バッハ、ゴールドベルク変奏曲は、グレン・グールド反逆的な演奏で決まり。
舛田家の朝は、大人たちで、ゆっくりコーヒーを飲むところから始まります。僕にとっては2回目のコーヒーで、ひと仕事終えたあとのブレイクタイムです。
今日はこの時間にピアノ曲が流れています。
一度聴いたら忘れられない祈りに満ちたアリアです。
バッハのゴルトベルク変奏曲です。
正式名は、「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」といいます。
1741年に出版とありますので、なんと277年前の曲ですね。
ゴルトベルク変奏曲と言われるようになったのは、バッハに学んでいたチェンバロ奏者の、ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルクがバッハの後援者でもあるカイザーリンク伯爵の不眠を慰めるためによく演奏していたことから、ゴルトベルク変奏曲となったようです。
でも、数あるバッハの曲では、それほど人気のある曲ではありませんでした。不眠を治療するような曲ですからね。
それが一躍有名なったのが、ピアニストのグレン・グールドが、1955年のデビューアルバムに、この地味なゴルトベルク変奏曲を選んで録音したからなんです。当時22歳のグールドは、レコード会社の猛反対を押し切ったそうです。
はじめに30の変奏曲を録音して、冒頭の2分にも満たないアリアを21回録り直したといいます。グールドによって磨きに磨かれ、これまでにないアプローチで、復活したバッハのゴルトベルク変奏曲は世界的なヒットとなりました。
Amazonでも、この1955年盤ゴルトベルク変奏曲は、コメントが107件も入ってます。
グールドのゴルドベルクは聴いていると、覚醒されてくるというか、躍動してくるというか、執筆中にかけていると、集中力があがってきます。
YouTubeみてもらうとわかりますが、ピアノを弾く姿勢が凄い!椅子も足を切って低くした椅子に、だらしなく座って、背中を丸めて、顔をピアノにものすごく近づけて弾いてます。
ペダルも使わなかったようで足を組んで演奏しているものもあります。
基本的なピアノの弾き方の逆をやって、これほどの音楽を作ってしまうのだから天才ですね。クラシック界のパンクロッカーですね。
彼はこの曲を生涯で2度録音していますが、僕が好んで聴くのはやっぱり晩年に録音された1981年の方です。
Amazonではこちらはなんと170件もコメントが入ってます。
クラシックのCDですからね。凄いです。
何度聞いても、始まりのアリアは感動的です。
胸がいっぱいになります。
グールドの弾く、この曲を聞いていると、
人が生まれてから死ぬまでの生涯を表しているように感じます。
アリアで静かに始まり、そこから音楽が成長して、様々に変化をして、
最後は再び、一曲目のアリアに戻り、消えるように終わります。
グールドがこの曲でデビューをし、晩年、再録音をしてすぐに、この世を旅立ったのを思うと、彼の一生涯もまた、ゴールドベルク変奏曲ようにも思います。