「青」という色の意外な美しさ
こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)
日本に来て今も時々、青信号を見て「あ、緑だ」と口に出してしまう。イタリアだけでなく海外の共通点として信号機の進めの色は「緑」。日本に来てイタリアの緑より若干青寄りだけど、でも緑と感じて口に出してしまう。日本人には必ず「青だよ!」と言われてた。どこからどう見ても緑なのに青。とても不思議だった。海外に住んだだけで文化の違いは全てわかるわけではないし、そもそもこれが文化の違いなのかも分からない。イタリア人から見た、日本人の信号機の色認識の不思議とその理由を書いてみた。
まず、なぜ日本では信号の緑色のことを「青」と言うのか調べたところ、日本で最初の信号機が設置されたのは1930年。その頃の交通に関する法令では「緑信号」と書かれていたそう。そこから信号機を紹介する新聞記事などで「青信号」と表記され始めたことで徐々に日本全土に呼び方が広まり、それに合わせて法令も「青」表記に変わった。
ここまで調べて不思議に思ったことが、なぜ緑から青に表記が変わり尚且つそれが日本人の間で定着していったのか。そもそも緑は間違いなく緑であって決して青ではないのに、そのおかしさに気が付かなかったのか。
さらに調べていくと日本人の言葉と感覚の美しさが分かってきた。
もともと日本では「緑色」の感覚が薄く、「赤、青、黒、白」の4色が古来から強い感覚として残ってきた。万葉集に出てくる「あをによし」という表現では「あを」は木々の新緑、「に」は寺社の朱色の柱を意味し、色の対比を表してるという説があるよう。緑色に見えるものを「あを(青)」と呼ぶ習慣は万葉集の時代より前から深く日本人の美しい感覚として現在も続いてきたようだ。
考えてみると、緑色のものを青と表現している日本語はたくさんある。例えば、「青葉」「青りんご」「青々とした新緑」「青野菜」「青汁」「青海」など。確かに青という言葉は使われているけど、緑色のものを表してる。
なぜ日本人は緑信号のことを「青信号」というのか。その答えは、日本語の「青」が表す範囲は外国人よりも広範囲に及ぶから。イタリア人である僕の「青」と日本人が感じる「青」には大きく差があるのだ。夏の田んぼを見て「美しい日本の緑だな」と僕が感じる時に日本人は「青々と生い茂っているな」と感じるということだ。ここに僕は日本らしさを感じて、日本語の「青」には素晴らしく美しい魔法がかかってると思った。
最初が信号機から始まった不思議を調べていくと日本語の美しさに辿り着くなんて思わなかったけど、青の不思議を知ったおかげで僕も日本人のように自然に「青」を口に出せそうだ。横断歩道で青信号を見ながら「これはどこからどう見ても、青。」と感じてきた。
Massi