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「危機」が起こった時何を用意する?


 私は以前「一般人は資産防衛より生活防衛を」というエントリーを書いた。今回はその発展的解消版とも言える記事である。2022年の2月に始まったロシア・ウクライナ戦争は今も続き、さらには2023年10月からはイスラエルと周辺国との戦争が拡大しつつある物騒な世の中になってしまっている。そして我々に取っては最も身近な危機になるであろう台湾有事の話もいまだに立ち消えになることなく、数年以内には……と噂されているような状態である。中国は着々と軍備を増強し、近い将来台湾や日本の沖縄(特に先島諸島)に攻め入らんばかりの獰猛さを隠そうともしていない。これは戦後日本における最大の危機になるかもしれない。そこで、本エントリーでは前に書いた「一般人は資産防衛より生活防衛を」をより整理したり考え方が変わった部分を修正するなどの形で、改めて記事を執筆し直してみることにした。
文章が下手な上にムダに長いが、ぜひ最後まで読んでくださればもっけの幸いである。

どんな危機が起こるのか?

 まずはどのような危機がやって来るのかの整理から話を始めたい。

1)経済危機

 これは以前の記事(一般人は資産防衛より生活防衛を)も触れたが、ハイパーインフレ(猛烈な円安)や預金封鎖・財産税・日銀の倒産などのかたちで国の経済がめちゃめちゃになり、今までのような豊かな生活ができなくなってしまうパターンである。

2)戦争

 これは導入の部分ですでに軽く述べているが、主に台湾有事や朝鮮半島有事、あるいはロシアの北海道侵攻などの戦争によって国土がめちゃくちゃになり経済・社会が混乱して危機が訪れるパターンである。

3)大災害

 これは南海トラフ大地震や首都直下型地震、富士山の噴火や異常気象など天才によって国中がめちゃくちゃに乱れ危機を迎えるパターンである。

経済危機、及び戦争との複合型を論じる

 さて、実際にこれらのどれがやってくるのだろうか?まず3)大災害だが、これについては今回は話題に取り上げない。なぜかと言うと、経済危機や戦争への備えをすれば、自ずと大災害への備えをすることにもつながるからである。また筆者の能力的に、自然災害まで含めて物事を論じるだけの脳のキャパシティーがないから端折らざるを得なくなってしまっただけ、というどうしょうもない理由もある。

まずは経済的破滅のみがやってきた場合を想定する

 まずは経済的な危機が起こったときのみを想定して、何をしたらいいのかを私の独断と偏見をもって書き連ねていくことにする。

生活物資の備蓄

 手始めに経済的な危機、すなわちハイパーインフレや財産税などだけが単一でやってきた場合のことを考えてみよう。これについて備えるのは多分この中では一番簡単かもしれない。それは日本円をできるだけ、別のものに変えておくのだ。具体的にはまず水・食料と薬等だろうか。もし日本で経済混乱が起こったら、まず間違いなく生活物資が一気に姿を消すことになるだろう。オイルショックのときのトイレットペーパー騒動や、最近の令和の米騒動で米がなくなったのを見れば自ずと了解されるはずである。なので使う可能性のある生活物資は日頃からできるだけ多く備蓄しておいたほうがいい。ただし、あまりにも大量の物資は保管場所に困るし、腐らせるリスクや賞味期限を定期的に確認しなければならない作業などもありめんどくさい。また量についてだがプレッパーという常日頃から危機に備えている人たちの間では、2年分が常識なのだという話を聞いたことがある。ちなみになぜ1年でも3年でもなく2年分なのかはわからない。それくらいが限度、ということなのかもしれない。しかし我々のような一般人にはその2年分の備蓄でもあまりにも多すぎる。一人暮らしならともかく、家族までいるとなるとほぼ不可能だ。なので妥協として3ヶ月分位を目安にしてみたらいかがだろうか? これだって大変だろうが、2年分に比べればだいぶマシなはずだ。

交換媒体の準備

 次に物資を手に入れるための交換媒体を備蓄しておこう。交換媒体とは広義のお金のことである。もし日本でハイパーインフレなどが起これば日本円は紙くずになってしまう。もちろんインフレが起こった最初期はまだ円が使えるだろうから、すぐに無価値になるわけではないが、あれよあれよという間に円の価値が下がっていく可能性がある。(AIに聞いてみたところによると、1920年代に起こったドイツのハイパーインフレでは、マルクの価値が自国民であるドイツ人広範にすら価値を感じられなくなるまで、1~1年半くらいだったそうである。実際はもっと前から著しく価値が減じていたので、早いうちからマルクに見切りをつけていたドイツ人は大勢居たことだろう。)そうならないために円以外の「通貨」をあらかじめ用意しておくのである。

