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鱒子 哉
2019年7月16日 21:17
昼過ぎの目覚めに、ぼくはうんざりする。もっと遅くたってよかったのに、と。精いっぱい光を取り込んだ部屋で、ひとつ大きな欠伸をした。今日はやろうと思っていたことがある。それは手紙を書くことだった。二通のうちひとつはもうすでに――眠れなかった明け方をつかって――書き上げていた。だからあともうひとつだった。こっちは初めて出す相手だった。親交はずっと前からあったけれど、会ったのは数ヶ月ぶりな上にま