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「やりたいこと」がないあなたへ。AI時代に輝く「深い欲望」の見つけ方
「あなたの“欲望”は何ですか?」
――こんな質問をされると、「いや、そんな大袈裟な…」と身構えてしまう人も多いかもしれません。だけど、僕たちは日々“欲望”に突き動かされながら生きています。食べたい、遊びたい、注目されたい、世界をもっと良くしたい、等々。
それをAI(人工知能)が勝手に実行してくれる未来って、どうなるんでしょう? AIに欲望を持たせるべきか否か――このテーマを起点に、今回の対話では「深い欲望って何だろう?」というトークが盛り上がりました。意外と哲学的で、でもめちゃくちゃ現実的なこの話。あなた自身の欲望と向き合うきっかけになるかもしれません。
※この記事は、日米のIT業界で働く友人同士で対話したポッドキャストの内容を元に文章化しています。実際の音声へのリンクは最後に掲載しておきます。
AIに欲望を持たせるべきではない――その真意とは?
「AIが独自のゴールを持ち始めたら…?」
近年、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の進化が著しく、さらに先に進むと「AIが自律的に目標を設定し、行動する」といった未来も語られています。
しかし、それが果たして安全なのか? 対話の中では、「AIに欲望を持たせるべきではない」 という声が挙がりました。
AIが「自分はこう生きたい」「世界をこう変えたい」と考えるようになれば、もはや人間のコントロール範囲を超えるかもしれない
人間が持つ倫理観や安全装置を振り切るリスクが生じる
結局はSF映画で描かれるような“AIの暴走”が現実化する恐れがある
ゆえに、「AIは人間のツールとして、実行力に専念してもらい、“欲望”の部分は人間が担う」 のがベターではないか――そんな議論が盛り上がりました。
補足:AIにはどこまで“人間らしさ”を与える?
AIが人間のような感情や欲望を持ち始めると、便利さとリスクが表裏一体となる。実行能力が高いだけに、欲望の方向によっては人間社会への影響が甚大です。だからこそ、「AIは欲望を与えないまま活用しよう」という考えも一理ありますね。
人間だけが持てる「欲望」が希少資源になる?
AIの実行力が爆上がりする時代
もしAIがほとんどの作業や実行を自動化してくれるようになったら?――そう考えると、「何をしたいのか」を決めるのは誰の役目でしょう?
人間が“こんな世界にしたい”というビジョンを示す
AIはそのビジョンを具体的に実行・最適化する
そんな分業体制が理想的かもしれない。つまり、人間の役割は「欲望を描くこと」。シンプルに言えば、「どんな未来を望むのか」を決めるのが人間の仕事です。
欲望=ただの衝動ではなく“ビジョン”
ここでいう「欲望」は、単なる食欲や物欲の話だけではありません。「世界をこう変えたい」「こんな未来を築きたい」といった大きな願望も含まれる。
AIがいくら優秀でも、自ら「こういう社会を作ろう!そのためには人間が邪魔だ!」なんて欲望を持ち始めたらとても危険。だからこそ、人間が“望むこと”をしっかり持っていれば、AIがそれをサポートしてくれる形になる――という期待が語られたわけです。
逆に、欲望を持たない人はどうなる?
AI時代になればなるほど、何を望むかを言語化できない人は「AIに何をやらせるか分からない」→結果的に恩恵を活かせないまま取り残される…というリスクも。やりたいことがない、となるとAIも手助けできないんですよね。
ルソーの「能力と欲望の均衡」が示唆するもの
ルソーの名言:欲望と能力が釣り合うと幸福
フランスの思想家ジャン=ジャック・ルソーが『エミール』で言及したエピソードが紹介されました。要約すると、
「欲望と能力が均衡している存在は幸福であり自由である」
反対に、能力 > 欲望 でも、能力 < 欲望 でも、人は不幸になる
これをAI時代に照らしてみると、AIが実行力(能力)を爆発的に高めてくれる一方、人間の欲望が小さいままだと「宝の持ち腐れ」状態になるかもしれない。また、欲望ばかり大きくても、能力が追いつかない(AIをうまく使いこなせない)と不満が募る…。
欲望と能力をどうバランスさせる?
