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ハムスターは小さな体に優しさをいっぱいつめて、僕らのもとに来る


こんにちは。考える犬です。


今日は僕の一番の推しの話です。




え、藤井風?山崎まさよし?
ゴスペラーズの村上リーダー??


そう、たしかに僕にはたくさんの推しがいる。
でも実は、不動の一位というのが存在する。


申し訳ない。でも、こればかりはしょうがない。
では紹介します。


僕の一番の推し。


<おっすよろしくな!


ハムスターのポン太である。


うふふ…かわいいねえ…
お目目クリックリだねぇ…


ハムスターは、愛すべき生き物だ。
ささやかで罪のない生き物である。


というわけで、今日はハムスターの魅力を、僕の最推し・ポン太を例に挙げ語り尽くす。異論はありますか?あればことごとく却下だ。


1.ビジュアルが推せる


ハムスターはかわいい。何を親バカなと思われそうだが、違う。聞いてほしい。客観的事実として、「ハムスターはビジュが良い」。僕はそういう話をしている。


というのも、野生のネズミというのは案外癖のある外見をしている。

例:クマネズミ(wikipediaより)

動きも素早くガサササっ!という感じで害獣感がハンパないので、人によっては嫌悪感を覚えると思う。その点、ハムスター。

見よ、この貫禄

ビジュ特化で品種改良したの??というくらい、愛しやすい見た目をしている。ずんぐりした体型に、短い手足。ネズミの特徴と言える長い尻尾も退化し、お尻の先にチョンと付いているだけ。


こいつまさか、人間に愛されるためにネズミのアイデンティティを放棄したのでは…?  いやいや、そんなあざとさに我々人間が屈するはずが…

ぷりっ

かわいい(陥落)。

見てほしい。この何の意味も無さそうなしっぽを。

しかしこれこそ、世に多くのハムケツフリークを生み出した要因。罪深き存在である。


当然、お顔も愛らしい。
だってほら

誰もが目を奪われていく

このキラキラとしたお目目。


黒目の奥にお星様が入ってるの??
「推しの子」のアイなの???
そう、君は完璧で究極のアイドル。
一番星の生まれ変わりである。


そして、なぜ鼻と手だけピンクなの??

神様が「その方がかわいいから」という理由で着色したのだろうか。
そうとしか考えられない。

はっ…!