1)米ドル(のタンス預金)

 真っ先に思いつくのは外貨、特に米ドルだろう。ただ米ドルは個人的にはあまりおすすめはしていない。米ドルは世界の覇権国家であるアメリカの発行する基軸通貨である。普通考えるなら一番の安牌だが、ドルにはドルの問題があるのである。それは借金の多さだ。アメリカはコロナ移行類を見ない大緩和政策を行ってドル紙幣を刷って刷って刷りまくってきた。その結果、米国の財政赤字は第二次世界大戦とほぼ同じかそれを上回る水準まで達してしまったのだ。GDP比では日本財政の方が危険なので円よりマシなのは事実だが、その絶対額は35兆ドル。しかも毎年1兆ドル以上の勢いで増えている。際立ってまずいお金(日本円)を、まあまずいお金(米ドル)に変換してもあまり意味がないのではないか、というのが私の考えである。(また余談になるが「基軸通貨100年説」というものが存在しており、基軸通貨は100年前後(80年~120年)で交代していくという歴史のアノマリーのことである。現在の米ドルが世界の基軸通貨になったのは、世界貿易で使われる額がイギリスポンドを上回った1921年か、あるいはブレトンウッズ体制が合意された1944年なので、どちらの基準を採るにせよそろそろ交代があっても不思議はない時期である。なお基軸通貨100年説は個人的にも興味があるので、あとで別のエントリーとして立てるかもしれない)。

 ただアメリカドルは弱体化してきたとはいえ(特に最近はBRICSやグローバルサウスなどという国々が伸長してきている)、まだまだ世界中の投資家たちから信用されているのも事実である。社会情勢が不安定になったら「とりあえずのドル買い」が起こって、一時的に価値が大きく上がる可能性もある。なので数千ドル程度なら持っていてもいいかもしれない。ただ米ドルもときを追うごとに価値を下げ続けているという事実は知っておくべきである(そしてその価値が下がっているドルに対して、更に価値が下がっている日本円……)。なお言うまでもないことだが、外貨預金口座に預金していては意味がない。財産税をかけられて没収されてしまう可能性が高いからである。あくまでもタンス預金にしておくこと。

2)株

 次に株を紹介するが、これもあまりおすすめしない。まず株にはすでに現物が存在しないことをご存知だろうか? 昔は「株券」といって紙に印刷された物がありそれを自宅に置いておくこともできたのだが、2009年に廃止されてしまい、現在ではすべて証券会社の口座などでで電磁的に保管されている。なので財産税が課せられれば、すぐに政府にバレて没収と相成ることうけあいである。「でも財産税がなくてハイパーインフレだけだったなら問題ないのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれないが、その点もあまりおすすめできないのだ。上で述べた1920年代のドイツのインフレの時、多くの人が株で大儲けをしたのだが損をした。「大儲けをしたのに損をしたとはどういうことだ?」と思われるかもしれないが、実は最終的にドイツのインフレ率にドイツの株価の値上がりが追いつかなかったのである(この物価の値上がりに対抗できたのは、後述する金と銀だけだったそうだ)。つまり株価が1000億倍になっても物価が1兆倍になったら、額面上は大儲けできているように見えても、実際の資産価値は10分の1になっているのである。無論これはあくまで全株価の平均値であろう。個別株ならインフレ率においついて資産を守ることができた人も居たかもしれない。ハイパーインフレが起きた時に、インフレ率以上の値上がりを見せる株を選びあげるだけの審美眼があるなら、株を買うのも悪くないかもしれない。

3)暗号資産(BTC)

 次は暗号資産、とくにBTC(ビットコイン)である。知っている人も多いと思うが、BTCはリーマンショックが起こったあと「サトシナカモト」という日本人を思わせるハンドルネームを持った人物が作り出した電子的なお金のことだ。ブロックチェーンやらマイナーやらの仕組みで信用性を担保し、発行枚数に上限(2100万枚)を設けることで希少性を維持し、いくらでも増発可能な政府・中銀が発行する法定通貨のような価値の希釈(インフレ)が発生しないようにしよう、という趣旨のもとに作られたものである。これも私はさほどオススメしない。なぜかと言うと、BTCの取引履歴(トランザクション)は全世界に公開されている。つまりどのアドレスからどのアドレスにどれだけのBTCが送金されたかは、見ようと思えば全世界の人間が簡単に見れてしまうのである。当然税務署の職員も。なので国税当局が本気を出せば、今誰がどれだけのBTCを持っているかなど簡単にわかってしまうだろう。

