歴代内閣一覧年表

今回は、大学入試の近現代史において特に大事な「内閣ごとの整理」について考えていきたいと思います。最後に、増田自作の歴代内閣一覧年表を添付しておきます。プリントのみ有料(200円)にしています。ぜひ記事を読んだうえで、購入を検討してもらえたらと思います。

1.2024年共通テストより

近現代史の学習において,内閣ごとに整理しておくことがどれくらい大事かを考えていきたいと思います。

では、今年の共通テスト日本史の第6問 問2 問題番号27です。
なんと正答率が29.6%の問題です。大学入学共通テストに向けて勉強した受験生たちが受けるテストで、3割しか正解できていない問題です。

下線部b〔不戦条約の締結(1928年):日本も調印・批准〕に関連して、この条約に調印した内閣について述べた文として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 幣原喜重郎を外相に起用し、列強との協調を重視する外交を展開するとともに,ソ連との国交を樹立した。
② 無政府主義者の青年が虎ノ門(虎の門)付近で摂政宮(皇太子)を狙撃した事件の責任をとって総辞職した。
③ アメリカによる共同出兵の提唱を受けて,同国およびイギリス・フランスとともにシベリア方面に出兵した。
④ 25歳以上の男性に選挙権が,30歳以上の男性に被選挙権がある最初の総選挙を実施した。

答えは、④です。不戦条約は田中義一内閣(立憲政友会)のもとで調印されました。彼は、中国に対しては干渉する姿勢(山東出兵など)をみせますが、欧米に対しては協調外交という方針です。この内閣の時期には、最初の男性普通選挙が実施(1928)され、無産政党から8名も当選し、その影響か日本共産党が公然と活動を開始しました。そこで、田中内閣は三・一五事件(1928)や四・一六事件(1929)で共産党を弾圧していくという話につながっていきます。

ここでは、不戦条約という名前から、「協調外交=幣原外交(=憲政会or立憲民政党内閣)」という思考に至って①を選んでしまった生徒が多いのではないでしょうか?①は加藤高明内閣日ソ基本条約(1925)を指します。

②は、第2次山本権兵衛内閣の時期です(1923)。
③は、寺内正毅内閣の時期です(1918)。そもそも不戦条約を結んだ内閣の出来事として選ばなかったのではないでしょうか。

この問題は、西暦年を覚えるのではなく、各出来事を内閣とリンクさせて整理をしておけば解ける問題だったのではないでしょうか。
また、年代順配列問題や時期を意識した正誤問題などにも対応する1つの武器となるはずです。

2.内閣ごとの整理で注意すべきこと

「○○内閣のときに△△があった。」ということを覚えられたらいい話なのですが、単純に気合と根性で覚えようというのはしんどいものです(私立文系志望の生徒ならそれを乗り越えてほしいものです)。
そこで注目してみてほしいのが、その内閣総理大臣の「出身」「性格」です。

例えば、大正時代の寺内正毅内閣は「シベリア出兵」「米騒動を軍隊を派遣して鎮圧」などが出来事としてあります。寺内正毅は、「長州出身」の「陸軍の軍人(陸相経験もあり)」です。また、朝鮮総督府の初代総督としても有名です。

長州出身で陸軍といえば、
徴兵制の実現や、在任中には第一議会で「主権線」や「利益線」などの言葉を用いて軍拡予算を成立させた山県有朋、首相在任中に日露戦争・韓国併合(その過程で韓国軍の解散、義兵運動の鎮圧など)があった桂太郎などがいるとおり、軍事的な出来事が目立ちます。
そういう雰囲気を掴んでおくだけでも、寺内正毅内閣と出来事のリンクをしやすいかもしれません。

これは政党でも応用できますので、ぜひ覚えるときの参考にしてみてください。

3.さいごに

ではここで増田自作の「歴代内閣一覧年表」を添付しておきます。
出来事だけでなく、「在任期間」や「出身・性格」あたりも記載しているので、ぜひご活用ください。

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