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日記

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日記の寄せ集めです。
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日記⑲(2022.02.26)

日記⑲(2022.02.26)

 三年と半年もの間、アルバイトしていた書店をやめた。今月に入ってから、あと何回出勤があるかを数えていたのに、いつも通り日々を過ごしていたらいつのまにかその前日で、当日で、その次の日になっていた。感傷ばかり。

 もともとは一年ほどしたらまた別のアルバイトをしようと思っていた。いろんなアルバイトを齧りたいと思っていたからだ。次は花屋さんがいいな、なんて。でも気づいたらこんなに経っていた。あまりに居心

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日記⑱(2021.04.01)

日記⑱(2021.04.01)

 教科書を買うのに、ひとりで新宿に行った。いつも連れ立った友人が就職のために遠くへ行ってしまったからだ。
 本屋を出たあとはいつも喫茶店に寄っていて、だから今日も寄った。ほとんど満席で、はじめてカウンター席に案内された。二本目のタバコを手持ち無沙汰で吸いながらこれを書き始めたものの、そのライヴ感が恥ずかしくなって早々に出ることにした。

 二月に彼がいなくなって、それに精神がかかりきりになって、つ

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日記⑰(2021.01.01)

日記⑰(2021.01.01)

 大晦日や正月は、正直、邪魔だなと思う。
 いいことといえばバイトが四連休くらいなもので、朝起きての一曲目、一本目のタバコ、にいやに気を遣ってしまうし、今日の過ごし方で一年が決まってしまうような気がするし、それまで築いていた一週間のリズムがくずれる。大晦日くらいは、元旦くらいはとだらけたくなる。それから朝起こされるのがなによりしんどい。立派らしい抱負を口に出し、親戚に電話をかけなければいけない。そ

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日記⑯(2020.10.17)

日記⑯(2020.10.17)

 いまが秋なのかどうか、どうにも疑わしいですね。季節の移り目があまりにも鮮やかで、たとえ目を瞠っていても素通りしてしまいます。冷えによる体調不良を防ぐには冬の格好をしなくてはいけません。

 久々にnoteに何かをあげようと思ったのですが、それに値する身体的事件はなにもないので、ここ最近の、ぼくの精神における変化、あるいは変調を書きます(前者に比べて面白さは大きくなくなることが予想されますが)。

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日記⑮(2020.08.29)

日記⑮(2020.08.29)

 推敲段階に入ると、とたんに手持ち無沙汰になる。推敲を長くとるのは新人賞に出すくらいの長さのもので、ぼくはこれまで三つしかその長さを書いたことがないから、その手持ち無沙汰さがいつも久々でうろたえてしまう。

 とりあえず読書をする、未完成の小説にはふれたりふれなかったり、いろいろなリズムでごっちゃになりたい。でも推敲期間は、その小説世界と自分の世界を近くすればいいのか遠くすればいいのか分からなくて

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日記⑭(2020.05.02)

日記⑭(2020.05.02)

 鬱だ。

 でも、ぼくよりも大変なひとがいることをぼくは知っている。コロナで内定取消を食らった人もいると聞いた。それは自分で認識すると一番身に刺さる。
 他人にそんなことを言われたのでは、何てことない。でも自分で思い至ると、その異物はつよい存在感を持って毒になる。

 眠れなかった。久々に外出して幼馴染と散歩して、確かに身体は疲れていたはずなのに、全く眠りにつけなかった。躁のあとには鬱がくると、

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日記⑬(2020.04.29)

日記⑬(2020.04.29)

 父親に連れられて、川沿いを散歩していた。久々の外出ですぐに疲れて、三十分ほどでベンチに座り込んだ。舗装された道では幾人ともすれ違い、右から左から人が前を通っていった。

 なんのことはない、おばあちゃんと孫と思しき二人が、右からやってきて、懐かしいような会話をしながら前を通った。十分に休まったからそろそろ立とうという雰囲気があった。ボーダーの長袖シャツのみという薄着が目を引き、過ぎていった二人を