 さらに暗号資産取引所に送金して円などの法定通貨に交換したい場合には、取引所にアカウントを作る必要上KYCが求められるので、自分の素性がバレてしまう。さらにこれはうろ覚えだが、取引所から別のアドレスに送るときには、どこの誰に送るのかを義務化されたんだかこれからするんだか、そんな法規制が進んでいた気がする(曖昧な情報で申し訳ない)。それにBTCは「お金」であることを謳っているが、BTCを使って直接ものを買える店舗は少なく流動性の低さの問題があったり、送金が遅かったり、リーマンショック以降にできた金融商品なのでまだ本格的な「試練(金融危機)」の洗礼を受けておらず、その時にどのような値動きになるのかがわかりにくいのである。私見であるが、BTCはちょっとしたショックでも価格が大きく下がることが多いので、「デジタルゴールド」を名乗れるほどの安全資産とは思えない。

4)貴金属(特に金と銀

 ここでついに真打ち登場である。私がおすすめするのは貴金属、特に金と銀である。むかしから「有事の金」という言葉があるように、金は安全資産の代名詞的存在である。BTCや株は実物が存在しないので手元においておくことができない=税務当局の補足の対象になりやすいが、金・銀は自宅の金庫にこっそりしまっておけるので、少なくとも電子的な資産に比べれば税務署の目を欺くのが容易である。また貴金属は自然埋蔵量が決まっており、法定通貨と違って発行しようと思えばいくらでも発行できるものではないので、価値が維持されやすいのも魅力である。

 無論買い方などに注意を払う必要はある。金や銀・プラチナは取引額が200万円を超えた場合に業者から税務署に購入者の個人情報の提出義務’(支払調書)が生じる。つまり「だれそれがどれだけの貴金属を買った」という情報が税務署に漏れてしまうのだ。なので一度に買うのは200万円未満にして、少しづつ蓄えていくのがオススメである(とはいっても、貴金属に200万円以上もの大金を払える一般家庭がどれだけいるのかは疑問ではあるが)。また売却時にも基本的に同じで、貴金属を売り買いするには200万円未満にしておくのが無難である。ただ注意しなくてはならないのは、業者によっては自己裁量で200万円未満の購入・売却であっても支払調書を提出するところがあるらしい。なのでそのへんがゆるいところで購入することをおすすめする(確か銀は支払調書の提出がない、という情報を見た気がするのだがうろ覚えなのでここでは金と同等に扱った)。

 個人的には金よりオススメなのが銀である(銀に付いては以前書いた記事もあるので参照していただきたい)。なんでかというと、値段が安いからだ。金は現在1オンス(約31g)で40~50万円する。貴金属の売却で得た所得は譲渡所得とされ50万円までは控除となるが、何らかの理由で売る必要が所持た場合、金は1枚売っただけで税金が発生しかねない。対して銀は1オンスが4000~5000円と安く手が出やすい。売却する場合にも、控除の範囲内で税金を払わずちょっとづつ処分していくこともできるからだ。他の収入がどれだけあるかにもよるが、控除内で売る限り確定申告の必要もないのでお上に知られずにすむメリットもある。それにいざ経済がめちゃくちゃになり日本円の価値が無に等しくなった場合、金のような重さあたりの価格が高いものは換金するにせよ、物々交換するにせよ使いにくい。その点銀は適度に安いのでそういった心配もない。ただハイパーインフレが起こると銀の価格も暴騰する可能性もあるので、1オンスより小さな単位で持っておいたほうがいいかもしれない。一部のコイン商のところにいけば1オンスより小さな単位の銀貨が売っている。ただかなり割高なので、銀の含まれた古銭などを買っておくのも悪くないかもしれない(あくまでも自己責任でお願いします)。

その他

 これは以前の記事(一般人は資産防衛より生活防衛を)に書いたこととほぼ同じなので簡単に済ませる。

1)古くなった耐久消費財の買い替え

 危機の真っ最中に重要家電が壊れたら大変だ。不調が現れているものや、そうでなくとも10年以上使っているものは今のうちに買い替えてしまおう。

2)大掛かりなことを済ませる

家に入った亀裂などがあったら直してしまおう。危機の最中に地震が発生し家を失ってしまったら目も当てられない。

3)健康

 危機の最中に何かしら病を得ていると煩わしい。今まで使っていた薬すら満足に手に入らなくなるかもしれないので、悪いところや健康を損ねる悪い習慣は今のうちに断ってしまうこと。

4)今のうちに「社会関係資本」をできるだけ強化しておく

「社会関係資本」というのは早い話が人間関係だ。いざとなったら物資を融通したり助け合ったりする信頼に足る仲間を作っておこう。以前からそういう仲間がいるなら関係を強化しておこう。ただしメンバーの選定には慎重に。要求ばかりしてそちらからは何も出さないテイカー(taker)が中に入り込んでしまったら最悪だ。

