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【世界を支配する10の方程式】日常に隠された「数学モデル」を探る知的冒険

「数式? うわ、なんか難しそう…」
そんなアレルギー反応、ありませんか?

だけど、社会の裏側にはいろいろな数学モデルが潜んでいて、それが僕たちの日常やビジネス、さらにはAIの仕組みにまで深く影響を及ぼしている――そう聞くと、ちょっと気になりませんか?

今回の対話は、「世界を支配する人々だけが知っている10の方程式」という本を題材に、数式とモデル化について語り合いました。

ちょっとテクノ・リバタリアンっぽい匂いから始まった興味でしたが、実際の内容は「社会の現象を数学でモデル化するとこうなるよ」という紹介が中心で、いい意味で肩透かし。でもそれこそが、数学のもつ“モデル化の力”を改めて考えるきっかけになりました。


※この記事は、日米のIT業界で働く友人同士で対話したポッドキャストの内容を元に文章化しています。実際の音声へのリンクは最後に掲載しておきます。


数式と聞いてモヤモヤする… それでも興味はある

本を読んだ最初の印象

  • タイトルに“世界を支配”とあるけど、実は「有名な数式のエピソード紹介」がメイン

  • 各章に「賭けの式」「判断の式」「信頼の式」などキャッチーな見出しが付いているが、構成が雑多で読みづらい面も

  • ただ、「数式が苦手だけど、とりあえず知っておきたい」層には、入門的に目を通す価値はありそう

それでも数学への好奇心は失われない

  • 数字や数式に苦手意識があっても、「なんとなく背景を知っておきたい」と思う人は多い

  • ビジネスやAIにおいては、モデル化による予測や判断が当たり前に活用されているからこそ

  • 苦手分野にあえて手を伸ばすと、新しい視点が得られて面白い

ポイント

わからないまま放置するか、少しでも「こういう仕組みか」と興味をもって眺めるかで、世界の見え方はだいぶ変わる。苦手意識を完全に克服しなくても、ざっくり理解するだけでもリターンは大きいですよね。


モデル化が教えてくれること — ベイズ、相関、マルコフ性 など

本書ではさまざまな数式・モデルが紹介されています。主なポイントをざっくりまとめると:

1〜3章:賭け・判断・信頼

  • 賭けの数式: ギャンブルや確率論の話。直感だけじゃなく、計算してみると思い込みを修正できる。

  • ベイズの定理: 新たな情報が得られるたびに確率を“更新”する考え方。例えば、飛行機が揺れて「落ちるかも…」と不安になっても、ベイズの定理的に考えると「実際はかなり低確率だよね」と冷静になれるなど。

  • 信頼の数式: 統計で「偶然ではないか?」を吟味する基礎。データを何となく見て「やっぱりAがすごい」と思い込みそうなとき、ちゃんと統計的に検証する必要がある。

4〜6章:スキル・影響力・市場

  • マルコフ仮定: 直前の状態だけ考える単純モデル。スポーツや行動予測で「全部考えるのは無理だから、とりあえず1つ前だけ見よう」という大胆な割り切りでシンプル化する。

  • 相関と因果: 「相関=因果じゃない」問題の典型。SNSや広告でよく使われるけど、勘違いしがち。「○○と××に相関があるから…」と安易に結論づけるのは危険。

  • シグナルとノイズ: 金融市場などで、本当に使える情報(シグナル)を雑音(ノイズ)からどう切り分けるか。予測は容易じゃない。

7〜9章:報酬・学習など

  • 探索と活用のジレンマ: “やってみたいこと”が複数あるとき、どう優先度を決めるか。「とりあえず少し試してダメならやめる」みたいな行動も実は数学的に説明できる。

  • 学習の数式(誤差逆伝播法): 機械学習の根幹原理で、出力の誤差をネットワーク内にフィードバックして精度を上げる仕組み。アルファ碁ゼロなどディープラーニングによる将棋AIの強さはこれのおかげ。

ポイント

どの数式も「世界をどう単純化するか」のモデルづくりが肝。たとえ数式の細部がわからなくても、「あ、こういう仮定で組み立ててるのね」ぐらいを押さえるだけでも、社会の仕組みやAIのロジックが少し見えやすくなります。


“結果を出す”数学と “価値判断”のズレ

最後の章:普遍の数式を求めると…?