それにほら、美味しそうな色をしている。

焼き立てパンか、お稲荷さんの色合いだ。人間が丹精込めて作る美味しい色合いを、生まれながらに纏っている。


というか、こいつは捕食動物のはずだ。本当にその色合いで良いのか。「美味しそう」って、野生じゃ致命的じゃないのか。

肉食動物にも、さぞ美味しそうに見えるだろう。一口サイズだし。

ついでに言うと、ハムスターは驚くと硬直する習性がある。それもまた、捕食動物の素質を裏付けているようで、なんだか切ない。


2.生態が推せる


…ここで一つ、大事なことを言っておこう。
それは、「ハムスターは懐かない」ということだ。


誤解のないように言っておきたいが、「懐かない」とは、犬みたいに「ご主人大好き!遊んで!!」とはならないという意味である。


はっきり言うが、人間はハムスターの遊び相手になれない。彼らは部屋の探索やごはんが何よりの喜びである。人間は身の回りの世話をする、給仕係に過ぎない。


…ただハムスターは懐かないけれど、人に慣れる。

当初は怯えて巣から出てこない個体も、人間とふれあい、ポジティブな経験を重ねることで、人を怖がらない油断しきった個体へと成長を遂げる。

油断しきった個体

つまり、

「好き好き!遊んで!」
という関係にはなり得ないけれど、
「おっ何かくれるんか?どうもな」
という信頼関係を築くことはできる。


この見返りを求めないささやかな信頼関係こそが、小動物を飼う醍醐味であり、ハムスターと人間との適切な距離感だと思う。



ここからは、うちのポン太の紹介をします。


若き日

一般にゴールデンやキンクマのオスはのんびり屋さんが多いというけれど、例に漏れずポン太も温厚な性格だ。噛まない。

ペットショップで手を入れたときも率先して寄ってきたけど、噛まなかった。匂いを嗅いで、「ほえー」という顔をするだけであった。

こいつは良いやつだと思い、1500円で彼を購入した。
ちょっとまて…1500円て。安すぎやしないか。


仮にも一つの命が、そんな価格で良いのか。…と思ったが、ケージやら巣材やらは本人より高価で、一式揃えるとそれなりの額になったので、なんだか複雑な気持ちになった。


ひと休み中

ポン太はよく座って休憩する。お尻を完全におろして、安定感がすごい。足が地についてないので、すぐには逃げられない体勢だ。

でも、それで良い。

なぜなら、彼は逃げる必要など無いことを知っているからだ。捕食動物でありながら一度も襲われたことのない者だけに許された、選ばれし者の余裕である。


よく見るやつ

ポン太に限らず、ハムはケージをかじって「出してくれ」と訴える。

毎日少しの時間部屋を好きに探索させる、いわゆる部屋んぽが目的である。誰も教えてないのに、みんな同じようにケージをかじるから不思議だ。

…しかし彼らからすると、人間は巨人である。その巨人にこれだけ躊躇なくアピールできるということは、そのハムは人間を怖がっていない、むしろ「さんぽに出してくれる人」と認識されていると言える。


そう思うと、騒々しい「ガリガリ」も、なんだか愛しい。



ムンクの「叫び」みたいだ

ふと見たら、こんな表情で固まっていたりする。

ハムスターはよく固まる。

ハム飼いの共通認識で、これを「処理落ち」と言う。こうなると動き出すまで待つことしかできない。我々は無力だ。



ポン太は2階で眠る。透明なので丸見えである。

スケスケで、日中は明るく、さぞ落ち着かんだろうと思うのだが、本人全く気にしていない。ハムスターは目が悪いので、明るさは気にならないらしい。狭いとそれだけで落ち着くようだ。


期待に満ちた目

蓋は開閉式になっている。たまに開けるが、彼はそれを嫌がらない。というのも、ふたを開けるときは大体食べ物か巣材が投下されるので、怖がる必要はないと認識しているようだ。

それえどころか蓋を開けると、「おっ、何かくれるんか?」と期待に満ちた顔さえするようになった。また一歩、野生から遠ざかってしまった。


3.これからも推せる



と、ここまで語ってきたが、どうだろう。


ハムスターという生き物のかわいらしさ、味わい深さが、少しでも伝わってくれたら幸いである。


…ところで、上記の写真は、どれも1年以上前のものだ。



そう。



先日、一周忌を迎えた。


4月のよく晴れた春の日だった。


1年たてば薄れると思っていたけど、そんなことはないな。
ずっといる。

夕飯の準備で野菜を切れば、えさ用に分けておこうかと頭をよぎるし、夜遅くなると「そろそろ散歩させなきゃ」と一瞬思う。


それに、ふとしたときに探してしまう。
いつも窓辺に置いたケージ。物陰のすみ。
こんなとこにいるはずもないのに。(©️山崎まさよし)



豆腐が好き

ハムスターは、寿命が短い。

体の大きいゴールデンでも、2〜3年。さらに小さいジャンガリアンだと2年程度だという。でもその2〜3年のうちに、彼らはその小さな体に似つかわしくないほど大きな思い出を遺してゆく。


当たり前だ。2年間毎日えさを用意して、掃除をして、部屋を散歩させて。そうやって日々を積み重ねた彼らとの間に、何も残らないはずがない。


何か嫌なことがあった日も、家に帰るといつも彼がいて、すやすやと眠っていた。夜になると「はよ出してくれ」とケージをかじった。そのフラットさに、僕は結構救われた。


何か人間関係で悩んでいても、彼が時間をかけて入念に毛づくろいをし、最後に爪に残った垢を食べている様子を見ていると、「まぁ良いか」と思えた。そんな具合に、彼が日々くれた小さな温かさは、きっと1500円じゃ到底足りない。



ハムスターは、小さい。

でも彼らが去った後は、胸にぽっかりと穴が残る。


穴の大きさは小さいけれど、それは中々埋まることはない。きっともうしばらくは、思い出すことだろう。


…だから今しばらく、彼は僕にとっての最推しだ。


大好きだよ


きっと今頃、天国のひまわり畑で、のんきに昼寝でもしていると思う。
そうあってほしいと思う。


ハムスターは、その小さな体に優しさをいっぱいつめて、僕らのもとに来てくれる。



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