
もしかしてASD(自律的自己完結型人材)? それはあなたの特別な才能かもしれません
「自分って、もしかしてアスペルガーなのでは……?」
人づき合いが苦手だったり、冗談が通じづらかったりすると、そんな疑問が頭をよぎることがありますよね。
最近はネットでも気軽に「アスペっぽい」といった言葉を見かけますが、じつは自閉症スペクトラム(ASD)の概念は、とても広くて人それぞれ。
自分は確かにちょっと“浮いてる”気がするけれど、それが病気なのか、それとも個性なのか、どう理解すればいいのか――今回の対話では、そんなモヤモヤを整理してみました。
※この記事は、日米のIT業界で働く友人同士で対話したポッドキャストの内容を元に文章化しています。実際の音声へのリンクは最後に掲載しておきます。
「自閉症スペクトラム」を掘り下げるきっかけ
ラジオでの雑談から興味へ
ポッドキャスト(白米FM)の雑談の中で、「人づき合いがうまくいかない」「冗談を真に受けちゃう」みたいな話題が出るうちに、アスペルガー症候群(いまは自閉症スペクトラム=ASDの一部)かも?と感じることがありました。
「アスペルガー症候群」 とはかつて呼ばれていた名称で、いまは自閉症スペクトラム(ASD)に含まれる形で捉えられることが多い
言語的な遅れがないタイプを指して「アスペルガー」と便宜上呼ぶ場合もある
自己診断に注意しつつ、「知る意義」はある
専門家の診断が必要だとはいえ、「自分はASDかも?」と気づけば、生きづらさの原因や対処法が見えてくる
大人の場合、現時点で特に困っていないなら診断しなくてもOK、という選択肢も
知ることで、身の回りや自分が持つ“困り感”に合点がいくケースも多い
ポイント
「自分かもしれない」と感じて調べると、意外に当てはまる点があって救われたりしますよね。正確な診断はプロに任せるとしても、“自己理解”の手がかりとしては十分役立つ。
アスペルガー症候群の主な特徴と当てはまる実感
ASDはスペクトラム(連続体)と呼ばれるように、人によってパターンや度合いが全然違います。ただ、よく言われる特徴例をざっくり挙げると——
コミュニケーション面
冗談や比喩、言外のニュアンスを汲み取りにくい
目線を合わせづらい、会話の抑揚が乏しい
自分の興味分野だけ延々と話しがち… ただメタ認知が発達すると「あ、これ話しすぎかな」と適応する人もいる
運動や動作面
球技など身体を使うスポーツが苦手。なんとなく動きが“ぎこちない”
でも一部のリズム感や身体感覚が鋭い場合もある
関心やパターン面
特定分野(科学や音楽など)に強い興味・こだわりを持ち、深く掘り下げる
ルールやスケジュールを固めるのが好き。逆に突然の変更に弱い
パターン認識やモデル化に強いが、“ふわっとした空気を読む”のは苦手
社会との折り合い
子どもの頃は浮きやすく、生きづらさを感じることも多い
大人になると社会経験でメタ認知が育ち、問題なく暮らせる人も多い
ポイント
“あるある”を全部満たすわけじゃなく、「これは自分っぽいけど、あれは違うな」とバラバラなんですよね。その幅こそがスペクトラム。だから「自分は全然ハマらない」と言う人でも、ある局面ではASD的な特徴が出るなんてこともあるかもしれません。
「症候群」のイメージをどう捉える? ── ポジティブに生かすヒント
暗黙のルールに囚われすぎない・捨てすぎない
ASD傾向の人は無意識のうちに細かいマイルールを作ってしまうことが多い。
それが行きすぎると息苦しいけど、逆に“計画力”や“秩序づくり”の強みになる場合も
上手に環境を調整できれば「この人、すごい安定感あって助かる!」と評価されることも
好きなことへの没頭は大きな武器
IT系や研究職などで、こだわりや集中力がすごい人がいる
シリコンバレーにはアスペルガー傾向のエンジニアが多い、という噂も
