散文詩:君が残してくれたもの
病に侵された級友から
ある日絵葉書が届いた
「自分より不運な境遇に
いる人も沢山いるから
今あるこの苦境は
大したことないなんて
本当に苦しい時には
考えなくていいんだよ
気力が湧いてそろそろ
頑張れそうだぞって時に
そう考えればいいんだ
今の君はまだその時
ではないのだから
苦しい時こそ身を委ねて
静かに時を待つのさ」
若かりし頃そう言って
私を励ましてくれた彼は
もうこの世にはいない
墓参りに訪れた山道には
葉書に描かれていた
ミヤコワスレの花が
静かに日陰に咲き
私に頷く様に揺れている