
「それは本当にエコなのか? エコっぽいエコの真実」~大人の自由研究File No.11~
SDGsというワードを知らない人は、今の日本ではほとんどいないでしょう。その浸透率は広報的に見れば大成功ですし、個人・企業・団体がそれに寄り添おうとする流れが生まれたこと自体、大きな成果といえるでしょう。
とはいえ、目標達成にはまだ遠い道のり。極論を言えば、環境問題の最速解決法は「人類の消滅」なんじゃないかと思うわけです。いや、ほんとに。でも、やっぱり生きたいから、みんなで頑張ろうよ、という話ですよね。地球上に居させてもらいたいからこそ、地球に優しくしたい。そんな気持ちでいます。
私自身、積極的に環境破壊をしているつもりはないけれど、便利さを優先してしまうし、生きているだけで環境負荷をかけている自覚はあります。できればエココンシャスでありたいとは思う。でも、時々ふと考えるんです。「これって本当にエコなの?」と。
そんな疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか。今回は「それって本当にエコ?」をテーマに、大人の自由研究的な情報整理をしてみました。
紙ストローはエコなのか問題
ここ数年で、お店で提供されるストローに変化を感じた人は多いのではないでしょうか。2022年の「プラスチック新法」に合わせて、コンビニや飲食店が紙ストローを導入しました。でも、この紙ストロー、正直なところ使いにくいと感じた人も少なくないはず。
「不便だけどエコだから仕方ない」
そんな空気が漂うなか、スターバックスが一度紙ストローに移行したあと、バイオプラスチックストローに変更するという動きを見せました。
この流れ、興味深いと思いませんか?
最初に紙ストローを導入することで「エコな企業」という印象を強化し、次に「もっと使いやすく、環境にも配慮したストロー」を提供することで、消費者の好感度を高める。環境負荷の低減だけでなく、ブランドイメージの向上にもつながるわけです。
では、実際に紙ストローはプラスチックストローより環境に優しいのでしょうか?
紙ストロー:製造には森林資源と大量の水が必要。コーティング次第ではリサイクルしづらいものも。
プラスチックストロー:製造時のCO2排出量は紙より少ないとも言われるが、海洋プラスチック問題の原因の一つ。
繰り返し使えるストロー(ステンレス・シリコン):長期的に見れば最も環境負荷が少ない可能性あり。
結論:「一概に紙ストローが最善とは言えない」。
エコバッグ vs. 使い捨てレジ袋
「レジ袋を減らせば環境に優しい!」という考え方、よく聞きますよね。でも、エコバッグのほうが本当に環境負荷が低いのでしょうか?
綿(コットン)製エコバッグ:生産には大量の水と農薬が必要。デンマーク政府の調査では、オーガニックコットンのエコバッグは7,100回以上使わないと環境負荷をペイできない。
プラスチックレジ袋:ゴミ袋として再利用されることが多く、単なる廃棄物ではない。
ナイロンやポリプロピレン製エコバッグ:コットンより環境負荷が低く、適度に厚みのあるものは長期的に見れば有効。
「エコバッグなら何でもエコ」という思い込みは、ちょっと危険かも。
EV(電気自動車)は本当に環境に優しいのか?
「EVに乗ればエコ!」と思われがちですが、その製造過程や電力の供給元を考えたことはありますか?
リチウムイオン電池の製造:リチウム・コバルト・ニッケルなどの採掘には環境負荷が大きい。
発電方法:EVの電力供給が化石燃料由来なら、結局CO2を排出していることに。
CO2排出量の比較:一定の走行距離(5万〜15万km)が必要で、そこを超えないと環境負荷のメリットが出にくい。
環境負荷の「どこを見るか」で評価が変わる。EVが万能なわけではないのです。
「エコっぽい」ものに惑わされないために
エコな選択をするなら、単なるイメージではなく、製造・輸送・使用・廃棄の全過程を考えることが大切です。
本当に環境負荷を減らすために
「使い捨て」を減らす(リサイクルよりリユース・リフィルを優先)
ライフサイクル全体を考える(部分的なエコではなく、トータルでの環境負荷を評価)
データをもとに判断する(「エコに見える」ではなく、「実際にエコか?」を考える)
シンプルな「○○がエコ!」という話ではなく、全体のバランスを見極めることが重要。エコっぽいものに惑わされず、本当に環境に優しい選択をしていきたいですね。