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詩「ユウコクのラヴェル」

電車に揺られる傍ら音楽に触れる

美しい音色の主人公になったやうに

私は耽溺する

或いは細いバイオリン

或いは強いチェロのやうに

不意に揺れてにぎるつり革

音と共に波打つ幻影

夕刻は闇を纏い姿を変え

逢魔が時このつり革に触れる君