5)欲求を発散しておく

 危機が起こってからでは旅行も行けないし、欲しい服だって買えなくなるし、美味しいものだって食べられなくなるかもしれない。「絶対これだけはやっておきたい! これだけはほしい!」といったものがあるなら、今の家発散してしまおうう。

戦争と併設して経済混乱が起こった場合を想定する


 さて、お次は戦争への危機対処を書いていくわけだが、これは上に書いてきたことに+αされる感じになるだろう。どういうことかと言うと、程度にもよるが戦争が起こって経済的な混乱が生じないというシチュエーションは有り得そうにないからだ。例えば中国軍によって台湾有事が勃発したとする。その時に当然中国海軍は台湾海峡・バシー海峡などの海上交通の要衝を占領して、日本の船が自由に出入りできる状態ではなくなるだろう。そうなると日本国内には極端に物資が入りにくくなることは容易に想像できる。日本は原油も食料も食料の種も肥料も海外からの輸入に頼っており、それらが手に入りづらくなると、自ずと物価はあがり社会も混乱するだろう。悪質な商売人による売り惜しみや便乗値上げにより、それに拍車が掛かることも考えられる。さらには日本国内の重要施設(自衛隊の基地・官公庁・発電所・ダム・原油などの備蓄施設・幹線道路など)にミサイルが降ってくるかもしれない。そうなれば生産できない・できても各地に運べない、という状況に陥ることは容易に想像できる。

 一番いいのは海外に逃げる事かもしれないが、これはハードルが高い。語学力・文化も宗教も違う現地人とよろしくやっていけるだけのコミュニケーション能力・現地で十分な収入を得られるだけのスキル・高い学歴などがあればいいが、そのすべてを兼ね備える一般人などそう多くはないだろう。自分ひとりだけならなんとかなっても、家族がいるとなるとハードルはより高くなる。なのでここでは基本的に日本国内でできることを上げていくことにする。

1)食料をはじめとする生活物資の備蓄量をより増やす

 おそらく、経済混乱だけの場合に比べて食料などの物資の入手性は戦争状態が加わった場合のほうが悪くなるだろう。なので、食料の備蓄は経済混乱だけのときよりも多く確保しておくことをおすすめしたい。政府による配給などもあるかもしれないが、日本政府が備蓄している量では心もとない。各個人でしっかりと備蓄をしておくことを強くおすすめする。

2)国内で戦火がすくなそうな疎開先を選定をする

 戦争が起きても全国どこでも戦火にさらされるわけではない。第二次世界大戦の時期でも都市部は大きな被害を被ったし食糧事情もかなり切迫したそうだが、田舎の一部ではそういったことからは無縁で普段とさほど違いのない生活を営んでいた地域もあったという。なのでそういうところを探して、移住できないかの目星を今のうちからつけておこう。


3)自分で農作物を作るだけの道具や土地を買い技術を蓄えておく

 疎開が無理なら、自分の庭や借りた畑、買えるなら土地や耕作器具を買って自給自足の体勢を整えておこう。ただ言うは易し行うは難しである。あなたが農家の生まれならともかく、そんなこと生まれてこの方一度もやったことがない人がいきなり上手くできるわけがない。なのでまだ世の中が平和であるうちに練習をして、その技術を培ってしまおう。

4)井戸やソーラーパネルを設置する

 これはお金持ちへの提案だが、いざとなってもできるだけ普通に近い生活ができるように水や電力の確保をする設備を家に設置しておくといいかもしれない。私が調べた限り井戸は数十万、ソーラーパネルや蓄電池の設置は数百万位でできるそうだ。旧式のものを用いればもう少し節約できる可能性があるという。ただこれをやると近所の人間に丸わかりになるので、いざという時にたかられる可能性もある(後述)

5)自分が各種の対策を取っていることをあまり口外しない

 これは東日本大震災などを経験した人から小耳に挟んだことなのだが、いざ危機が発生すると普段は口もめったに聞かないような疎遠な近所の人間から物資の無心をされることがあるという。なのでそういった面倒を避けるため、同居の家族を除いてできるだけそういったことは言わないように注意しよう。物資の供出を断ると、逆恨みされることもあるそうなので注意である。

結び

 とまあ色々上げてきたわけだが、この全てを完璧に実行できる人間など今の日本ではほとんど居ないだろう。私にだって無理だ。この内「これならできるな」というものをいくつか見繕って、危機が起こった際少しでもその被害を少なくするよう個々人で努力していただきたい。もしこのnoteのエントリーがお役に立つことがあれば、執筆者としてこれ以上の喜びはない。

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