウン プノンペン大学卒業記

2021年10月に修了した王立プノンペン大学の卒業式の連絡がきたのが先週の話。3年経って忘れたころにやってきたお知らせだったこと、の続きです。

クラスメイトと記念写真

日曜日の朝7時半に呼び出されて、ガイダンスを聞いてガウンを受け取ったあと、せっかくだから記念写真を撮ろうということになりまして。結婚式でいうところの前撮りというやつを、仲良くしているクラスメイトとの都合を合わせて昨日の朝集合して撮影をやりました。もちろんちゃんとカメラマンさんを手配して。プノンペンで卒業写真のメッカといえば、王宮前と独立記念塔。わたしたちももれなくそちらで。王宮前にも独立記念塔にも、さまざまなガウンを着た若者たちが写真を撮っていました。わたしたちは若者じゃないけど、おかまいなしにかっこつけてみたり、帽子を投げてみたり、ジャンプしてみたりしたのですが、びっくりするくらい、暑い。ガウンがとにかく、ものすっっっっごく暑いのです。

ガウンって何?

卒業式といえばコレ! みたいになってますが、そもそもガウンって何? と思いまして。日本の大学ではあまりない習慣だけど、欧米の大学の卒業式では当たり前のように着ていますよね。ネットで調べてみたら、アカデミックドレスと呼ばれるものらしく、イギリスでは中世からはじまった習慣だそうです。ヨーロッパのアカデミックドレスの習慣がアメリカに伝わって、アメリカでも着用するになったと書かれていました。イギリスは前を開けて着るけど、アメリカは前を閉じて着るみたいな違いはあるそうです。ちなみに、プノンペン大学のガウンは前を閉じて着るのでアメリカ型ですね。さすが、通貨にUSドルも使える国(関係ないけど)。

なぜカンボジアも?

欧米の卒業式でガウンを着用する習慣を、なぜまた東南アジアのカンボジアも取り入れているのでしょう。誰かに聞いたらわかるのかもしませんが、どうも、気候に合わない気がするのです。昨日2時間くらい外で着用していて、ガウンがもはやサウナスーツと化していました。ふところに小籠包を隠し持っていたら撮影が終わるころには蒸し上がっていただろうというくらい。たとえば日本なら、卒業式がだいたい3月なので、これは暖かくていいだろうなと想像しました。一方常夏の熱帯カンボジアでは、カタチから入ったのかもしれないけれど、見かけ以上につらいなぁと身を持って実感してしました。あ、これってもしかして、我慢が試されている? これくらい我慢できなければ修了証なんて渡せないぜぃ〜、ってやつ? この国では。冗談はさておき、カンボジアは伝統的な衣装や制服を重んじる国だなぁと常々感じていて、みんながみんな大学へ行けるわけではない、就学率が他国より低い国ならではの、けじめの服のようなものなのかもしれないとも思ったのです。

透明なガウン

日本では三笠宮家彬子さまの「赤と青のガウン オックスフォード留学記」という本が話題になって、少し前にそれを読んだという人と話していたのですが。わたしは大学院を修了してから3年経ったのにまだ卒業式がないので、ガウンを着ていないことをいじって「透明なガウン プノンペン留学記」でも書こうかなんてふざけていたのです。卒業式がもし永遠にやって来なくても、わたしは単位を取ったし(出来はどうであれ)論文も書いたしちゃんと修了したんだから、透明だけどガウンを着たんだ、などとまるで裸の王様のようなことを言っていたバカなわたし。奇しくもそんな会話をしていた翌日に卒業式開催の連絡があったのです。テレグラム上ので会話をハッキングされていたかもしれないですね、カンボジア政府に。

卒業式では女性はガウンの下に伝統的衣装を着用と指示されたので、撮影もその服装で臨んだのですが、衣装は絞れるくらいの汗をかき即ランドリー屋へ。しかしガウンは洗えないので、汗染みがついたかもしれないものを着用して11月20日の本番に出席いたします。ファブリーズくらいはしておこうか。


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