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秦基博に渾身のエールを送る【オーガスタキャンプ2023】




行ってきました。オーガスタキャンプ2023。

すごかった。最高でした。



スキマスイッチのお二人、20周年本当におめでとうございます。
演者の皆さん、本当にお疲れ様でした。

今回出演の皆様は、以下のとおり↓


杏子
山崎まさよし
岡本定義(COIL)
元ちとせ
スキマスイッチ
竹原ピストル
長澤知之
秦基博
さかいゆう
浜端ヨウヘイ
松室政哉

※ 敬称略


…ここで唐突ですが、オフィスオーガスタについて軽く解説します。


オフィスオーガスタとは、シンガーソングライターを多く擁する音楽プロダクションなのですが、所属アーティスト同士が異常に仲が良いのが特徴。


先輩後輩といった人間関係を丸ごと楽曲提供やコラボとして音楽コンテンツに昇華することで、箱推しならぬレーベル推しという他じゃあまり聞かない売り出し方で濃厚なファンを量産し続けている、素晴らしい事務所です。


所属する、↑の面々をもう一度見てください。濃ゆいでしょ?


そんなオーガスタの若手のリーダー的存在、スキマスイッチ。

本イベントは彼らのデビュー20周年ということもあって様々な趣向が凝らされ、お世辞抜きで本当に、素晴らしい内容でした。


素晴らしい内容だったのですが…




一夜明けて、書きたいことがあります。



もちろん、スキマの2人が歩んだ軌跡や、17分にも及ぶカバーメドレーの素晴らしさはもちろんですが…
1つだけ、棘のようにずっと心に残っていることがあります。



それは、秦さんのこと。


もっと言うと、秦さんの声の不調についてです。




…他に素晴らしいシーンは数えきれないほどあったのに、最初に触れるのがそこってどうなのと言われるかもしれない。

が、この夜の素晴らしさについては、すでに多くの人が素晴らしいレビューを上げている。華やかな話題ではないからこそ、このインターネットの片隅で語らせてほしい。静かなエールを送らせてほしい。





…はてさて。


結論から言うと今回、秦さんの喉は不調だったと思う。


そもそも秦さんの喉の不調については、数年前からそれとなく耳にすることが増えていた。歌唱する動画を見て、「おや」と思うところはあった。


事務所から公表はしていないようなので、推測の域を出ないが…
恐らく、喉に何かしら疾患があると思う。
それも長期的な問題を抱えている。


後で知ったが、U-NEXTの生配信で彼の歌唱部分のみライブ中継が無かったらしいが、このことも彼のコンディションと無関係ではないだろう。


かつて彼の歌声は「鋼と硝子でできた声」と評されたけど、
昨夜のオーガスタキャンプでの歌唱は、まるでガラス細工を扱うように細心の注意を払った声の使い方をしていて、何かを壊さないよう守りながら歌っているような印象を受けた。どことなく一時期の元ちとせさんや、コブクロ小渕さんを彷彿とさせた。


また、筆者は2022年のオーガスタキャンプも参戦していたが、その際は正直不調は感じさせなかった。朗々と「鱗」を歌い上げていた。
だから「噂は噂だな」と、そのときはそれっきり、特に気にすることもなかった。



しかし今回、改めてネットを調べると、そういった感想はどうやら数年前から見られるようになったようだ。その中には、

「秦基博、下手になったと思う。本人は気にしてないかもしれないけど」

などという心無い言葉も書かれていた。



「本人は気にしていない」って。そんなわけないのに。


あれほど声を自由自在に扱えた人が、今は細心の注意で歌わなければいけないなんて。

誰より一番本人が辛いはずだ。




…でも、僕たちは見てきた。


かつての秦さん無双を。



ステージに立ち、一声発せば、その場にいる観客全員を魅了してしまう。

誰であろうと彼の声を聴いた者は、例外なく彼から目が離せなくなった。

そこにいるリスナーが誰のアーティスト目当てだろうが関係なく、全てかっさらってしまう。もはや強引とも言える引力が、ステージの彼にはあった。



僕は当時から仲間たちと音楽を嗜んでいたけれど、音楽シーンに彼が登場したことは、ある種の事件だったように思う。
毎日のように誰かが「秦さんやばくね?」と語り合っている。そんな時期が確かにあった。


極端な話、「秦基博」以前と以降で、一つの歌の巧さ、弾き語りの理想形が、絶対的な基準として確立されてしまった感じがあった。


ギター一本という弾き語りというスタイルでこそ、その存在感は圧倒的で、同じ音楽を志す者に憧れと、同時にある種の絶望すら感じさせた。


誇張なしで、ギターを抱えてステージに立つ誰もが例外なく、秦基博のように歌うことを夢見ていたのである。


僕らはあの姿を、忘れないだろう。




…だから僕は、昨夜のステージも忘れない。


素晴らしかった。

不調なステージが全てダメとは限らない。
音楽って、そんなに単純なものじゃない。


彼はプロとして、最後までステージを遂行した。
見る者の胸に、確かに何かを残していった。


それはもちろん、この僕にも。

規模は全く比較にならないけれど、僕もステージで歌う。
思うように声が出ないコンディションで、それでも客の待つステージに立たなければならない悔しさ、情けなさは、筆舌にし難い。


辛いだろう。悔しいだろう。


でも大丈夫。


なんと言ったって、あの秦さんだから。
いずれ克服して、更にパワーアップした歌唱を見せてくれるに違いない。
今はまだ、そこに至るまでの準備段階…


あの夜僕は、そんなことを考えながら秦さんの歌を聴いていた。
ふと、つい先ほど耳にしたばかりの、竹原ピストル氏のForever Youngの一節を思い出した。

Forever Young あの頃の君にあって 
Forever Young 今の君にないものなんてないさ

Forever Young / 竹原ピストル


そう、今の秦さんはまだ進化の過程にいるだけ。
以前知らなかった痛みを知り、さらに強くなる。

だから、どうか腐らないで。
あなたは今までもこれからも、我々の憧れです。


秦さん、頑張れ。


がんばれ。がんばれ。がんばれ。



あなたの声が以前より更に輝きを増して、
自由自在に歌える日が来ますように。



インターネットの片隅で、心から祈っています。




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