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日記⑫(2020.03.16)

日記⑫(2020.03.16)

 三十分ほど遅れます、と井の頭さんからのLINEが報せたから、目についたエクセルシオールでコーヒーを買い、喫煙ブースに入ったり昨日買ったばかりの『掃除婦のための手引き書』を開いたりして過ごしていた。風が強いみたいですよ、と教えてもらったから知ってはいたものの、まさに風が吹きはじめた頃で、これから歩きに行くんだと思うとちょっと戦いた。

 御茶の水橋口で合流した。井の頭さんは強風と知っていながらもす

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日記⑪(2020.01.23)

日記⑪(2020.01.23)

 用事は十時過ぎに終わった。十三時起床が常のぼくからすれば眠っているはずの時間、だからゆっくりしよう、と帰りがけに見かけた喫茶店に入る。
 朝早く起きると、いつもその「朝早く起きなければいけない」というプレッシャーにやられて寝不足になる。居ないはずの時間と相まって、どうもフワフワする感覚が抜けなかった。
 320円のブレンドコーヒーをSuicaで支払い、対向からくる人を待ってから喫煙席に座る。一応

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日記⑩(2019.12.31)

日記⑩(2019.12.31)

 人の気配がない終末的にも感じる夜でひとを待ちながら、ぼくは年の瀬についに突入し、その境界を越えようとしていた。

 年の瀬、という言葉をクリスマスを過ぎた辺りから幾度となく想起した。川の流れの真ん中、状態的には折り返しとも見ることができる。その川とはつまり時間だとすると、ぼくらは常に流れに半ば逆らいながら、対岸を目指し渡っていることになる。生きるとは、つまり、渡り続けること、?

 遮蔽物なしに

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日記⑨(2019.10.26)

日記⑨(2019.10.26)

 先週、のことだったと思う。ぼくと父と叔母夫婦と祖母の五人で茨城のバスツアーに行った。最近のことに薄められつつある記憶を思い出しながら書いてみようと思う。

 天気をちゃんとは覚えていないが、風がひどく強かったことだけは確かだ。高校で通っていた最寄りの一つ隣の駅――つまりぼくとしては懐かしさばかりが目につく街――で集合し、ぞろぞろとバスに乗り込んだ。
 バスに乗るのは四月の長野以来だった。そのとき

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日記⑧(2019.09.10)

日記⑧(2019.09.10)

 集合は20:45だった。

 前日に決めていた焼き肉屋へ行き、九割ほど腹を満たして夜パフェ専門店でいささか大きすぎる――少なくともその時の胃事情を鑑みるとその言い方はむしろ加減が足りないような気もするが――ピーチを主題としたものを食した。その店は味と同じくらい見た目に気合いを入れているらしく、そのせいか食べづらかったが、まあ楽しんだ。一緒にいた長井はもっとボリューミーなものを頼んでいた(長井とい

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日記⑦(2019.08.30)

日記⑦(2019.08.30)

季節はずれの寒気をおぼえて、自ずと目が覚める。設定したアラームからは一時間ほど過ぎていた。

どうしてこんなに寒いのだろう。
まだ眠りたいとうるさい目蓋をゆっくり現実にならせて、ひとまずエアコンのスイッチをきる。まるで冬の朝のように冷えている。

階下へ行きうがいをして水を一杯飲んでから、自分の部屋から赤マルと安全燐寸を持ってベランダに出る。部屋の底冷えの原因は、外気だったのだ。風が強くて一本失敗

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日記⑥(2019.08.21)

日記⑥(2019.08.21)

 B10出口を出ると、飛沫がひどく、それだけでいくつもの雨の染みができた。屋根の一歩外は大きな水溜まりで、目の高さにそれがあったときの迫力は、都心なのに自然を感じたほどだった。

 後がつかえていたので、水溜まりをぎりぎりよけて頼りない折りたたみ傘をさして、目的地をもとから入っている地図アプリで検索すると、どうも別の出口からの方が近いらしかったから、ぼくと枝はそこからまた地下へと戻ることにした。

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