
「あの人ばっかり…」そのモヤモヤ、放置しないで!嫉妬を“味方”に変える秘密の扉
「あの人、なんかムカつく…なんであの人ばっかり!」
そんなザワザワした気持ちが湧いてくる瞬間、ありませんか?
――そう、嫉妬。学校や職場、SNSでも、誰かが成功したり幸せそうに見えたりすると、つい「いいな…」「なんで自分は違うんだろう」と心がざわつくことがある。
今回の対話では、そんなネガティブで厄介なイメージの嫉妬を取り上げてみました。実は、嫉妬にはさまざまなかたちや強度があり、“破壊”を生むものもあれば“創造”を促すものもあるようです。
気まずい気持ちを避けるのではなく、「どうしてこんな感情が湧くの?」と向き合ってみれば、意外と新しい道が開けるかもしれません。ここでは対話を通じて見えてきた嫉妬の構造や活かし方をまとめてみます。
※この記事は、日米のIT業界で働く友人同士で対話したポッドキャストの内容を元に文章化しています。実際の音声へのリンクは最後に掲載しておきます。
嫉妬はなぜ避けられないのか —— 基本構造と種類
「ジェラシー」と「エンヴィー」を区別しよう
ジェラシー (Jealousy): すでに自分が持っている大切なもの(パートナーや家族など)が「奪われそう」と感じたときに起こる感情。
たとえば、子どもが「パパ(ママ)を取られたくない!」と思うのは典型的なジェラシー。
エンヴィー (Envy): 他人が持っているものを自分が持っていないときの「うらやましさ」「妬み」。
同僚が昇進したり、SNSで誰かが華々しい活躍をしている時に感じる「ああ、いいな…」が、ちょっとドロッとした感情になってしまう例。
「嫉妬」と総称的に言うけれど、こうした微妙なニュアンスの違いがあるわけです。さらに、シャーデンフロイデ(他人の不幸を喜ぶ)やルサンチマン(恨みの感情が積もる)など、多面的な形をとるのも嫉妬の奥深いところ。
「共通の評価軸」があるからこそ湧く
「あの人にパートナーを取られそう」「あの人より収入が低い」など、“同じ価値基準”が共有されているからこそ、嫉妬は生まれるという視点も重要。
競争相手として意識するのは、自分が欲しいものを同じように欲しがっている人だから
「何それ、興味ない分野」ならそもそも嫉妬しない
つまり、嫉妬は“価値観を同じくしている”サインでもあるとも言えます。
嫉妬がもたらす“ポジティブな側面” —— 悪感情だけじゃない?
「嫉妬は悪い感情」と思われがちですが、対話では「動力源になる可能性もある」と話題に上りました。
創作や行動のモチベーションになる“ポジティブな嫉妬”
たとえば、有名インフルエンサーを見て、「あの人ずるい、すごいな…」とザワザワする。
ネガティブ嫉妬: 足を引っ張ろうと嫌がらせコメントを送る
ポジティブ嫉妬: 「自分も何か始めてみよう」「新たな企画で負けずにがんばる!」
後者のように、競い合いや刺激として良い方向に使えれば、“嫉妬”が成功へのスイッチになるわけです。
シャーデンフロイデ vs ルサンチマン
シャーデンフロイデ: 他人の不幸を見て「ざまあみろ」と思ってしまう一瞬の感情。短期的で浅い。
ルサンチマン: 長期間積み重なる深い恨みや怒り。社会的炎上や大規模な“断罪”ムーブなどに通じる。
同じ嫉妬の派生感情でも、シャーデンフロイデは一過性、ルサンチマンは根に持ち続ける傾向が強い。“行動を加速させるほどよい刺激”になるか、“破壊的な憎悪”に堕ちるかは、紙一重とも言えそうです。
身近な“嫉妬”の例 —— 子どもも大人も避けられない
子どものジェラシー:パパ・ママを取られたくない!
兄弟間や親戚の集まりなどで、「自分だけを見てほしい!」と感じる子どもの気持ち。これこそまさにジェラシーの典型。
「パパ/ママが他の子に優しくすると、自分の大事なものが奪われるように感じる」
そうした不安定さが、子ども特有のかわいい(けど大変な)ジェラシーの発露になっている。
大人のエンヴィー:友人の成功がチラつく
大人の場合は、SNSで友人や同級生が華やかな成果を上げているのを見て、「ああ、いいなぁ…」と嫉妬してしまうパターンが多い。
実際に自分が欲しいかどうか微妙なのに、他人が手に入れているとザワつくのが嫉妬の不思議。
嫉妬をどう扱うか —— 4つの対策と多様な価値基準
嫉妬は自然な感情だけど、行き過ぎると自他ともにダメージが大きい。そこで対話の中で挙がった対策がこちら。
隠蔽する: 自分が嫉妬される立場なら、あまり“持っている”アピールをせずにサラッと隠す
否認する: いちいち「俺はすごい!」と言わない。むしろ「いや、たいしたことないですよ」と控えめに振る舞う
賄賂を送る: 嫉妬を感じている相手に利益を分け与えることで和らげる(寄付やお裾分けなど)
共有する: 得た成功や評価をコミュニティと分かち合う。慈善やコラボを通じて「みんながハッピー」の形にする
さらに、評価軸を多様化するのも効果的。
特定の1つの指標(年収とか社会的地位)だけに縛られると、そこに負けてるときに嫉妬爆発しがち
でも世の中にはいろんな価値観があるよね…と気づけば、「あの人は年収高いけど、私は自由時間が多い」と思えて、嫉妬が軽減されるかもしれません。
まとめ:嫉妬は“自分の可能性”を知るサインかもしれない
嫉妬は誰にでもある自然な感情
“ジェラシー(奪われる怖れ)”と“エンヴィー(持ってないから羨ましい)”の2大形態がある
ポジにもネガにも作用しうる
“負のエネルギー”で足を引っ張るか、“自分もがんばる!”と奮起するかは選べる
評価軸を増やすと嫉妬が緩和する
1つの軸(年収、名声など)だけで見ちゃうと勝ち負けが鮮明になりすぎて辛い
いろんな強み・価値観を認め合うコミュニティなら、嫉妬も起こりにくい
嫉妬は“自分が本当に欲しいもの”を教えてくれる
「ああ、こんなにも悔しいってことは、自分もこれが欲しかったんだ…」
そこを自覚すれば、自分の目指す方向や大事にしている価値観が明確になるかもしれない
「どうしてこんなモヤモヤが消えないんだろう?」と思うときこそ、嫉妬が自分に何を訴えているのか探ってみるチャンス。もしも嫉妬の炎が自分を苦しめるばかりなら、軸を変える・何か創作に向ける・あるいはシェアや寄付をするなど、色んな方法で転換を図れるんです。
結局、嫉妬は“感情の警報”みたいなもの。自分の望むもの、怖れていること、守りたいものを映し出してくれる鏡なんだと捉えれば、その感情も悪いだけじゃない。上手に付き合えば、自分を成長させるエンジンになるかもしれません。ぜひあなた自身の“嫉妬”を、ちょっとだけ見つめ直してみてくださいね。
こちらの記事の、元となった対話音声はこちら↓
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