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モーツァルト死の半年前に作曲された儚く美しい《アヴェ・ヴェルム・コルプス》
ああ、なんて美しいのだろう。
ああ、なんて儚いのだろう。
この曲を聴くと、いつも僕はそう思うのです。
今日紹介する曲は、モーツァルト最晩年に作曲された《アヴェ・ヴェルム・コルプス》です。
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、教会音楽です。
教会の様々な儀式で歌われる音楽のひとつなんです。
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」はラテン語で、
「めでたし まことの御体(おんからだ)」という意味で、
キリストへの感謝と賛美が歌われています。
モーツァルト最期の年となった1791年(死の半年前)、
ウィーン郊外の温泉保養地バーデンで、妻コンスタンツェの療養を世話した合唱指揮者アントン・ シュトルのために作曲したと言われています。
3分ほどの短い曲に、細かい音符や複雑な音型もない、とてもシンプルなメロディなのに、4回も転調しているのです。
僕は、美しくも儚い、この曲を聴くと、モーツァルトの人生そのものを現していると思うのです。短く激動であった35年間の人生に思い、数多くの名曲を残してくれたことに、感謝の気持ちで胸が一杯になります。
youtubeの動画を貼り付けておきます。指揮は、情感いっぱいに込めて指揮するレナード・バーンスタイン&バイエルン放送交響楽団、合唱団です。バーンスタインも実は、死の半年前の演奏なのです。CDでは、モーツァルト:大ミサ曲ハ短調の1曲目に「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が収録されています。