父の人生を変えた『一日』その81 ~信念・信条~
その81 ~信念・信条~
長岡の行きつけの寿司屋でライオンズクラブメンバー7-8人と食事していた。何時もそこにはボス的存在のS氏がいた。ライオンは途中でどうしても行かねばならないところがあり先に失礼する事になっていた。
『今回は私が全部支払っておきます。お先に失礼します。』と言って席を立とうとした。その時S氏から呼び止められた。『お前は生意気だ。金を支払うに十年早い』と言われた。むかっとした。
『この前入れて先輩に2回もごちそうになっています。今回は私に払わして下さい。茨城の親父から男たる者ただ酒3回は飲むなと教育されてきました。』と言った。そうしたらなおさらS氏は怒りだして俺が払うのは俺の威張り賃だという始末。すったもんだがあったが私は意見を曲げなかった。やっとのあげくS氏は了解した。
結果、私が支払ってそこを後にした。何時も何時も奢ってもらっていると言いたいことまで言えなくなることも頭によぎった。これでよいと自分に言い聞かせた。その後S氏は私に常に一目置くようになってくれた。人から受けた恩は倍返ししなさとお袋から教育されたことがあった。それも思い出した。長岡で色々な事にぶつかったが自分の信念・信条は必ず通す事を肝に命じた。
~倅の解釈~
弊社には3代に亘り引き継がれていることが多々ある。文章で記載されているわけではなく、背中で教わって継承してきていることである。その一つが『絶対に接待を受けるな』である。
勿論、時と場合によっては、別の方がお支払いをする場合が多いが、先代から親父がこの思想を引き継ぎ、今現在私が実践をしてる。そこに明確な利害があり、接待という場面ということを厳しく禁じた。理由は明確に聞いたことが無いが、親父からはよく言われたことがある。
『人づきあい、付き合いがなあなあになったら終わり』
『お互いを高め合う人付き合いをしなさい』
『人から受けた御恩は3倍にしてお返ししろ』
半面、クライアントを接待することに関してはものすごく前向きであった。感謝の気持ちをしっかりとお伝えすることの重要性をよく学んだ。ただし、条件があった。利害目当てに接待するのではなく、お仕事を頂いた『後に』アテンド、接待するのである。
『この度は、弊社をお選びいただき、大変ありがとうございます。責任を持ってお仕事をさせて頂きます。』
これが親父のモットーであった。高級車やブランドスーツ、ブランドバックなど目に見える高級品に対してまったくもって興味を持たなかった親父。私自身も間違いなくその遺伝子は継承している。お金があるのであれば、商売にとことん使う。まさしく、『生きた金はガンガン使え』である。
父は、信念と信条を絶対的に曲げなかった人である。先代はさらにその上を行く頑固者であった。この凄まじさがまだ私には足りない。貫き通す勇気がまだないのか、根性が足りないのか。ふと気づくと妥協している自分自身がいて、心底恥ずかしい思いをする。日々勉強である。
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