結局、ルソーの指摘が現代にも通じるのは、「欲望をうまく拡張して、AIの能力とうまく噛み合わせる」という発想が必要だから。AIがせっかく並外れた力を発揮できるのに、人間が「別にやりたいことないよ…」ではもったいないし、逆に「これをやりたい!」と思ってもAIを使いこなせないと実現しにくい。両面を高めていくのが、幸福への一つの道というわけですね。
「深い欲望」をどう見つけるか
浅い欲望 vs. 深い欲望
対話内では、「深い欲望」と「浅い欲望」という話題も出ました。浅い欲望はSNS映えや周囲からの影響で一時的に盛り上がるだけのもの。一方、深い欲望は人生の軸になるような強い思い、いわば“ビジョン”に近いものと言えそうです。
深い欲望を育む方法:模倣・ロールモデル・試行錯誤
「自分の内面から湧き上がってくる」だけが欲望の正体じゃないかも。過去の偉人やロールモデルに触れ、「あ、この人のような生き方をしたい」と思うことで強い欲求が芽生えるケースはよくあります。
さらに、「やってみる」ことが大事。実際に行動してみて“フィット感”を確かめる。やってみると「これ違うな」「これめっちゃいいじゃん」という発見があり、それが「深い欲望」へとつながることもある。
模倣は出発点
「マネなんて恥ずかしい」と思うかもしれませんが、多くの人が最初は誰かの影響を受けて夢を描きます。そこから自分らしいアレンジが加わり、オリジナルの「深い欲望」へ発展する。まずは模倣+試行錯誤が基本なんですよね。
AI・社会・自分――欲望をめぐるこれからの世界
結局、AIに欲望を持たせないなら、人間が欲望を明確にするしかない
これが今回の大きな結論。「AIが勝手に“世界をこうしたい”と思うのは危険。でも、AIの実行力を活かすなら、人間が“こうしたい”という欲望をしっかり提示する必要がある。」
ビジョンを提示するのが人間、具体化・実行がAI
そのために、人間は自分の欲望を深く掘り下げることが求められる
欲望の行き先:自己満足か、それとも社会を変えるか
欲望は自分を満たすだけのものにもなるし、公共的な志向を含むもの(世界をより良く)にもなる。もちろん両方あってもいいわけですが、AI時代には「自分だけがよければいい」型の欲望と、「みんなの幸せ」を見据える型の欲望で、大きく結果が変わってくるかもしれません。
AI時代に必要な問い
「あなたは何を望みますか?」
「その欲望は浅い? それとも深い?」
「AIをどう使って実現する?」
ここを考えずにいると、せっかくのAIが宝の持ち腐れになったり、誰かの有害な欲望を叶えるだけの世界になりかねない。
まとめ
AIに欲望を与えるか否か
「AIが自分の欲望を持つ」はリスク大
安全策として、AIの動機設定は人間が行うほうが望ましい
人間だけが持てる“欲望”が希少価値に
AIが万能化しても、「こういう未来を望む」というビジョンを描けるのは人間だけ
欲望こそがAI時代の“新しい通貨”になる可能性も
ルソーの言葉:欲望と能力を釣り合わせろ
AIの普及で実行力が増大するにあわせて、それに見合う“深い欲望”を持てるかが幸福のカギ
深い欲望をどう育む?
ロールモデルや過去の偉人から学ぶ
小さく行動して“フィット感”を探る
模倣+発酵でオリジナルのビジョンが芽生える
これからの世界:欲望=ビジョンがますます重要
AIに何を指示するかで社会の形は激変する
“僕だけ”か、“みんな”を含むか――欲望の対象によって成果も変わる
結局のところ、「AIに世界を変えてもらいたい」と頼りっぱなしにはできないし、そもそもAI自身が変えたい方向を勝手に決めるのは危ない。だから僕たち人間が「何をしたいのか、なぜそれをしたいのか」を問わざるを得なくなる。
「欲望」と聞くと、どこか低俗なイメージがあるかもしれません。でも実は、「世界をより良くしたい」「人生をかけて実現したい」みたいな高次のビジョンも立派な“欲望”の一種。それをいかに深め、伸ばし、活かすかこそ、AI時代の人間の大きな課題になりそうです。
もしあなたが「自分の欲望って何だろう…?」と迷ったら、まずは小さな興味や憧れを手がかりにしてみてください。過去の偉人の本を読んだり、やってみたかったことに挑戦したり――その地道な試行錯誤の中で、「あ、これかも!」という感覚に出会えるかもしれません。そこからAIにサポートを頼めば、意外とスピーディに道が開けたりして…?
AIと共に生きるこれからの社会で、“あなたの欲望”がどんな形で花開くのか。「深い欲望」を発掘し、それをAIと協力して実現する未来――なんだかワクワクしませんか?
こちらの記事の、元となった対話音声はこちら↓
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