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人間も社会も「進化」する?ダーウィンに学ぶ、変化を恐れない生き方

「この生き物、どうしてこんな形になってるんだろう?」
そんな素朴な疑問から始まって、いつの間にか生物全体の成り立ちに思いを馳せる――ダーウィンが『種の起源』で示した進化論は、僕たちにこの“世界の見方”を与えてくれました。単なる生物学の理論にとどまらず、「変化とは何か?」「僕たちの未来はどうなる?」といった根源的な問いにもヒントをくれる。

今回の対話では、そんな進化論を切り口にしながら、人間や社会もまたどう“進化”していくのかを考えてみました。ここでは、その要点を整理しつつ、ダーウィンが僕たちに投げかけるメッセージを掘り下げてみましょう。

※この記事は、日米のIT業界で働く友人同士で対話したポッドキャストの内容を元に文章化しています。実際の音声へのリンクは最後に掲載しておきます。


「種の起源」とは何だったのか

ダーウィンの行動力と綿密なデータ収集

  • ビーグル号での航海
    若きダーウィンは、探検船ビーグル号に乗り込み、南米やガラパゴス諸島など世界各地の動植物を観察。それまでは「神がすべての生物を創造した」という考えが強かった時代に、彼の見聞は「生物が微妙に違うのはなぜ?」という疑問を大いにかき立てました。

  • 地道な手紙のやり取り
    帰国後、世界中の研究者・駐在員らと膨大な手紙を交わし、そこから集めた情報をもとに仮説を強化。20年もの歳月をかけて『種の起源』を完成させたと言われます。

  • 反論を想定した周到さ
    当時は「生物は神が創った」という説明が常識。そんな時代に「生物が環境に応じて変化する」という説を打ち出すには、めちゃくちゃな反発が予想されました。そこでダーウィンは、著書の大半を想定問答集のように「ここはこう考えれば矛盾しない」「この反例もこう説明できる」と埋め尽くしたのだとか。

進化論の要点

  • 自然淘汰(自然選択)
    生物は環境に適した形質をもつ個体ほど生き残り、子孫を多く残すため、その形質が集団に広がる。この繰り返しで種が変化していく。

  • 進化は必ずしも“強い方向”になるわけじゃない
    進化論で言う「進化」は、時間軸で見た形質の変化を指します。強くなる・偉くなるというニュアンスではなく、単に「環境に合うかどうか」。時には縮んだり機能的には退化したりすることも“進化”なのです。


ダーウィンの思考プロセス

大量のデータから仮説を導く

ガラパゴス諸島で見たフィンチのクチバシの多様性、イギリスでの観察や実験、さらに世界各地から集めたエピソード……それらが膨大に積み上がるうち、「生物は環境に合わせて少しずつ形を変えていくのでは?」という確信に至ったのがダーウィン。

人間だって、「何かを変えたい」と思うなら根拠を集めるのが大事――ダーウィンの行動力とデータ収集は、そのままビジネスや研究の姿勢にも繋がりそうです。

反論を先回りする

進化論は、当時の宗教や学界の常識を大きく揺るがす説だったので、ダーウィンは「この部分はこう批判されるだろう」「だからこう説明する」と徹底的にフォローしたと言われます。つまり、反対意見を想定して先回りする姿勢。

これはいまのビジネスや学問、SNSの世界でも大いに参考になるでしょう。新しいアイデアほど批判は強いもの。論理的な裏付けの根拠があれば周囲の受け止め方も変わります。


進化論が僕たちにもたらすインスピレーション

“時間軸”を意識する

進化は短期的に見れば「最適」に思えても、環境が変われば意味を失う。僕たちも短いスパンで「これが一番良い」と思っていても、数年後には環境が一変しているかもしれない。環境の変化を視野に入れた長期的な目線が、ビジネスや人生でも重要になるという示唆です。

意識せず“進化”しているもの

生物は、意思とは無関係に進化していく。「キリンは、たまたま首が長いほうが環境的に有利だったから首が伸びた」というような感じ。それは僕たちの働き方や思考も同じで、意外と周囲の環境に合わせて無意識に変わっている可能性があります。

「自分の意思で変わっている」と思いきや、実は置かれた状況に合わせてシフトしていただけ――というのは進化論的な見方かもしれません。

社会システムと進化

自然界の進化は何世代もかけて遺伝子が変化しますが、社会やビジネスなどの制度は、人間が意図的に作り上げたものなので努力次第で速いサイクルでのアップデートが可能なのでは?逆に柔軟にシステムを変えられないと、環境に適応できずに淘汰される可能性が高まる

「ずっとこのままでやってきたから」と思考停止すると、生き残りをかけた環境で苦戦するのは目に見えています。進化論が示すのは「環境に適応する変化」がいかに大事か、ということですよね。


まとめ —— ダーウィンから学ぶ“変化”の本質

とんでもない行動力&データ収集

ダーウィンは飛び抜けた「ひらめき」を持っていただけではなく、何年もかけて地道に観察と情報収集を続け、仮説を詰めていった。その姿勢が『種の起源』という画期的な作品を生んだのです。

現代の僕たちも、「自分だけには何かが見えている…」という感覚があるなら、徹底的に証拠を集めて裏づけることが突破口になるのでは。

時間軸と環境

進化論は「何が適応的かは環境が決める」と示唆します。僕たちの仕事や日常でも、いま良いと思われるスキルや手法が将来も通用するかはわからない。長い時間軸で見れば、良いものも悪くなるかも。油断せず柔軟に対応する発想が必須に。

意思が関係ない進化と、意思で変えられる社会

生物は意思とは関係なく環境に応じて変わっていく。その一方で、社会というものは人間が意図的に作り上げたもので、自分たちの意思次第で意外と素早く改変できる

もし現行ルールや制度が環境に合わなければ「仕方ない」と諦めずに変えていく――柔軟にシステムをアップデートできるのが人間の強みとも言えます。


最後に

「進化論」と聞くと生物の授業的な話に思えますが、ダーウィンが『種の起源』で示した見方は、生物だけでなく僕たち自身の組織・社会・生き方にも応用できるかもしれません。

  • 長い時間軸で見れば、何が優れているかは環境に依存

  • 変化する余地を持たない者は淘汰される

  • 実は環境に合わせて無意識に“進化”しているのが生き物の自然な姿

社会だって、“このまま変わらずにやろう”と思えば、外部環境が変化したときに取り残されてしまう。逆に「変えられない」と思い込んでいる社会やルールも、人間の意思次第で割と短期間に進化(アップデート)できるかもしれない。

こうした視点を持てば、「進化=適応」という動的な世界の見方が、僕たちの考え方や行動を再発見させてくれます。いまの社会がいつまでも続くと思わず、自分も組織も“進化”し続ける柔軟性を持とう――ダーウィンはそんなメッセージを、150年以上経った今でも投げかけているのではないでしょうか。


こちらの記事の、元となった対話音声はこちら↓
(進化論の話は17-3から)


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※ポッドキャストの文字起こし版へのリンクはこちら(LISTEN)

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