“ハマった分野では最強”の才能が発揮される例はたくさんある
人間関係は“不得意”というより相性や環境次第
「アスペ=人に興味ない」わけではない。話題やコミュニケーション様式の相性で盛り上がれる場があればOK
インターネットやSNSのおかげで、同好の士を見つけやすくなったことで生きやすさが増した人もいる
ポイント
ASD傾向は「苦手が多い」印象もあるけど、そのぶん“人より尖った得意分野”を持つ人も少なくない。周囲とのミスマッチがきついと辛いけど、環境が合えば見事に才能が開花する。まさに「一長一短の個性」と言えそうです。
自分のパターンを知る──苦しさを減らし、活かせる道を探す
まずは自己理解
「あれ、自分これ苦手だったのって…?」と気づけば、自分なりの対策を取りやすくなる
職場やプライベートで「この場面が辛い」とわかっていれば、先手を打てる
診断するかどうかはケースバイケース
子どもならサポート体制を整えるために医療的診断が必要な場合がある
大人で困っていないなら診断不要という人も。むしろ「日常対策+自己理解」でOK
“症候群”=ダメじゃない。個性をどう活かすか
ASD傾向だからといってすべてが否定されるわけじゃない。むしろ突出した強みを持つ人も
「自分にはこんなこだわりがある」「こういうときしんどい」などを明確にしておけば、周囲も助けやすいし、自分も消耗しにくい
ポイント
ASDかも…と知って落ち込むんじゃなく、「だから苦手だったんだ」と腹落ちすることで楽になる人が多いです。支援や理解があれば、人間関係も楽になり、仕事のパフォーマンスも上がる。自分の個性として再定義できるかどうかがポイント。
まとめ
自閉症スペクトラムはゼロか百かじゃない
すごく困っている人もいれば、ほとんど気づかないレベルの人も
人それぞれで特性が違うので“スペクトラム”と呼ばれる
子ども時代は生きづらさを抱えがちだが、大人になって適応する人も
逆に言うと、大人になっても辛いなら診断や支援を検討する余地あり
強みと弱みは表裏一体
計画力、こだわり、没頭できる集中力――ASDならではの武器がある人も多い
一方でコミュニケーションや柔軟性には苦労しがち
診断がすべてじゃない。自分や周囲が理解すればOK
もちろん公式な診断が必要なシチュエーションもある
でも大人で特に困ってないなら「自己理解+周囲とのすり合わせ」でも十分乗り切れる
“症候群”という言葉はネガティブに聞こえるかもしれませんが、そこには“人と違うポイント”が明確になる、という利点も。 運動が苦手でも、数字や音楽が得意な人もいるし、こだわりが強いからこそ専門分野で大成する人だっている。
大切なのは、困り感が強いときに「どう調整するか?」を早めに考えること。 一人で抱え込むより専門家や身近な人に相談したり、ネットで同じような悩みを持つコミュニティを探したりしてみると、「あ、自分だけじゃないんだ」と心が軽くなるでしょう。
結局、“アスペルガー症候群”を含む自閉症スペクトラムは、「型にはめてラベリング」するためというより、「自分を理解し、周囲も理解し、苦手を減らして強みを活かす」ためのキーワードなのかもしれません。自分や大切な人が何に苦しんでいるのか、どんな支援があれば輝けるのか。そこを知るためのヒントとして、ASDを学ぶ意義は大いにあると思います。
もしあなたが「人と違うかも」と悩んでいるなら、それは“自分だけの色”を持っている証拠かもしれません。ぜひそれを否定せずに、「じゃあどう付き合う?」と建設的に考えてみてください。案外、その“違い”こそが、あなたの本当の強みになるかもしれませんよ。
こちらの記事の、元となった対話音声はこちら↓
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