散文詩:欠
割れ茶碗を見つけて
片割れも一緒に処分した
長く使った夫婦茶碗は
夫婦喧嘩の度毎に
内心ひやひやと
していたのだろうか
そんなことを考えながら
今までありがとうと感謝する
思えばちぐはぐな二人だった
心根を言葉にできない夫と
一人でも喋り続ける私とで
それでも杖つくこの歳まで
寄り添い生きて来られた
さて爺さんやい
米炊いても容れ物がなきゃ
食べられまいて
ちょっくら買いに出掛けましょ
うむ
一人で行けとは言わず
よっこらしょと
私に続いて爺様が
玄関を閉めて私に並ぶ
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