日本語の関係性における一人称の多さ
イタリア語では「io」さえ覚えれば、どんな関係でもどんな現場でも一人称は変わらない。
多くの言語でも一人称は一つだけで、深く考える必要がない。
日本語を勉強し始めた頃に一人称の豊富さに驚いた。こんなに使うのか。イタリア語のように一つだけあれば問題ないはずなのに、なぜここまで細かく分けたのか理解できなかった。日本語の勉強を深く進めば進むほど、その不思議な感覚がわかってきた。日本人は相手との関係によって話し方が変わり、相手によって自分にまで影響を与える。
イタリア語でも丁寧語で話そうとすると、話し方が変わる。変わると言っても二人称が三人称へ変わるだけだ。特に自分に対する言葉はそこまで変化がない。言葉の類語を選ぶことで文章の美しさが変わるけど、自分に対する変化がない。
ここから先は
1,063字
みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。