著者は10の方程式を紹介しつつ、「これらは世界を支配する」なんて言い方をするけれど、最終的にどれもトートロジー(当たり前のこと)なんですよね。

  • 数式は「こうすればこうなる」と理論を示すけど、それを良しとするか悪いとするかは人間の価値観次第

  • トロッコ問題とか、「5人と1人、どっちが大事?」なんて命の重さを数式化しても結局モヤモヤは消えない

数学の「A=B」と If...Then…ルール

結局、「A=B」という数式だけでなく、「もし○○ならこうしよう」というアルゴリズムが大事だと本書は述べる。何を優先し、何を切り捨てるかは価値判断なしに決められない。

  • 「数式によって全てが自動的に決まるわけじゃない」

  • だからこそ、「何をモデル化し、どう評価するか」の設定が重要

ポイント

数式が問題を解決する万能のツールに見えても、結局それは「問題をどう定義したか」によって答えが変わってくる。道徳や善悪を数値化するのは難しく、そこには人間の意見や文化が介在せざるを得ない。これこそ、AI時代の大問題ですよね。


数式は苦手だけど、モデル化は面白い

苦手意識があっても、概要を知るだけで役立つ

  • 全部正確に使えるのは専門家の仕事

  • でも「ベイズの考え方」や「マルコフの仮定」など、ざっくり理解すれば日常生活でも不安や意思決定に使える

  • 「自分は理系じゃないし…」と諦めるのはもったいない

理系/文系のモヤモヤ

ショーンは「数学できる=理系」「できない=文系」みたいな雑な分け方に嫌気がさしている。

  • 得意不得意はあっても、社会は多様な“モデル化”が活躍する場面に満ちている

  • 理系と文系が補い合うことで「数式のモデル」を実社会に落とし込んでいくのが理想では?

ポイント

数学が苦手でも、少しずつ触れてみると「おお、こういう見方があるんだ」と視界が広がる。専門家に丸投げする前に、最低限の概念を押さえておくとコミュニケーションがスムーズになる――これが数式活用の現代的メリットかもしれません。


まとめ

  1. モデル化は“数式”以前に世界の切り取り方が大事

    • どの要素を変数にし、何を省略するかが勝負所

    • 相関・マルコフ・誤差逆伝播法など、実はどれも仮定と単純化の産物

  2. 相関=因果じゃない/マルコフ仮定などの割り切りに注意

    • 「こうなったらこうなるっしょ?」は多分に“大胆な仮定”を含む

    • 社会やAIに応用するときも、仮定が崩れるかもしれない点を忘れずに

  3. 数学と価値判断は別物

    • 数式が導く結果はトートロジーでしかないかもしれない

    • 最終的に“何を良しとするか”は人間が決める

  4. 苦手でも“数学をちょっと知る”価値

    • 全部を極める必要なし

    • ざっくり「こういうモデルを使ってるのか」と理解すると、AIやビジネスの仕組みが見えやすい

結局、「世界を支配する10の方程式」の真意は、「どんな数式があるのか紹介しつつ、それをどう活かすかはあなた次第」という感じ。数式そのものに魔法はないけれど、正しく使えれば魔法のような威力を発揮する、という矛盾めいた面白さが伝わってきます。

「自分は数式苦手だから関係ない」と思うのはちょっと惜しい。数学は“式”が主役に見えて、その背後には人間の思惑や文化、道徳が隠れている。ここに気づくと、AI時代のモデル化に対しても、ただ受け身になるんじゃなく、「あ、こういう仮定を置いてるのね」と批判的に読めるようになる。

ぜひ、数式を少しのぞいてみて、「あ、こんなふうにモデリングしてるんだ」と思えるようになるだけでも、社会の見方がぐっと面白くなるはず。苦手意識と上手に付き合いつつ、“数学が切り取る世界像”をそっと味わってみる――それだけでも、あなたの思考がほんのりバージョンアップするかもしれません。


こちらの記事の、元となった対話音声はこちら↓


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※ポッドキャストの文字起こし版へのリンクはこちら(LISTEN)

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