50歳、大学院卒業式は忘れたころにやってくる
王立プノンペン大学の開発学の修士課程に入学したのは、2019年2月のこと。2021年10月に修了して、ずっと待っていたのは、卒業式。まだしていなかったのですよ。大学の卒業式が数年後にやってくるのは、カンボジアという国では当たり前のこと。これを経験しないと、わたしのカンボジアの大学院潜入記も完結しないのです。
本当に忘れかけていた卒業式
今週の火曜日、1通のメッセージが大学院のクラスメイトから届きました。「わたしたちの卒業式が来るよ〜」。修了して、仮の修了書をもらってからまる3年。わたしたちにはもう一生”仮”というものがつきまとうんじゃないかと思いはじめたころに突然飛び込んできたニュース。どうやら今月の20日に、わたしたちと一つ先輩たちの卒業式があるようなのです。翌日、王立プノンペン大学の事務局から、お知らせが届きました。「11月20日木曜日に卒業式があります。次の日曜日の朝7時半からガイダンスがあるので、大学まで来ること。その際、卒業式のガウンを渡します、以上。」日曜日って4日後じゃんか。長々と待たせておいて、決まるときは早い、しかも、急。今朝、朝早くに大学まで出かけて行ったのでした。
早朝とトイレ問題
朝7時半、大学の講堂に入りきれない人数が集まっていましたが、なんとかクラスメイト5人が顔を合わせることができました。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた、酸素も足りない講堂では、聞き取れるか取れないかギリギリの音量のマイクで、大学の偉い系の方と事務局の方が卒業式当日についてのガイダンスをしてくれましたが、当然クメール語。クラスいちの秀才出来杉くんが隣に座って通訳をしてくれたので助かりました。内容はこんな感じ。
・当日は朝5時40分集合!
・セキュリティチェックがあるのでカバン等は持ち込み禁止だから身一つで来い。
・女性はガウンの下にはクメールの伝統的衣装を着用すること。
・8000人の参加者がいるのでトイレが足りない問題。
・卒業式のセレモニー中にトイレに行ってもいいが数が足りないので連れ立って行くのは禁止!(1人で行け!)
他にも何か言っていたのですが、朝があまりに早いことと、トイレの数に問題を抱えているということしか頭に残りませんでした。空気も薄いし。
ガウンゲットにカオス
今日のガイダンスが終わったら、卒業式で着用するガウンを受け取らないといけないのですが、数千人が一気に集まったものだから、窓口はカオス状態。カンボジアでは、”列を作って並ぶ”という習慣があまりないので、我先にと伸ばす手がもはや誰の手かわからない感じになっていて、平成初期のデパートのお正月の人気ブランドの福袋売り場状態。一回帰宅して後で来ようかと諦めたくなったわたしでしたが、マスターコースの窓口に行くと、あら、それほどの人もいない。案外するっとガウンと帽子をゲットすることができました。これにはひとり30ドルの支払いが必要なのだけど、卒業式が終わって返却すると30ドルも戻ってくるという仕組み。ただ、問題なのは、このガウン、サイズが選べないというところでした。着てみたらぶっかぶか。ガウンに着られたハリーポッターみたいになってしまいました。
まるでコスプレ
日本の大学ではガウンを着ることがなかったので、着てみたいなぁとは思っていましたけど、わたしが着るとまるでコスプレ。見慣れないというのもあるのでしょうけど、妙な感じがします。でもまぁ、こんなものを着用すると、はじまりますよね、撮影大会が。朝も9時を過ぎると日差しが強くなってきてどんどん暑くなる中、厚くて暑いガウンを着て(これは熱帯の国にはふさわしくない衣装だ)記念撮影をしまくりました。つらいけど笑顔を作らないといけない! ちょっとコスプレーヤーの方々の気持ちがわかったような気がします。暑さにはすぐに限界が来たので適当なところで切り上げて、来週、映えスポットで卒業写真を撮ることにしました。早朝じゃないと、やばいっす、カンボジアの炎天下。撮られた写真の3分の1は目を瞑っていたわたし。そりゃそうだ。サングラスがないと無理。
さて、当日にすべきことは。ひとりではチャックを上げることができないクメール伝統衣装着用のために5時に友だちにアパートに来てもらうこと。5時40分に間に合うように会場に到着すること。そして何より、数時間に及ぶと噂されている首相のスピーチの間じっと耐えること。クメール語の荒修行と思って当日を迎える所存です。