僕はこういう大規模のメンテナンスは15年、30年のペースが適正と考えている
東京都板橋区にて15年ほど前に作った4個ハウスのメンテナンスに出向いた。この住宅は20坪ほどの小さな土地に建つ。建坪率・容積率が厳しいので2階建てでは床面積が足りない。だから地下室を作ることにした。狭い敷地での地下室工事は外壁側からの防水をすることができない。土留めのためのH型鋼と矢板はもちろん埋め殺しである。防水はタケイ式コンクリート防水を採用、これはコンクリート自体の防水性能を高める工法である。15年後の訪問、この防水がしっかりと効いていることを確認できたことは何よりもである。
地下工事を行う場合は、その建物が建つ敷地の条件がとても重要だ。この土地は近くに氷川神社があり、高台の上に建っている。通常神社があるような場所は昔から人が暮らしやすい場所であることが多いので、こういうことも一つの判断材料になる。逆に言えば、田んぼだった低地で無理に地下工事を行っても良好な環境を継続して得ることは難しい。設計者はたとえ施主に要望されてもこういうことはきちんと説明してあげる責任があろと思う。
15年のメンテナンスとなると、まずは浴室に使用したFRP防水とコーキング、外壁に使用したシリン吹き付けの上塗りが必要だろう。そのほかには特に問題はないようだが、もし足場を組むなら屋根のガルバリウムも塗装した方が良い。家も人間と同じで定期的なメンテナンスを行えば長持ちする。そうでなければ30年も経てばだめになる。僕はこういう大規模のメンテナンスは15年、30年のペースが適正と考えている。もちろんメーカーの推奨期間はもっと短いけれど言われた通りに10年ごとにやったらお金がかかってしょうがない。何事も程々が良いのである。