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薬の他に何かできることはありませんか?
「先生から、これ以上は良くならないと言われて…」
患者さん(女性)は味覚・嗅覚障害で耳鼻咽喉科に通院。
味覚は戻ってきたが、嗅覚が回復しない。コーヒーなどの香りが感じられない。
しかし医師に経過を話したところ、冒頭のように言われ、ショックを受けたと薬局で涙ぐまれました。
私が「嗅覚は完全に失くなった訳ではないと思います。セカンドオピニオンもありだと思いますし、時間はかかるかもしれませんが、希望を捨てることはないと思います」とお話ししたところ、少し落ち着いて帰られました。
その5日後、別の耳鼻咽喉科の処方箋をお持ちになり来局。
先日の話を受けて違う病院を受診してみたところ、あきらめることはないから、まずは副鼻腔炎をしっかり治しましょうと言われ、救われたと明るい表情になっておられました。
それから2か月後。
患者さんは匂いが回復した!との喜びとともに来局されました。
話を聞くと、初診時に「薬の他に自分にできることは何かないか」と担当医に尋ねたら、鼻洗浄と、アロマオイル(レモン、クローブ、ラベンダー、ユーカリ、バラのキット)を使った嗅覚トレーニング(1日2~3回)を勧められ、どちらも毎日続けていたとのこと。
そうしたら先月から少し匂いを感じるようになり、最近はほぼ全ての食べ物の匂いが分かるようになったそうです。
あきらめないで良かった!とこれまた涙ながらに語ってくださいました。
私にとっても嬉しい出来事でした。
一方その後で、私の心に残ったのは、患者さんが医師に問いかけた言葉でした。
「薬の他に何か私にできることはありませんか?」
これは患者さんからの問いかけでしたが、見方を変えて、同じ言葉を薬剤師が使っても良いのではないか。
薬剤師は薬を渡してそれで終わりではなく、プラスアルファで何かできることはないのか。
「薬の他に何か私にできることはありませんか?」
この言葉を、薬剤師が自分自身に問いかけても良いのではないか。
そんな気付きを与えてくれた出来事でした。
最後に余談ですが、その後嗅覚障害の患者さんに投薬する時は、積極的に嗅覚リハビリについても紹介しています。
その際に、友人の調香師が開発した「無色アロマオイルペン」も活用しています。
もしご興味おありでしたらご覧ください。