第118回おうちでレガシー カバレージ Round1 なぼっくす(《ネクロドミナンス》コンボ) VS リク(エルドラージ)
ここに「ネクロストーム」と銘打たれたデッキがある。基本構造はいたって単純。マナ加速を駆使し《ネクロドミナンス》を設置。エンドステップにライフの限りカードを引き、《猿人の指導霊》《エルフの指導霊》から《魔力変》→《風に運ばれて》をプレイ。後は瞬速のついた各種マナ加速と《鏡に願いを》から《苦悶の触手》を唱えてゲームセット…という感じのデッキである。
あの《ネクロポーテンス》の再来ともてはやされた《ネクロドミナンス》をフルに活用し、その動きの派手さから、次世代のコンボの筆頭に躍り出る…はずだった。
が、このデッキ、実は基本構造に多分に問題を抱えている。《ネクロドミナンス》を設置してカードを引いて勝つと聞けば聞こえはいいが、その実態は「《ネクロドミナンス》を置かないと勝負にならず」「19枚引いた中にコンボパーツが無ければならず」「これらの条件をクリアした上で《苦悶の触手》に到達できないと負け」という3重苦に加え、「《時を解す者、テフェリー》が出てきた時点で死亡確定」と余りに多い弱点を抱えたデッキなのである。
結果、「見栄えはいいが余りにピーキーすぎる」と判断されたか、このデッキを用いるプレイヤーは数を減らし、メタゲームの舞台から姿を消すこととなった。
…しかし、ここでこのデッキを眠らせておくわけにはいかぬと、一人の男が立ち上がった。名は「なぼっくす」。彼はもう少しスマートにこのデッキを回すことが出来ないかと考え、独自の調整を施し、今回おうちでレガシーにそのデッキを持ち込んだ。
このデッキに対するは「リク」。彼の使う「エルドラージ」はコンボ耐性にこそ問題はあれど、《まばゆい肉掻き》《まき散らす菌糸生物》といった強力なクリーチャーを有し、我が世の春を謳歌しているデッキである。
果たしてなぼっくすは、どのようにネクロストームを改良したのか。その顛末を見ていこう。
■Round 1
《エルドラージの寺院》をセットしてターンを渡すリクを見て好機と判断したか、いきなりなぼっくすが動く。土地から《暗黒の儀式》を唱えて《ネクロドミナンス》を設置。そのままエンドステップに起動。一気に19枚のカードを手札に加えていく。
ここまでは従来のネクロストームそのもの。が、ここでなぼっくすは《エルフの指導霊》《猿人の指導霊》を追放しマナを供給すると、《煮えたぎる歌》をプレイ。一気にマナプールに赤マナを供給していく。
一連の流れに疑問符を浮かべるリクに対し、なぼっくすが取り出したのは《宿命の決着》。自分の手札分だけ好きな対象にダメージを与えるインスタント、これこそがなぼっくすが探してきた《風に運ばれて》を経由しない勝ち手段である。
見慣れぬカードにヒヤッとするリク。しかし、なぼっくすの手札は20枚を下回っている。この1枚で死ぬことはないだろうと胸をなでおろす。
が、その安心しきったリクに対し、なぼっくすは呪文の解決にスタックし、優先権を渡さず2枚目の《宿命の決着》をプレイ。都合2倍量のダメージがリクを襲った。
なぼっくす1ーリク0
■Round 2
《古えの墳墓》をセットしてターンを渡すリクを見て好機と判断したか、再びなぼっくすが動く。土地から《暗黒の儀式》を唱えて《ネクロドミナンス》を設置。そのままエンドステップに起動。一気に19枚のカードを手札に加えていく。
先ほどと同様なぼっくすは《エルフの指導霊》《猿人の指導霊》を追放しマナを供給すると、《煮えたぎる歌》をプレイ。一気にマナプールに赤マナを供給していく。
「もうちょっとコンボにシビアなマリガンをしてよかった。」と悔いるリクを尻目になぼっくすが取り出したのは2枚の《宿命の決着》。ゲーム終了。新たな《ネクロドミナンス》の可能性を示し、なぼっくすが大金星をつかみ取った。
なぼっくす2ーリク0