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6年ぶりに、お母さんに再会して涙があふれた
ミラノ空港に到着して改札出口を抜けた瞬間、そこにお母さんが立っていた。変わらない笑顔。髪の毛を染めている記憶があった。少し白髪が増えたけれど、僕を見つけた途端、ぱっと花が咲いたように顔をほころばせた。その瞬間、僕の目から涙があふれた。
「お母さん…!」
言葉にならずに駆け寄ると、お母さんは優しく僕を抱きしめてくれた。暖かくて懐かしい匂い。子どもの頃、何度も抱きしめてもらったはずなのに、まるで初めてのような感覚だった。
涙が止まらないまま、すぐ近くのカフェに入った。席に着くなり、まるで時間が巻き戻ったように、言葉があふれ出す。
「お母さん、最近どうしてたの?」
「あなたこそ、仕事は順調?」
「そういえば、あの時の話覚えてる?」
6年という歳月が、たった数時間で埋まっていく。まるで昨日の続きのように、次々と言葉が飛び交う。母の声も、仕草も、僕の記憶の中にしっかりと残っていた。
「こうやってお喋りするの、懐かしいね。」
母がしみじみと言う。僕も頷いた。遠く離れていた時間が嘘みたいに、心が近づいていく。
「もっと会いに来ればよかったな…。」
思わずこぼれた言葉に、母は優しく微笑んだ。
「こうして会えたんだから、それでいいのよ。」
カフェのカプチーノとジュースの香りが、心にじんわりと染み込んでいく。僕たちは、6年分の話を一気に埋めるように、ただひたすらに語り合った。時折笑い、時折涙ぐみながら。
気がつけば、もう半日が経った。
「この2週間、自分らしくそばにいてくれたらそれだけ」
そう約束して、もう、寂しくない。心の中に、母の温もりがしっかりと残っている。そして、もっと言うべき言葉は口からではなく、心からありがとう!いつもありがとう!
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